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第3話

 「さあて今日も何か魔法を……あれ?」


 翌日の朝、昨日魔法を見せた広場に行くと人っ子一人としていなかった。

 いくら何でも一人も居ないというのはおかしな話だろうが……

 不思議そうな顔をしながら髪の毛をくしゃくしゃといじるクルツ。


 「おーい、誰かいませんかー?」


 呼びかけながら色々な場所を見て回る、だがどこにも誰も居ない。


 「どうしたんだろ、一体」

 「お前、やっぱり馬鹿だろ」

 「ギース?こんな日の高いうちに顔を見せるなんて珍しい」


 頭をフードで隠したギースがいつの間にか立っていた。

 はたから見てとても怪しいが。


 「お前は馬鹿だ。今日は礼拝の日だぞ?昼前までは誰もいないさ」

 「ああそうか!すっかり忘れていたよ。また出直そう……うん?」


 ギースの言葉に出直そうとしたところどこかから小さく声が聞こえてきた。

 言い争っているようだが。


 「人の声だ」

 「そうか、なら俺は帰る」

 「見にいかないのかい?」

 「面倒ごとは御免だ」


 そう言ったギースはクルツの目の前から魔法を使い霧のように霧散し消えた。


 「仕方ない、一人で行こうか」






 声がする方に歩いていくと、そこに居たのは浮浪者の少年達。

 歳は10代前半といった所だろうか?何かを取り囲んで罵声を浴びせている。


 「君達、何やってるの?」

 「なんだよ!関係ないやつはかえれよ!」


 取り付く島もない。


 「おっと?」


 子供たちが囲んでいる物に目を奪われた。

 10歳前後だろうか?小さな女の子だ。


 「君達こんな子に一体何してるんだい?男の子のすることじゃないよ」

 「こいつが俺たちの金を盗んだんだよ!釘拾いやどぶをさらってようやく貯めたのに!」

  

 少年たちの怒りは限界点を突破していた。

 きっと血のにじむような努力をして得た金だろう、それは必死にもなる。


 「だれかこの子が盗ったのを見た人がいるのかい?」

 「見ちゃいない、けど盗めるのは金の入った箱を守ってたそいつだけだ!」

 「かえせよ俺達の金!!」

 

 口々に責め立てながら少女に詰め寄ろうとする少年達を間に入ったクルツが止める。

 そして同時に悲しくなった。


 (すごく痩せてる……この子達)

 

 恐らく彼らは全力で殴って体当たりをしているつもりなのだろうが……痛くもかゆくもない。

 服から見える腹や腕はやせ細っている。

 そしてそれは少女も一緒だ。

 

 「盗られたお金の額は?」

 「銀貨3枚と銅貨か何枚か……俺達の全財産が」

 「分かった。僕が払おう。だからもうやめなさい」

 「え?」


 体当たりしていた少年の一人に銀貨といくばくかの銅貨を渡す。 

 少年たちはぽかんとしていた。

 

 「あ、ありがとう……」

 「さてと、じゃあね」


 笑顔で別れを告げるとその場を後にした。






 「暫く時間もあるし、寝ようかな」

 

 広場の一角にある木箱を動かしてそこに横になるクルツ。 

 吹いてくる風が心地よい。


 「ねぇアンタ」

 「うん?」


 こうなったらしっかり寝ようかとしたところで誰かに声をかけられた。

 高い女の子の声……

 思わず深緑色の瞳を開けてみると……


 「君はさっきの」

 「アンネよ」

 「アンネちゃんね。僕はクルツ、よろしくね」


 寝そべったまま握手を求めたが、アンネがそれに応じる様子はない。

 クルツは仕方なく手を引っ込めた。


 「それでどうしたんだい?まさかまたさっきの子たちに何か言われたの?」

 「ううん、そうじゃないわ」


 意を決したかのようにアンネは喋り始めた。

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