第十三話 少女は神々と交流する
とある日のことである樹蜂の屋敷の下で勉学に励んでいた。
「それでは風馬。復習として我々に関して神はどのように命じましたか?」
書物を持ちながら対面で問いかけてくる樹蜂に未影は今まで教えてもらったことを思い出しながら答える。
「えっと、世のあんたいだよね。でも、力がつよくてわたしたちをうつわにしてあんたいをまもっている?」
「ええ、そうです。よく覚えましたね」
ぱちぱちと両手で軽く拍手をしながらにこにこと褒める。それが嬉しくてぱあと笑って後ろに座っている紀陽へ顔を向ける。
そんな彼女に対してふっと微笑み、ひらひらと手を振る。
「すっかり保護者じゃのう」
隣に何故か正座している剛狼がからかうように言ってくるが無視した。
「ですが、安泰というのは実に曖昧なことです。安泰というのは分かりやすく言うとこの世の均衡を保ち、それを守ると言う意味です」
「ん~?」
首を傾げる彼女にやはりこの言い方では難しいかとさて、どう教えたらよいかと考える。
「そうですね。未影は桃が好きですよね?」
「うん!大好き!」
「その桃が悪い人によって食べれなくなってしまったら嫌ですよね」
「!?」
がーんと絶望した顔をしたままこくこくと縦に大きく首を振る。そのあんまりの必死な仕草にそこにいた三人がふっと笑ってしまった。
「ふっ、す、すみません。だから、その人を懲らしめて桃を食べれるようにしないといけません」
これで分かりますか?と問いかけるとうんと答えた。
「これはあくまで例えばの話です。でも好きな人がいなくなることだって有り得るのです。それは悲しいことであり、寂しいことです。だから、我々がいるのです」
真剣にそう話す彼に未影は先程までとは打って変わって緊張し頷く。
「ですが、これに関しては我々の他にも神がいます。八百万の神々と言われるようにこの世には様々な神がいます」
分かりやすいのであれば、天照大御神、月読尊、日本武尊や十二支、十二神将などその中で我々、十二神獣も含まれます。
「其々の神域があり交流があまりありません。ですが年に一度、出雲にてお会いすることがあります」
それは神無月。出雲にある社にて会合があるのですよ。
そう話すとさて、風馬に質問ですと問いかけてくる。
「今の暦は何でしょう?」
「えっと、神無月!……………あっ!」
「はい、そうです。我々は出雲に赴くこととなります。で、それを知った上でそこに正座している大馬鹿者が知り合いの神々に風馬のことを言いふらし、会う約束を勝手にしてきたというので後でお説教をします」
成程、だから来た時から正座していたのかと今更ながら納得した未影であった。
「いやー、酒飲みの場で孫が可愛いと言ったら詳しく聞かせろとせがまれてのぅ」
「まだ生まれたての子を他の神々に会わせる愚か者はいないでしょ」
「……………私、赤ちゃんじゃないよ??」
ここ最近で分かったことだが、皆して私のことを赤ちゃんみたいに接してくることがある。
例えば、塙狐なんて癖になってしまったのかわからないけど私にあーんしてくださいと口元に箸で掴んだご飯を持ってきたり、雹蛇なんて私がつい転んだら慌てて葵猫の元へ運んで行ったり、鉐猿は白兎から美味しい木の実を貰って食べたときなんて食べれるか分からない物を食べるな。もし、食べれるか分からなかったら呼べと怒られたりなどなど。
色々と教えてもらって前よりは物事が分かってきた私にあれこれと可愛がってくるのだが甘やかしすぎではないかと思うようになった今日この頃である。
「ですが、風馬が神として初めて出雲に赴くということはまた貴方を成長する糧になるでしょう」
ですが、社についたら炎龍から離れないようにしてくださいねとも言われた。
「なんで?」
「先ほど言った通り神々が集う場です。あまり良くないモノもいるのでそういうのに狙われないようにするためです」
我々もいますが炎龍の方が確実に貴方を守ることができるでしょうからとも言われた。
「まあ、会うとしても『十二神明』だからな」
そんなに緊張することはないとけらけらと笑う剛狼にきっと睨みつける樹蜂。
「だからこそですよ。大体、何故あの方々と会うことができるのですか?」
かなりえらい神様たちなのかな?
樹蜂の言い分からしてそう捉えた。
まだ、覚えることが多いなと思っていると傍に紀陽が寄ってきた。
「『十二神明』は特殊なんだ」
人間の世で有名であるのは天照大御神、素戔嗚尊、月読命や陰陽師であれば十二支や十二神将という存在だろうか。
他にも神々が存在するのは周知されているが、それはあくまでも人間界で伝わる話である。
神の世界ではそうではない。確かに世界を生み出すまでは合ってはいるのだが、神々を干渉ができ、世の理を保つモノが存在した。それが『十二神明』という存在だ。




