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第六話 少女は品片しをする


「断る」



「そこを何とか頼む!」



荒れ果てた未影の神域は見る見るうちに元通りになった。

川が流れ、草木が生い茂って神域にいたモノたちがまた姿を現すようになり、それを見るのが嬉しくなっていた

これに関しては未影の神通力が安定してきたのと減っていた分が回復してきたからだという。



そんな神域に来訪者が来た。


「他を頼れ」

「いやー、それがだな」

鋼狼が正座をして手を合わせて、紀陽に何か頼みごとをしているようだ。

動物たちと遊んでいた未影であったが何だろうかと思い近寄ると二人がこちらを見てきた。

「おお、風馬。元気ようだな」

「うん。元気だよ」

「そうかいそうかい。あ、そうだ。なあ、ふう」

まという鋼狼が何か言いそうになると紀陽が遮るようにこう言ってくる。

「未影を頼るな」

「いいじゃないか。折角だ。他の神域に行くのも悪くないと思うぞっ!」

「この子には早すぎる」

「?」

なんだろうか。

「いや、それがなぁ。俺の神域の片づけを手伝ってもらいたいんだ」

片づけ?どういうことだろう。

首を傾げて聞くように見ると鋼狼はぱあと顔を明るくして、紀陽にこう言う。

「おおう、この子はちゃんと聞いてくれるぞっ!!」

「お前な……………」

呆れたように半目で見てくる紀陽を物ともせずに未影に話しかけていく。

要はこうだ。

鋼狼本人が下界をしたときに様々な品物を土産として持ってきたのだが、あまりにも多すぎて自分で整理しようとすると骨が折れることから手伝ってほしいということだ。

「珍しいモノばかりでついつい、集めてしまってな。まあ、貰ったものもあるんだが」

「酒だけでも量あるだろ?」

「いやー、旨い酒を飲むのが楽しみでついつい」

「…………お手伝いなら、私でよければ手伝うよ?」

白兎を抱きしめながら、未影はそう言った。

その一言に鋼狼は何故か固まってしまった。

どうしたんだろうかと首を傾げた瞬間。



「…………………………いい子過ぎるっ」



固まったと思ったら途端に両手で顔を覆い、号泣し始めた。

その急激な変化に未影はぎょっと目を瞠って抱っこしていた白兎をぎゅっと抱きしめてしまった。

苦しそうにじたばたと暴れる白兎に慌てて腕を緩めてごめんねと謝る。


「汐兎や馳犬なんて面倒くさいから断ると嫌がられたのにっ」


「急に泣くな。未影が驚いている」


「冷たいっ」

酷いっとさらに泣いている。

「………………未影が行くなら俺も行こう」

渋々と言った体で紀陽も返事をした。





「……………………わぁ」

「また、こんなに集めたのか」

そこには寝殿造が建っていて、中に入ると無限に広がっているかのように部屋があった。

その部屋には衣服、杯、壺、葛籠等々様々な品物がぎっしりと置いてある。

見たことのない物もあり、未影は興味津々だ。

ここも鋼狼の神域で広くはあるが、品物だけで埋め尽くされている。


「いやー、困っている商人とかを助けては礼だと言って貰ったりしたからな」


「前の時よりも増えているが?」


「そうか?」


「こんの」


けらけらとはぐらかす鋼狼に詰め寄る紀陽をよそに未影は品に近寄ってじっと見ていた。

きらきらと輝く石たちに、色鮮やかな衣の数々、よく分からない木彫りの置物。


「すごいきらきらしてる」


「気に入ったのあったら、持ってっていいぞ。その方がいいだろう」


「お前な…………」


呆れたように言う紀陽だったが未影の様子を見ると嬉しそうな表情をしていた。

そして、三人で片づけを始める。







「鋼狼、この杖は何?」

「んー、確か坊主を助けたときに渡されたんだっけかな?」

「……………それ、ただの坊主じゃないだろ?」

杖にしては綺麗に削ってあり、杖の先端近くには赤い布と小さな鈴が巻かれている。




「このふわふわしている布は何?」

「おお、それは鶴みたいな美人を助けたときにお礼だと言ってもらった布だな。これを被って寝るとよく寝れるんだよな」

「……………人じゃないだろ、そいつ」

真っ白でふわふわとした感触のある大きな布。




「これって何?」

「ああ、傷ついた燕を手当てした時に貰った貝だな。中々の面白いから木箱に入れておいたんだ」

「………………………はぁ」

小さな木箱に大切に入った様々な色が広がった鮮やかな貝殻。


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