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Chapter9

第九章


「そういえば今日の試合の後、涼子に会ったって?」

蒸し暑さの残る夕暮れ時だった。船戸くんがさやかの家に無事収まり、リビングのソファで眠ってしまった後、さやかが尋ねた。パリィ博士は少しトンネルの生体認証を調査したいからと言ってまだ帰っていなかった。

「そうそう、その時にパリティ・シティとかディメンションセンターとか言ってたんだけどまさかさやかちゃん教えてないよね」

「実のところちょっと話したわよ。以前予備教室で会議をしてたころ涼子に聞き耳を立てられてたでしょう。以来パリティ・シティとは何かってしつこく聞いてきたのよ。友達なんだから教えて当然とか言って。それでちょっと街の様子とかを話したわ。まあ信じているかは疑わしいけどね」さやかは立ち上がってテーブルの上のコップを片付けた。この話はそれ以上したくない様だった。

「僕は涼子なんか友達にしておく必要ないと思うな。それにパリティ・シティのことを関係のない人に知られると危険かもしれない」はやとは少しとがめるように言った。さやかが話していたというのは意外だった。

「話したのは未来の様子だけだしそもそも彼女はあっちの世界に干渉できなんだから全く危険はないわ。それに私が誰を友達にしようと構わないでしょ」いつになく強い口調だった。友梨をパリティ解放団に誘った時せいかさやかにとって今日は心穏やかな日ではないようだ。確かにはやともパリティ・シティに行けない人が何か知ったところで危険だとは思わなかった。にもかかわらず二人だけの秘密だと思っていたことがさやかにとってはそうではなかったということ(もっとも誰にも話さないという約束などしてなかったが)、そして街のことまで話す仲なら涼子が別れ際に言ってたことも本当かもしれないということが心に重くのしかかってきた。はやとの頭の中で「あんまり追っかけないほうがいいわよ」という言葉が何度も反響した。

「どうかしたの?試合で疲れたんじゃない?」さやかがちょっと心配そうに尋ねた。はやとは喉の奥でぐっと何かがつかえるような気がした。一瞬何もかも話してしまいたいような気がした。

「いや、大丈夫」はやとは自分の声が素っ気ないのに我ながら驚いた。

「ならいいわ。ところで友梨を解放団に入れたことだけど私やっぱり納得いかないわ。あらゆるリスクを考えてのことでしょうね」はやとは自分の決断が良かったのかいまだに自信を持てなかったのでさやかの言葉が鋭くささった。

「友梨は信用できると思うよ。きみは嫌ってるけど。それにパリィ博士だって認めたんだ」

「別に決定を覆そうというわけじゃないわ。ちゃんと考えたんならいいの。涼子のことに干渉しないでと言った以上友梨のことにも干渉しないわ」はやとは突然見慣れたリビングが急に知らない家に来たようななんだかよそよそしいような感じがになった。さやかはまだ返していない船戸くんの携帯(とっくにバッテリーは尽きていた)をくるくる回しながら黙ってしまった。

「じゃあ、僕はそろそろ帰るね。船戸くんをよろしく」はやとが言った。

「ええ、またね」はやとはぼんやりと庭を突き抜けて往来へ出た。


月の台公園へ差し掛かってもはやとの足取りは重かった。考えれば考えるほど涼子の言葉が本当に思えてきた。

クロノス像のところまで行き、台座に座って日が沈むのを眺めているとはやとは初めてはっきりとさやかを好きだということを意識した。心の片隅にはいつもありながらもなぜか遠ざけていた気持、取り出すのをためらっていた気持。きっとずっと前から、多分体育の時間に階段に腰掛けて話した時からそうだったのだろう。はやとは気づくのが少し遅かったなと苦い気持で考えた。もっと早くに気づいていれば、そしてそれを伝えていれば、もしかして状況は違ったかもしれない。

突然頭上で足音がした。パリィ博士がクロノス像からさっと飛び降りてきた。

「お、待っててくれたのか?船戸くんは大丈夫だね」

「ええ、家まで送って行きましたから」

「そうか、彼が分かってくれればいいが」博士がちょっと気がかりなように言った

「僕は分かってくれると思いますよ。あの冒険の後に僕たち親しくなれる気がしたんです。トンネルの調査はどうですか?」

「生体認証がやはり弱っている。思えばきみたちがパリティ・シティを発見するきっかけになった像の異変もそのせいだ。トンネルの入り口がゆらいだ時に本来通さないはずの無機物を通してしまったのだろう。出来るだけ早く修復しておくよ。それから解放団のメンバーはみんな自由にトンネルを使えるようにすべきだな。今のところさやかと私しか認識しないし」博士が言った。

「そうですね、トミーや友梨を過去に案内できたらと思います」

「それは楽しくなるだろう。友樹と友梨と言えば今日街の寿命を話したよ。言わないほうがいいかとも思ったが解放団である以上真実は言っておくべきだと思って」パリィ博士が言った。

「ショックじゃありませんでした?」

「少しはショックだっただろう。でもいざという時には過去に逃げられることを知っているから大丈夫だろう」はやとと博士はそれからクロノス像をしばらく眺めていたがやがてお互いゆっくりと家へ向かって行った。


~~~


期末試験が始まった。さやかに教えてもらっていたおかげで試験勉強がいつもより相当楽だったし自分でも驚いたくらいうまく行っていた。試験の後には夏休みも待ってるし普通なら心が弾むはずだったがさやかとの間にできた目に見えない溝のためにはやとはあまり楽しい気分になれなかった。心なしかさやかとの会話が減ったように思ったし、話す時の調子もやや遠慮気味になったようにも思った。

パリティ解放団は何度かお屋敷に集まって情報交換しあった。だいたい皆でランチをし、その後パリィ博士は新聞を隅から隅まで読んで街の最新情報や当局の動静を得たり、紙と鉛筆を持って庭を歩き回りながらクランの救出計画を練ったりした。はやととトミーはたまにパリィ博士と計画を練る手伝いをするほかはバドミントンなどして遊んでいた。さやかと友梨はしょっちゅうどうでもいいことで言い争いをしていた。船戸くんはたいてい一人離れて東屋でじっと考え込んでいたが何を考えているかは誰も分からなかった。

ある日、パリティ・シティ当局についての情報が回ってきた。

「最近になってパリティ・シティ当局のトップが変わったようだ。Kと呼ばれるものでまだ二五歳らしい。若いのに恐ろしく人を動かす能力にたけている。Kがトップになってから当局の独裁色はますますひどくなった。特にディメンションセンターのセンター長も当局のトップが兼任できるようにしてしまった。それによって文字通り街の全権を握ったようだ。以来Kは独特のカリスマ性でどんどん味方を増やしている」博士がここ一か月分の新聞を机に置いて言った。

「Kと言えば・・・」船戸くんが言った。

「・・僕がレベル一〇の頃に同じ学校のレベル一二にいたからある程度知ってます。当時からおそろしく頭がよく、野心的で、人を思いのままに動かす能力にかけては誰も及ばなかった。動かすと言っても不思議なことに人々はおのずからKの周りに集まっていましたが」船戸くんが珍しく口を挟んだ。彼の口調はどこか感心しているようなところがあった。

「なるほど、きっとKと共にいるとKの野心に引きずられて欲しいものは何でも手に入るように錯覚するのだろう。そういう風にして人を惹きつけているんだ」博士が言った。


試験期間の最終日になって珍しい出来事が起きた。漸く最後の試験科目(じいさんの英語で間違いなく今回最悪の出来だろう)を終えて廊下に出たところだった。前の方から見慣れた姿、と同時にひどく場違い感のある姿が近づいてきた。

「やあ、はやと」トミーが元気良く言った。隣で友梨もにこやかにあいさつした。

「きみたちがなぜここに?」

「博士が私たちも生体認証を通過できるようにしてくれたのよ。前に過去に行って見たいって言ったの覚えてるでしょう。願いがかなって嬉しいわ」と友梨。

「本当は緊急時にすぐ移動できるようにね」とトミー。

「それで今日は学校へ遊びに来たの?」

「ちょっと見学しようと思って。きみだってうちの学校に来ただろ。それにしてもこっちの学校って不思議だね。さっき授業見学しようと思って後ろの方に座ってたんだけどみんなじろじろ見てくるし、そのうちそこは自分たちの席だっていう人が現れたから別のところに行くとそこも予約があって。結局全部の机が取られてるみたいなんだ」トミーが不思議そうに言った。

「それにみんなおんなじ服を着てるけどおそろしく流行ってる割にあまり可愛くないわ」友梨が言った。

「それは制服だよ。それからこっちの学校では全員席が決まってるしそもそも自由に見学できないよ」はやとが言うとトミーと友梨は驚いた顔をした。

「あんまり長居しないほうがいいかも。とにかく怪しまれないようにね」はやとは友梨の着ている優美なワンピースを見ながら、果たして不審に思わない人がいるだろうかと思った。


学生たちにじろじろ眺められながらも二人が無事正門から出て行くのを見送ると後ろから中本くんが走ってきた。

「おい、常盤。あの超絶かわいい子はいったい誰だ?私服だったが。常盤の知り合いか?それとも佐々木涼子を振ったあとで・・・」

「知らない。えっと、道を聞かれただけ。うちの学校の子じゃないと思う」はやとは口ごもりながらごまかした。

「そうか、もしかして転校生かもしれないな。だったら大変だ。サッカー部三年で作ったかわいい子ランキングを全部書き換えないと。さっきの子が堂々一位になるだろう。いや、どうしても声をかけるんだった」中本くんが悔しそうに言った。

「そんなランキングあるの?」はやとは少し驚いた。

「常盤知らないのか?長い議論をしたんだぞ。結果は一位佐々木涼子、二位夏芽さやか、三位・・・」

「それ佐々木さんに教えちゃおうかな」はやとがあきれ顔で言った。

「おい、冗談だろうな。それだけはやめてくれ」中本くんが急に真面目な表情になった。

「サッカー部の評判が地に落ちることをしたりはしないよ」はやともこれ以上からかおうとは思わなかった。


期末試験が終わると夏休みに入った。はやとは学校に煩わされず、パリティ解放団の任務に集中できる(といっても大したことはしていなかったが)ことが嬉しかった。さやかも自由時間が増えたからかいつもより快活になり、以前の親しさを少し取り戻したように思った。

「夏休みに入って何が嬉しいって佐々木涼子にせっつかれないことよ」ある日さやかはお屋敷の庭でこっそり囁いた。

試行錯誤の末、クランを救出する計画もほぼ仕上がった。出来るだけ早く実行に移す必要があった。いまだ当局はなくなった文書を見つけ出せず、相当焦っているという情報が入ったし、これ以上時間が経てばクランが軟禁どころで済まなくなるかもしれなかった。街の人々も漸くの街の解放を期待していただけに、文書をいまだ獲得できていない当局に不信感を強めているという情報もあり、それがいっそう当局を暴走させる危険性もあった。


夏休みに入って三日目、パリィ博士が解放団のメンバーを招集し、いよいよ明日実行しようと告げた時、一座に緊張が走った。さやかがお屋敷に来るたびに顔を合わせないためにいつも月の台に遊びに行ってしまう友梨も今日は出席していた。友梨はパリィ博士にパリティ・シティのお金と月の台で使えるお金を交換してもらい、しょっちゅう月の台でショッピングをしていた。差し入れと言ってお菓子を買って来てくれるのは良かったがもっと多くのお金を過去の「珍しい」服やらアクセサリーやらに費やしていた。

「もう一度だいたいの手順を確認しよう。いいかい?」パリィ博士が計画が分単位でまとめられた書類を取り出した。

「まず、船戸くんがにせの文書を持ってクラン宅を訪問する。移動手段はレンタルヘリ一号機。乗員は船戸くん、さやか。午後九時だ」

「ちょうど警備が夜勤と切り替わる時間でスキが生じる可能性が高いからですね」船戸くんが言添えた。

「文書の準備はいいかい?」博士がさやかに言った。

「今朝うちの印刷機で全部刷ったわ。新しすぎないかしら?」さやかが一束の紐で綴じられた文書を取り出した。適度に古びた紙に刷られている。博士はそれをぱらぱらとめくった。

「十分だよ。どのみちじっくり読む暇は与えないし」

「どんなことが書いてあるの?」友梨が尋ねた。

「それっぽく見せかけたパリィ博士の過去の論文だよ。昨日の会議をさぼるから知らないんだ」トミーが言った。

「じゃあこの文書は安全ブリーフケースに入れよう」パリィ博士が金属質で物々しい指紋認証のついたケースに入れてロックした。

「さやかは上空で待機。九時一〇分までに船戸くんがクラン宅に入り、この文書を開けるためにはクランが必要だと納得させる。さらに文書と引き換えに解放を要求する。ここで考えられるパターンは三つ。まずは可能性は低いが最も楽観的なシナリオ、交渉が問題なく終わり、クランは解放される。その場合はケースを開け、文書に気を取られている隙に撤収する。第二のパターンは、船戸くん?」

「一番あり得るケースですね。無理やり文書を奪おうとする。その場合は熱電子放出器を文書に突きつけて交渉する。無事クランが出てきたら後は同じ。場合によっては博士が突入して救出する」

「完璧だ。そして最悪のパターン、どうしてもクランと対面させない場合だ。もう後戻りはできない。窓を焼き切って救い出す。こうならないことを祈るばかりだが。とにかく九時半までには全て方をつけてお屋敷にたどり着きばベストだ。帰還ルートはあらかじめヘリに打ち込んであるし大丈夫なはず。お屋敷に戻るのが見つかることだけは避けないと」

「大丈夫ですよ。それより僕とお姉ちゃんは二号機で館の北の庭上空待機、地上要員の回収にあたる。以上ですね。高度は高めの方がいいでしょうか」トミーが熱心に言った。

「いや、どうせ警備員の目に触れるだろうしすぐ降下できるように巡行高度くらいでいいだろう。地上要員は任務が終わり次第北の庭の二号機もしくは一号機で撤収だ。誰か一人でも庭に出たらすぐに降下して回収してくれ」

「了解です」

「先に潜入しておくはやとと私はもう十分話したな。それから何度も言ったが地上要員は身の危険が迫った場合、直ちに任務を放棄して屋外のヘリに回収されること。それからトミーと友梨はヘリから一歩も出ないこと。絶対に姿を見られないように」博士が言った。

「分かりました」トミーと友梨が言った。

「じゃあこれから一人一人細かい所を確認してから明日の準備だ」博士が指令した。


その日の夜、はやとはなかなか寝付くことができなかった。明日の計画が頭の中で途切れ途切れに再生された。パリティ解放団はあらゆる可能性を検討して計画を練ったつもりだった。しかしいつだって予想を超えた出来事が起こるかもしれないのだ。はやとは眠らなければと思いながらも無意識に明日に備えたシミュレーションをしていた。


~~~


万事準備が整った。午後六時、パリティ・シティ全体が薄暗くなってきた頃、一同はお屋敷に集まっていた。調達しなければならないものは全部パリィ博士が用意した。消えたことになっている博士が準備するのが一番跡が残らないと考えたためだ。ヘリは既に二台借りられて五号区の駅前に停められていたし、地上要員には博士が改造して一五〇〇度まで上げられるようにした熱電子放出器が用意された。船戸くんは最後まで効果的な台詞を思案していたし、さやかはヘリの操作マニュアルを復習していた。緊急時に手動操縦にしたときのためだ。友梨は今になって、計画が穴だらけだとかどこかで失敗する予感がするとか騒いでみんなを無駄に不安にさせた。

「そんなに危険だって言うなら家にいたらどう?」さやかがいらいらと言った。

「あら、そんなことできないじゃない。私は弟を守らなくちゃならないのよ」友梨が当然のように言った。さやかはくすくす笑い、トミーは一緒にいた方が危険そうとかぶつくさ言っていた。


一同は軽く夕食を済ませ、時間が来るのを待った。あと一五分、一〇分・・・。

「時間だ。出発しよう」パリィ博士がごく落ち着いた声で言った。お屋敷を出て二手に分かれ、駅で合流すると各々ヘリに乗り込んだ。船戸くん、さやかが乗ったヘリが先に出発し、後からはやとたちのヘリが続いた。ヘリは歩道の上空を滑るように移動して行った。眼下に街灯の光が一定間隔で並び、さながら夜の滑走路のようだ。

二〇分ほどで前方を飛んでいた一号機がすっと地上へ着地した。博士が停止ボタンを押すとふわりとした感覚とともに二号機も地上へ降りた。かすかな衝撃が伝わった。クランの家まで一〇〇メートルだ。はやとと博士は急いで降りた。既に船戸くんはクラン宅へ向かい始めている。二機のヘリはまた空中へ昇った。

「よし、行くぞ」博士がささやいた。二人はトミーたちのお屋敷と同じくらい広い館の裏へ周り、様子を伺った。警備員が六人、裏門から出て来、同時に往来に停まった大型のヘリから別の六人が降りてくるのがちらりと見えた。博士が親指を上げて合図し、二人は急いで塀によじ登った。音をたてないように庭に降り立って急いで横切り、クランの捕らえられている部屋の横の茂みに隠れた。その部屋は全部の窓に鉄格子がはめられ、シャッターが降りていた。

「気をつけて、あと一〇秒で警備員が通過」博士が囁いた。その通り、一〇秒後、裏門から入ってきた警備員のうちの四人が庭をつっきり、正門と玄関へ向かった。何もかも事前に予想した通りだった。はやとは携帯で時刻を見るとちょうど九時だった。

正門からかすかにインターホンの音が聞こえてきた。玄関の開く音、そして警備員が驚いて叫ぶ声がした。裏門に待機していた警備員が何事かと表へ駆けつけた。そのタイミングを見計らって、道の上空に待機していた二機のヘリが敷地内に侵入し、定位置についた。パリティ・シティでは住宅上空を飛行するのは違反だったが警備員は誰ひとり気付かなかった。

「よし、携帯を起動だ」博士が言い、すぐに船戸くんの服についている超小型カメラからの映像に表示した。警備員が六人とも玄関にいる。携帯から小さな声が漏れてきた。

「さあ、言っただろう。クランを連れてくるんだ」船戸くんだ。普段からは想像できないほど感情の入った話し方だ。相当練習したに違いない。はやとは交渉がうまく行きますようにと願って携帯をぎゅっと握りしめた。

「文書を奪った奴にそんな権利はない。すぐにそれを渡すんだ。さもないと力ずくで奪うぞ。そして貴様は逮捕される」浅黒い顔で太った警備員が怒鳴り立てている。後の人は少し離れて様子を伺っているので手下なのだろう。

「そうかもしれない。しかしあなた方の第一の任務はパリティ・シティの未来がかかったこの文書を取り戻すことではないかな。クランを解放しないと言うなら今すぐこれを焼いてしまうつもりだ。僕はクランの束縛を解くためにこれを奪ったんだ。目的が達成されないならいっそ焼いてしまう」そしてすぐにもそうするかのように熱電子放出器をケースに突きつけたのが画面の端に見えた。太っちょの警備員が「待つんだ」と叫んだ。

「待て。そんなことをしたら大変なことになる。うん、話し合おう。ええっと、クランを解放して欲しいんだったな・・・」たちまち口調が緩んだ。はやとはあまり優秀な警備員じゃないなと思ってしまった。

「ではまずその文書を確認しようじゃないか。そして間違いなく本物だったらクランは解放するとしよう。さあそれを床に置きたまえ」警備員の目が意地悪く光った。画面ごしでもクランを解放する気はあるようには見えなかった。文書だけ奪おうというつもりだろう。

「これを開けるのにクランの指紋がいるんですよ」船戸くんが台詞通りに言った。

「いい流れだ。クランが出てきたらすぐ窓から逃がすんだ」博士がささやき、熱電子放出器を廊下の窓に向けた。はやとは再び携帯の声に耳を傾けた。

「そうか・・。ではクランの部屋へ行くとしよう。鍵は・・・どこだったかな」ポケットをかき回している。はやとはこの警備員がのろまなのにはいくらなんでもほどがあると思った。時間が無駄に過ぎて行くのがいらいらと感じられた。そしてはっとした。時間、これが相手の欲しいものではないか。

「鍵がないぞ。ええっと誰か渡さなかったかな」警備員の声が不吉な調子で響いた。

「機転を利かされたな。長くなりそうだ。援軍が来るかもしれない・・」博士が緊迫した声で言った。

通りでヘリの着陸する音が聞こえた。足音がして誰かが館に入るのが分かった。船戸くんが向きを変えたので携帯の画面に玄関の入り口が映った。

入ってきたのは若い青年だった。足元まで届く丈の長い真っ黒なガウンを着ている。はやとはどこかで見たことのある気がした。そうだ、最初にディメンションセンターを訪れた時に出会った「当局の人」だ。

「師匠、遅い時間わざわざありがとうございます」先ほどの警備員が丁重に挨拶した。

「いや、言ったとおり知らせてくれてありがたい。きみたちの仕事は終わりだ。下がってくれ。それにしてもこんなところにお客を立たしておくとは気が利かないな、なぜ部屋に案内しなかったのだ?」その青年が冗談ぽく言ったがその声は冷たかった。

「賭けてもいいが奴がKに違いない」パリィ博士がこっそり耳打ちした。はやとはいつか通りすがりに見たあの「当局の人」が今や街の全権を握る者だと知って戦慄した。

「レベル一二の首席の船戸航だな。話があるのだろう。部屋へ案内しよう」船戸くんはなんとも答えず、Kについて部屋の奥へ入って行った。携帯画面がぐらぐらと動き、真っ暗なところへ入った。画面がぱっと明かるくなり、はやとのすぐ近くの部屋の窓からも光が漏れてきた。

「クランの隣の部屋だ。移動しよう」博士が言い、二人は身をかがめて窓の方に行った。そっと覗いてみるとKがつかつかと窓の方へ歩み寄ったのではやとは急いで壁の隅に隠れた。観音式の窓が少しばかり開いた。中から声が直接はっきりと聞こえてきたのではやとは携帯の音量をゼロにした。

「・・急いで来たから少しばかり暑い。さてと、クランの弟子よ。会えてうれしい。ちょうど会いたいと思ってたところなんだ」Kの方から話しだした。

「それはどうしてだ?」船戸くんが言った。

「いや、まずきみの話から聞こう。わざわざ訪ねてくれたのだし」はやとが交渉の主導権を取られてしまったなと思った。

「僕が今日ここに来たのはクランを救い出すためだ。文書を奪ったのもそのため。これと引き換えに解放するんだ」船戸くんが早口に言った。

「なるほど、きみがそんなに教授思いだったとは驚きだな。まあいい。言う通りにしよう」はやとと博士は驚いて顔を見合わせた。船戸くんもよっぽど驚いたに違いない。Kが「信じないようだな」と言うのが聞こえた。

「では本当に返す気があることを示すために部屋を開けよう」中で少し物音がしたかと思うとがちゃがちゃと鍵の回される音がした。画面を見るとちょうど分厚い木の扉が開かれるところだった。中から痩せて背の高い男が出てきた。聡明で厳格そうな顔で、髪の毛は少し白くなり始めており、パリィ博士より年老いて見えたが監禁されていたわりには健康そうだった。パリィ博士の方をちらりと見ると何とも言えない表情で一五年ぶりの友を画面ごしに見ていた。

「さあ、話が済み次第いっしょに帰っていい。おっと失礼、ここが家だったな。とにかくすぐ自由にするからもう少しだけ部屋に戻っていてくれ」クランは船戸くんにちょっと目配せした。それから従順に部屋に戻って行った。

「さてと、きみの話はこれで解決だな。ではこちらの話に移ろう。いくつか聞きたいことがあるんだ」Kが静かに言った。

「いったいなんだ?文書を渡すと言ったが質問に長く付き合うわけにはいかない」船戸くんは何とか主導権を取り戻そうとしているようだった。

「その文書だが本物である可能性はなかなか小さいと思うが。それならば少なくとも話くらい聞く義務がある。クランを返して欲しければ」Kは冷たく言い放った。はやとは心臓がどきどきしてきた。これは圧倒的に不利な状況だ。

「単刀直入に聞こう。パリィ博士はあの文書と共に密かにトンネルを試作しただろう。きみはおそらくそのトンネルの場所を知っている。それを教えてくれ」隣で博士が拳を握りしめた。

「どうしてそう思うのだ」船戸くんが質問をはぐらかした。

「我々はきみたちが思っているよりもいろいろ知っているのだよ。きみがご苦労にも文書を奪いに行った時、二人の連れが目撃されている。私はきみについてはいろいろ調べたがきみにそんなに信頼できる友達はこの世界にはいなかったはずだ。それだけじゃない。そのしばらく前にディメンションセンターで三人組の怪しげな会話を私自身が聞いた。『過去ではああいう人たちはみかけないの』とね。クランは否定しているが私は間違いなくトンネルが存在し、きみがそれを知っていると思うのだよ」

「僕は知らない。トンネルが存在するかはあの文書を読めば分かる話だろう。だいたいもし過去から誰かが入ってきたからとしてなぜ僕がその方法を知っているのか。その人たちに聞けばいい」

「その人たちは探してみたが見つかりそうにもない。とっくに過去に戻ったんだろう。それから文書だがさっきも言ったように偽物だろうな。きみが博士を救うだけにあんなことをするとは思えない。もっと深い意味があったはずだ。たぶん、クランと同じく、あの文書を破棄しようとして奪ったんだろうな・・・」船戸くんは何とも言わなかった。

「きみがクランと同じように過去とつながることに反対するのは理解できる。しかしそれなら分からないことがある。いったいなぜ過去の人たちと手を組んだのか?きみはクランがあれほど嫌っていた過去ときみは親しくなったようだ。もしかしてだがきみはクランのしようとしていることに反対しているのではないかな。いったいどちらの味方なんだ?」

「これだけははっきり言っておく。僕は完全にクランの味方だ。きみたち当局に過去は渡さない。きみたちは過去を支配したいのだろう。そうはさせるものか」

「なるほど、クランだな。しかし一方では過去のものと手を組んでいる。大変なリスクではないかな。実際我々はそのせいでトンネルが存在することを知った。もしかして・・またもしかしてだがきみはどちらに味方するか迷っているんではないかな。それなら提案がある。どうだ、我々の方につかないか?クラン的思想にこだわっているとあと一〇年でパリティ・シティ共々滅ぶんだぞ。クランのような半分人生を終えたものにはいいかもしれないが若いきみには嫌だろう。きみのような頭脳は過去へ進出するパイオニアにとっては非常に貴重だ。街でも有数の頭脳を眠らせるのはもったいない。どうだ、いっしょに過去を統治しようとは思わないか?すばらしいぞ。一〇〇年前の火星到達以来の快挙だ。今の過去は裸の火星のようなののだろうが我々は過去を一気に進歩させ、すぐに住み心地良くするさ。クランの束縛を逃れて創造的な将来を望むなら今だよ」

「過去を支配するのが創造的だとは思えないが・・・」船戸くんが苦々しく言った。「頭が固いな。そんなんじゃいつまでたってもレベル一二を終えられないぞ。まあいい、すぐに返事ができないなら一晩考えてもいい。当局からの逃亡生活も大変だっただろう。しばらく館に滞在して考えるんだ」Kがそう言った時、パリィ博士がはやとの腕を突ついた。「潮時だ。突入するぞ。幸いクランの部屋には鍵をかけていない。突入したらKを殴り倒すからその間にきみはクランを連れ出すんだ」はやとが短く頷いた。博士が熱電子放出器を窓に向けた。その時、船戸くんの声が聞こえた。「いや、待つ必要はない。僕の答えは決まっている」「僕がどういう考えをして誰の味方をするかは分からないが一つだけはっきりしている。当局にだけは絶対につかない」そのきっぱりとした返事を合図に次の瞬間熱電子放出器からまばゆい光が闇を切り裂いた。窓ガラスが急激な温度変化に耐え切れず大音響と共に粉々に砕けた。博士が電光石火部屋に突入してKにパンチを食らわせ、Kはソファの後ろ側に吹き飛んだ。はやとは隣の部屋に行く必要がなかった。クランはすでに扉をつき開けて窓に突進していた。外ではもう二機のヘリが着陸していて回収体勢に入っていた。はやとはそれを見てほっとしかけたが安心するにはまだ早かった。庭を走ってきた警備員たちが窓の外に集結している。クランが窓を飛び越える直前で急ブレーキをかけた。

クランが振り返り、パリィ博士と目が合った。

「久しぶりだな」パリィ博士が言った。こんな時だがその目は再会の嬉しさを語っていた。クランは一瞬今の状況をすべてを忘れたかのようにまじまじと旧友を見つめた。「クランだけは、逃がすな。他は放っておくんだ。絶対に、クランを、捕らえろ。反逆者だぞ」床の上でKが喘ぎながら怒鳴った。たちまち六人全員がクランめがけて突進した。しかしあまりに命令に忠実すぎた警備員たちは背後からはやととパリィ博士に引き倒された。それを逃れた数人がクランに飛びかかった。たちまち乱闘になった。はやとはすばやく警備員たちの攻撃をかわしたがいくつかパンチをくらい、鼻血が流れるのを感じた。防戦するのが精一杯だ。「奴が逃げるぞ。外に援軍がいる」Kがまだ床に潰れたまま叫んだ。はやとが窓の外を見ると船戸くんとクランが警備員たちを振り切って庭に出ていた。もうヘリは目の前だ。船戸くんが乗り込み、クランが続いた。ところがクランの左足がヘリに入り込む直前に追いつかれた警備員に足を引っ張られ、ずるずると引き出された。はやととパリィ博士は大急ぎでそちらに走りこんだ。クランをつかんでいた警備員がパリィ博士に思い切り蹴られ、その手が離れた。誰かがヘリの中へクランを引っ張り込み、すぐに上昇した。「はやと、早くヘリに乗るんだ」パリィ博士が叫んだ。しかし標的を逃してしまった警備員たちはここぞとばかりパリィ博士を殴りつけ、手から熱電子放出器を奪った。光線がやみくもに空を引き裂いた。上空で鈍い音がし、ヘリが一瞬がくんと下がってひやりとしたが一気に急上昇して逃れ去った。はやとたちの上にガラスの破片が降り注いできた。パリィ博士は今や完全に取り囲まれていた。その時、回収を待っているヘリからトミーと友梨が降りて来ようとした。「やめろ、捕らえられるぞ。ヘリに戻るんだ」パリィ博士が叫んだ。その声で警備員が一瞬戸惑った隙にパリィ博士が警備員を振りほどき、ヘリに突進した。はやとも後を追った。しかしヘリまで後一歩というところでパリィ博士が悲鳴をあげて倒れた。警備員の放った熱電子光線が背中に当たっていた。はやとは一瞬頭が真っ白になったがありったけの力を込めて博士をヘリに引き込んだ。ヘリが急上昇し、ぐっと体が地面に押し付けられた。たちまち地上から光線が発射され、ヘリの床に小さな穴が空いたが幸い、致命的な損傷を追う前に光線の届かないところまで逃れた。「早く、病院へ」はやとが操縦席にいる友梨に向かって行った。パリィ博士は床で呻いている。背中の服が溶けていて見ているうちにもどんどん血が流れ出した。「ディメンションセンターの付属病院へ行こう。あそこが一番大きいし。大丈夫、火傷くらいすぐ直してくれるよ」トミーが言ったが博士の傷を見ると不安そうな顔になった。するとパリィ博士が苦しそうに声を発した。「頼む、このまま・・月の台へ返してくれ」「何を言ってるんですか。すぐに治療しないと大変なことになりますよ。それに治療技術が全然違うし」はやとはトミーが不安そうな顔をしていたのが気がかりだった。この世界でもこの傷はまずいレベルなのか。「お願いだ。今病院に行ったら私は当局に捕らえられる。ここで終わりにしたくはない。分かるだろう。私は解放団を続けたい・・・街が解放されるまで」はやとはその声に万感の思いを感じ取った。「でも・・」「はやと、これは命令だ」パリィ博士は強い口調でそう言ったきり気を失ってしまった。「よし、全速力でお屋敷へ向かうんだ。追っ手に気をつけろ。もし追ってきたら諦めてディメンションセンターに行くんだ。でもそれまでは・・・やってみよう」はやとが悲痛な気持で叫んだ。友梨は進路を変え、まっすぐ五号区へ向かって行った。住宅地の上も構わず一直線に飛んだので操縦席のコンピュータがしきりに警告を発したがみんな無視した。一五分後、はやとはお屋敷の庭が見えてきた時、とりあえず追っ手が来なかったことに安堵した。ヘリが着陸するや否やはやととトミーで博士を東屋に運び、月の台へ飛んだ。クロノス像から博士を下ろすのは一苦労だった。なんとか傷に障らないようにと努力したがおびただしい血がクロノス像を赤く染めた。その間に友梨がはやとの携帯で救急車を呼んだ。「後は頼んだ。適当に言い訳しておいてくれ。僕は船戸くんたちが無事か確かめてくる」はやとはそう言い残して再びパリティ・シティへ入った。空を見上げると一機のヘリが近づいてくるところだった。窓からさやかが手を振っているのが見えた。「良かった、後ろからついて来ないから心配してたのよ。指定されたルート通りに帰った?ってどうしたの?」ヘリからおりてきたさやかがはやとを見て言った。「パリィ博士がやられたんだ。早く月の台へ行った方がいい、もう救急車が来るはずだから」さやかは真っ青になって東屋へ駆けていった。船戸くんも後に続いた。最後にクランが出て来て東屋へ行こうとするはやとの手を強くとらえた。「急いでいるところすまない、少しだけ時間をくれ」はやとは振り返ってクランをまじまじと見た。この急な時にいったいなんだろう。「まずは今日のお礼を言わせてくれ。私はこれでやりかけていた仕事に戻ることができる。パリィ博士にも伝えてくれ。無事であると信じている」はやとはどきりとした。この人は去ろうとしている。「まさか、このまま去ってしまうのではないでしょうね」はやとはそうに違いないと思ったが何とか引き止めようとした。今日はいろいろ計画外のことがおこってしまったが今の瞬間が一番信じられなかった。ここ数週間博士たちはクランを救い出す計画に必死だった。しかし誰もが救い出されたらパリティ解放団へ入ってくれるものと信じて疑わなかったのだ。「いや、私はきみたちと過去に行くなんてことはできない。ここでやるべき仕事がある。きみを信用して言うが私はここで革命を起こして未来にふさわしくない当局を打倒するつもりだ。すでに味方も集めている・・・」「でも・・それにしてもまたいっしょに協力なさったらいいでしょう。博士は長い間あなたのことを思って・・・」はやとは強い口調で言った。「さっきも言った通り今日私を助け出してくれたことには感謝する。パリィ博士に以前のことは全て忘れると伝えてくれ。しかし私はもう一度パリィ博士と協力することはできない。あの時代はもう終わったんだ」

「そんな・・・」はやとは言葉に詰まった。

「残念かもしれないが、一度別れた道は二度と同じになることはないんだ。お互いに過去は忘れてそれぞれの未来へ進むべきだ」はやとはその言葉でクランを説得するのは容易でないだろうと思った。

「でも・・・この街ではあなたはすぐに捕まってしまいますよ。一時的にでも過去へ逃げた方が・・」

「いや、私の心配は不要だ。当局の思想や行動は数百年前のものだ。すでに滅びて然るべきようなものに負けるわけはない」クランの眼が冷然と光った。

「でも・・・あなたの弟子の船戸くんはどうなるんです?彼も過去に滞在しているんですよ」

「彼はもう大人だ。自分なりの考えで動くさ。私は別に彼に何かを押し付けたりはしない」はやとはとどまらせるためのあらゆる道が消えて行くのを感じた。

「では、私はこれで失礼するよ。パリィ博士にもよろしく伝えてくれ」クランが言った。はやとは最後の綱にしがみつく思いで、ある一つのことを思い出した。

「クランさん、ちょっと待ってください。あの・・トンネルのすぐ向こうにパリィ博士の作ったあなたの彫像があるんです。パリィ博士はあなたの考えるような理想世界の欠けらはどこの世界にも、すぐ手の届くところにもあると言うということをいつかは分かってくれるものと信じて待っていたんです。一目でいいから過去を覗いてパリィ博士の気持を知りませんか?」クランは一瞬立ち止まった。一瞬こちらに戻ってくるようなそぶりを見せたように思った。しかし何も言わず、さっと垣根を飛び越えると闇の中へと消え去った。夜のとばりに覆われてやけに広く見える庭で呆然と佇むはやとを一人残して。


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