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第4話 

 「言いたいことがあるの」


 クルツの目の前に居るアンネはそう言った。

 

 「言いたいことってなんだい?」

 「お金とったの。私」

 「え?」


 思わず開いた口がふさがらなかった。

 何度も瞬きしながら、目の前で笑っているアンネを見る。


 「ほ、本当に……?」

 「うん、私がとったの」


 どうやら本当らしい。

 クルツは頭痛がしてきた。


 (女の子だからって身体検査もせず鵜呑みにしたのが駄目だったな)


 頭を痛めながら指でこめかみを押さえる。

 

 「謝りに行こう。それとお金を返すんだ」

 「嫌よ。それにそんな必要なんてないもの」

 「必要ない?」


 うん、と頷くアンネ。


 「私ここからでていくから。あいつ等に謝る必要なんてないの。アンタにこれを話したのはアンタが代わりにお金出してくれたから」

 「…………」

 「じゃあ行くわ。ありがとうね」


 そのまま彼女は立ち去って行った。






 「はっはっはっはっはっはっは!!!!」


 クルツの火だけが明りの地下水道跡地。

 夜になって帰ってきたクルツと一緒に杯に入ったビールを飲みながらギースが大笑いをしていた。

 普段滅多なことでは笑顔を見せない彼を笑顔にした酒の肴は泥棒のアンネの話。

 とはいえクルツからしてみれば笑えない。


 「笑わないでほしいんだけどさ……そうなるよね」

 「報われなさ過ぎて面白い!所詮人間などその程度だ。もうあきらめて俺と一緒に来いクルツ。人間を笑顔にしてやる必要なんてない」


 ギースの口ぶりに少しムッとした。


 「断る。僕はどれだけ騙されようがこれだけは貫き通すからね」

 「頑固な奴だな。お前も」

 「試すようなこと聞いてくるギースも大概だけどね」

 

 こうしてお互いに笑い合える。 

 それだけで少しは救われたような気分になるのだから不思議だ。


 「さてと、僕はもう寝るよ。君は?」

 「俺は帰るさ。じゃあな」


 二人はそこで別れた。

 

 




 クルツが住む街に、夜風に長い金髪をなびかせながら歩く女がいた。

 真っ白い飾りのないドレスと外套に身を包んだその姿はどこか死人のようにも見えるがドレスの隙間から見える血色の良い肌がちゃんと生きていることを分からせてくれる。


 「今日はここで休みましょうか」


 彼女はそう呟くとにっこりと笑った。

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