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Chapter3

第三章


はやとがクロノス像の詩を発見してから一〇日ほど経ち、五月の末の金曜日になった。はやとが詩を発見して以来、気のせいかさやかのいつものつんとした自信たっぷりな話し方が少しばかり緩和されたように思った。それと同時に密かに対抗意識を燃やしている感じもした。


その日は朝から湿っぽい小雨が降っていて少し蒸し暑かった。一日中降り続くという予報だった。はやとはいつものように学校まで並木道を自転車で駈けて行くことができず、気分が乗らなった。学校に着くと今日は部活ができそうにないと言って中本くんは機嫌が悪かったし、さやかも今日はなんだか気怠そうだった。

「私、雨の日が好きじゃないわ」ちょっとつっけんどんとして言う。

「まあ仕方ないさ。何かいいことが起こったら気分は晴れるさ」はやとは軽く受け流して言う。ところはその日はいいことどころか一時間目から災難だった。じいさんがいつものしわくちゃのスーツを着ていかにも不機嫌そうな様子で教室に入ってきて言った。

「今日は先日宿題にした詩を返却する」クラスの人たちはまた例のごとく、「諸君の詩の出来の悪さ」や「ひどいスペルミスや文法ミス」についてじいさんが述べ始めるを半ばあきれながら待ち構えた。ところがいつものような皮肉を帯びた言葉は飛び出さず、厳格な口調で話し始めた。

「諸君、あなた方の中に私を欺いこうとする者がいた」目をぎらつかせる。はやとは内心どきっとした。いや、大丈夫、まさかあんなところに隠されていた詩を知っているはずはあるまい。いつもの不真面目な連中が何かしでかしたに違いない。

「諸君の中にたいそう素晴らしい詩を書いたものがあった。そのレベルはとても中学生とは思えないほど」じいさんはいつもの皮肉な調子に戻って言った。はやとはまさかとは思いつつも心臓が破裂しそうだった。いつもはこの時間は寝ているはずのさやかも背筋をぴんと張って次の言葉を待っている。そして、その瞬間が来た。

「常盤はやと、今日の放課後、私の部屋に説明に来るように」沈黙を切り裂く一撃。クラスの目が一斉に自分に注がれるのを感じた。幸い、じいさんは一にらみでそれを押さえつけ、授業を開始した。はやとは落ち着こうとしたがとてもではなかった。全く想定外の出来事だった。あの詩はそんなに自分のレベルを超越していたのか。宿題の写しをやってばれる人はこれまで何人かあったし、せいぜい叱責されて追加の宿題が出るくらいだろう。ただ、じいさんにいろいろ探られると思うと嫌だった。はやとはクロノス像の秘密をさやかより早く見つけたのが誇りだったし、さやかと二人だけの秘密にしておきたかった。

休み時間にさやかがやって来た。

「ばれちゃったみたいね」

「こうなるなら詩くらい自分で書けば良かったよ。先読み力に欠けていたな」

「見つかったのはもう仕方ないけどいろいろ詮索されるかな?」とさやか。

「じいさん抜け目なさそうだしね」

「いっそのこと自分で書いたと言い張ってみたら?どうなるだろう」

「それはできないよ。もう一つ同じレベルの文章書いてみろって言われたらどうしようもない」

「でもどっから取ってきたか説明に困るわね。年上の兄弟とかいれば書いてもらったってことにもできるけどはやとの場合は無理だし、何かの本から引っ張り出して来たも無理ね。持ってこいと言われたらおしまいだわ」

「インターネットから取ってきたことにするよ。じいさんいつも作ってくるプリント、タイプライターの文字だよね。きっとじいさんパソコンが使えないぞ」はやとは開き直って言う。

「いい考えね。万一検索されてもサイトから消えたとか言ったらなんとかなるし」さやかも賛成した。


放課後になった。雨で部活も中止になったので早く帰宅するものが多かったがはやとは一人校舎の隅っこの薄暗い一角にあるじいさんの部屋に向かった。できれば足を踏み入れたくないところだったがこの際仕方ない。考えてきた言い訳を心の中で繰り返し、大きく息を吸ってノックした。

「入りたまえ」中でじいさんの声がした。

「失礼します」はやとは辞書やら本やらでごたごたしている狭い部屋に入った。座るように示される。机の上には古めかしいタイプライターが置いてあり、パソコンはなかったのでほっとした。机の端に溶けかけた人のような奇妙なオブジェがあるのが否応なく目についた。

「常盤はやと、だな。言い訳を聞こうじゃないか」

「はい、週末はずっと妹の勉強を見ていて詩を書く時間がなく、インターネットから取ってきました。すみませんでした」さてと、どんな罰が待っているのだろう。

「インターネットか」じいさんの声が暗く響いた。

「はい・・・」

「お前は、どこまでも誤魔化そうとしているのだな。出処をそんなに知られたくないのかね。よいか、常盤」じいさんが言葉を切った。次に出てきた言葉は驚くべきものであった。

「あの詩は、あれは、わしが一〇年以上も前に書いたものだ。依頼されたというのが正確だが。さあ本当のことを言うんだ」はやとは思わず息をのんだ。万事休す。

「あ、あれは、その、月の台公園の・・・」

「あの像に書いてあるのだろう」じいさんがクロノス像の秘密を知っている・・・。はやとはいろいろな謎が込み上げてきて聞きたくてたまらなかった。

「先生はクロノス像を作らせた人に会われたのですね」はやとがじいさんが興味を持たないかと思ってさりげなく言ってみた。部屋の隅にも人の手をかたどった粘土細工が置いてあるのに気づいた。突然はやとの頭で何かが結びついた。

「・・いや、もしかして、先生があの像を制作なさったのでは?」

じいさんの息をのみ、飛び出した眼がぎらぐりぐりとはやとを探った。

「その名前をどこから・・無論私が作ったのだが・・いったいどうやって像の名前を知ったのだ?」じいさんが問い詰めた。どうしても知りたいようだ。はやとは交渉の余地が生まれたと思った。うまく行けば何か情報が手に入るかもしれない。

「僕も像の制作の依頼者を知ってるんです。でも先生はあの意味ありげな像についても依頼者についてもずっとよくご存じのことでしょう」はやとはじいさんが権威でもってしゃべらせようとするかと思ったが意外にも向こうから先に話し出した。はやとのきっぱりとした口調に何か情報を与えないと聞き出せないと思ったのかもしれない。

「無論そうあるべきだ。しかしあの依頼主は実に謎めいていた。何か騙されたようでここ一五年間折に触れてわしに心を掻き乱してきた・・・」遠い日を思い返すような口調で語り始めた。

「一五年前の夏だったかわしが教師になるより以前のこと、ある日一杯呑もうと思って街の居酒屋に一人で入った。そこである若造にに出会ったのだがどうもわしとバーテンと話している会話からわしが彫刻をすると知ったらしく、ある像を作って欲しいと言うのだ。酒を奢ってくれたしわしも金が必要だったから話に付き合った。ある写真を見せてこれにクロノスをかけた像はできないかと言う。勿論そんなことはたやすい。しかし奴は謎めいた指定をしてきた。謎めいた詩を見えもしないところに入れろと来たりあのqの文字は間違いじゃないからそのままにするようにだとか。わしは途中でそんなものをどうするのかと聞いた」はやとは全てを覚えようと熱心に聞き入った。

「するとその若造の話し始めたことがいたって妙なのだ。奴が言うには前に住んでいた街で親友ともめてしまい、そこから追放されたという。まるで中世のような話だな。しかしどうしてもその友人に書き残しておきたい❘見る機会があるかはわからないが❘ことがあるらしかった。わしはあの詩はどういう意味かと聞いたよ。すると奴は大した意味はない、ただもし友人が追放したことを後悔してこの街にやってくるようなことがあったときのためだと言って結局教えてはくれなかった。奴はどこか楽しんでるように言っておった。どこまで真面目に言っていたのか分からない。わしは思った。こいつは少し気がおかしいのだなと。さては騎士物語でも読みすぎたんだろう。それなのにわしが冗談半分に制作費用を伝えると奴は驚いたことに値切りもせず承諾し、半金をさっそく銀行から持ってきた。わしは像の制作を引き受けざるを得なかった」

「一ヶ月経つと奴はわしの家にクレーンのついたトラックでやってきて残りの金額を渡すとそのまま像を持って行ってしまった。そんなものをどこに置くのだろうと思ったが数日後に公園を通りかかるとひどく目立つところに自分の作品があるじゃないか。わしはますますわけが分からなくなった。その後、例の若造とは連絡がつかないし二度と会うこともない。以来公園を通るたびにわしは信じられないような馬鹿にされたかのような気分になるのだ」

「そうでしたか・・・。実は僕は依頼主にはたまたま像のところで出会っただけなんです」はやとは新しい情報ではないことをすまなく思いながらもあの日の出来事を話した。

「そうか、偶然会っただけなのか。珍しいことだ」

「きっと近くに住んでいるでしょうから先生もまたどこかで会われるかもしれません」はやとが言った。じいさんはしばらく答えなかった。はやとは罰則の方を考えているのではないかと思ったが立ち上がって言った。

「話が済んだなら帰ってよろしい。それからわしがあの像を作ったことは誰にも言わないように」じいさんは最後の言葉を少し卑屈な調子で言った。

「あれはとても美しい像だと思います。毎日あそこを通って帰るんです」はやとは罰則どころか貴重な情報をくれたことへの感謝をこめてそう言うとあいさつして部屋を出た。


家に帰ると早速さやかに新しい情報が手に入ったことを知らせるメールをした。日が暮れてから返信が来た。

「明日晴れたら一二時に公園横のカフェでランチしよう!」よし来た。はやとはうれしい気分で明日晴れますようにと願った。


次の日はラッキーなことに雲ひとつない晴れ間が広がっていた。お昼前になり、そろそろ出かけようかとした時、はやとの携帯が鳴り響いた。さやかからだ。

「もしもし?」

「はやとくん?ついに見つけたのよ。さっき光の騎士のところで。すぐに来て。ほんとにもうすごいんだから」さやかの声が上ずっていた。

「いったい何を発見したの?」

「別の世界への扉よ。ランチどころじゃないわ。とにかく、すぐ来て」きっと余程のことに違いない。

「分かった。すぐ行くよ」はやとはそう答えると家を飛び出し、駆け足で公園に向かった。入口の近くでサンドイッチの売店が出ていた。唐突な出来事にまだ動悸がおさまらなかった。きっと今日は長い一日になるだろう。はやとはそう思ってローストビーフのバゲットを二つ買ってクロノス像に向かった。

台座のすぐ前にさやかがいて早く来るように急かしている。

「そんなに急いでいったいどうしたの?とりあえず長い午後になるだろうと思ってサンドイッチ買って来た」はやとはじいさんの話を伝えることなんかすっかり忘れていた。

「そんな暇があったの?別の世界への扉を見つけたのよ。前から思ってたの。はやとが本と砂時計の反転を見たって言った時もしかして別次元のせいじゃないかって。事実その通りだったのよ」さやかはそう言って瞬く間にクロノス像によじ登った。相当登りこなしたのだろう。はやともサンドイッチをつぶさないように苦労しながら登った。

「右手の先の方よ。見てて」さやかはそう言うと用心して手の先まで滑って行くと手に持っている本の先に腰掛けた。そして信じられないようなことが起こった。さやかがその先の空いた空間に手を伸ばすと透明にでもなったかのように手のひらが消えるではないか。さらに、見えない地面を探るかのように手を動かすと本の先に立ち上がり、ひらりと宙に飛んだ。危ない、はやとがそう思った瞬間さやかの姿が消えていた。すぐに消えたあたりのところから二本の手が空中に浮いているように出て来た。手招きしている。顔も現れた。

「どう?」満面の笑みだ。

「すごいよ。信じられないよ。まるで九と三/四番線じゃないか」はやとも右手の先まで進んで立ち上がった。

「ジャンプするのよ。手に捕まって」さやかが言う。はやとは差し出された手を握ってさっと飛ぶと一瞬目の前が真っ暗になり、次の瞬間眩い光がぱっと差し込むと硬い地面に着地していた。さやかも横にいる。周りを見渡してみると丸い青い屋根の東屋にいるのが分かった。ギリシャ風の柱が周りを囲んでいる。その外には庭が続いており、周りに小さな噴水がある。

「ここはどこなの?」はやとが聞く。

「誰かの家の庭よ。だからまず外に出なきゃ」さやかは声を細めて言った。東屋を出るとすぐそばにお屋敷が目に入った。さやかの家のゆうに二倍はあった。一番近い部屋からピアノの音が聞こえてくる。二人は無言で噴水やら花壇やらのある広大な庭の端まで行き、真ん中にライオンの顔の模様が描かれた大きな門を小さく開けて往来に出た。通りがあり、反対側にはちょっとした広場と美術館風の建物、その両側には住宅がずっと先まで並んでいた。一見して月の台にこんなところはないと分かった。

「私もまだここまでしか来ていないのよ。どういう世界かは分からないけど、まちがいなく別の次元ね」さやかが言い、道の少し先に丸いベンチがあるのを見つけて座りましょうと言った。

「本が反転していたのもそのせいだと思うわ。私たちの入ってきた入口が波のように少し揺らいでいるのよ。ごく稀にあの像の本と砂時計のあたりがこっちの次元に入り込んで、また戻る時がある。すると元の世界では反転して見えるというわけ。四次元軸で反転されるのね」

「なるほど、じゃあここは四次元の世界なわけ?」

「正確には四から六次元ね。三方向ある普通の空間だもの。どういうわけか私たちとは別の三次元を使って別の世界がつくられているのよ」さやかがこう言った時、小さなモーター音が頭上でしていくつかのプロペラのついた流線型の物体が影をおとしながらまっすぐ通過した。

「なかなか文明が進んでいるんだな」はやとが驚いて言った。

「みたいだね。あっちから誰かやって来るわ」さやかは前の方から小さな子供の手を引いた女性がやってくるのを見て言った。

「ここに来て大丈夫なのかな?」はやとは急に不安になって言った。

「こんにちは」さやかが愛想良く声をかけた。

「こんにちは」その女性も軽く頭を下げて二人の横を通過した。

「大丈夫みたいね。言葉は通じるし全然怪しまれないわ」さやかがうれしそうに言った。

「少し歩いてみようか。来たところを忘れないようにして」

そこで二人は出て来た家をしっかり覚え(煉瓦造りのひときわ目立つ大きな家だったのですぐに覚えられた)、道を進みながらも左右に気を配っていた。たまに通行人とすれ違ったが誰も何とも思っていないようだった。車が一台もいないのでとても静かだった。気温もちょうどよく、初夏の月の台と違って湿度が低く、快適だった。時折、透明な大玉くらいの球形のロボットが転がりながら路地に現れ、幾つかのアームを伸ばして道のゴミを拾ったり、下の方からブラシが出て来て石畳を磨いたりしていた。表面に地図が表示された上、小さな「手」で通行人に道案内をしているものもいる。

「すごい、ここは何百年も未来みたいだ」はやとが感心して言った。

「あの反転の証拠からして私たちが超えたのは時間軸じゃなくて空間軸だと思うわ。私たちの世界とは別個にずっと長い歴史があるんじゃないかしら」さやかが解釈する。

大きな通りに出ると急に人が多くなった。道の両側にレストランや店が並んでいる。

「一つ一つ見て行きましょうよ」さやかがうきうきした様子で言った。どの建物も落ち着いた石造りで、よくイメージする金属質の高層ビルに覆われた未来都市とは一線を画していた。さやかは何かの店らしき建物(それも石造りだった)を指差すと扉に向かった。店の前には看板や広告一つない。屋上に何機かのさっき見たヘリがほとんど音もなく着陸したり、離陸したりしている。

自動扉を入ると急に未来的な空間が開いた。明るい照明の元に見たこともない機械がたくさん並んでいた。電気屋のようだ。ハチドリのようなロボットが飛んできて二人の前でホバリングすると少し機械的なイントネーションでご案内しましょうかとしゃべった。

「ええ、お願い」さやかが答えた。

「どの製品をお望みですか?」ハチドリのロボットがまた言った。

「えっと・・・なんとなく入っただけなの。なんか新しい製品を案内してくれる?」さやかが機転をきかして答えた。

「承知しました」ハチドリが言ってゆっくりついていけるほどの速度で通路を進み出した。

「新しい立体テレビをどうぞ」ハチドリが停止してそう言うとピカピカ光っている大きなテレビのスイッチを押した。テレビがつき、画面から少しちらついた一匹の犬が出てくると人の声で「より本物に近づいた立体テレビをお楽しみいただけます。従来の一.五倍の解像度で、あなたのリビングを盛り上げてくれるでしょう・・・」と説明が始まった。

「すごい技術だ。一つ買って帰りたいな」はやとは興奮して言った。

「ただいまお安くなっていまして、一台五〇〇万円でお買い求めいただけます」ハチドリがすかさず話しかけた。

「うーん、ちょっと高いかな」はやとは苦笑して言った。

「少し自由に見させてくれない?」さやかが言うとハチドリはかしこまりましたと言って何処かへ飛び去った。

隣の棚に行くと「小型家電」と書いてあり、電卓やら懐中電灯やらコーヒーメーカーやらが雑多に並んでいた。こういうのはあんまり進化してないんだな。するとさやかが突然金切り声をあげた。

「どうしたの?」

「見て、これ。父さんの熱電子放出器と似てるわ。きっと未来で実用化されたのね」そう言って「遠隔加熱器、忙しい日もこれ一台でスピーディにクッキング」と謳われた棚の機械を取り上げた。

「おいおい、さっきはここは僕らの世界とは別個に進化したって言ったじゃない。だったら君の父さんの研究は関係ないはずだよ」

「うーん、そう言ったけどそれにしては私たちの世界と似通ってることが多すぎるのが不思議だわね。とにかく、こっちでできたことなら私たちの世界でも近いうちに実用化されるはずよ。一つ買って帰ったら父さんの参考になりそう・・・」

「こっちのお金持ってないし、またどうせ三〇〇万円也とかだろ」はやとが値札を見ながら言った。

「きっと物価が違うのよ。私どこかできっとお金見つけてこれ買うわ」さやかがきっぱり言うのではやとはそう簡単にお金が手に入るかなと言って笑った。


さやかは電気屋からいっこうに出る気配がなかったがはやとはお腹が空いて来たのでお昼にしようよと言ってさやかを連れ出した。

近くの広場に芝生と木陰があったのでそこではやととさやかは腰を下ろし、バゲットの包みを開いた。

「まあ、すごい。ありがとう」さやかが言う。来る時はそんな暇があったのなんて言ったのに。

「でも飲み物を買ってないな」はやとが言う。その時、例の球体ロボットが近づいて来て二人の足元にあったバゲットの空袋を「回収」した。さらに透明な表面に飲み物の写真が現れ、「休憩用フリードリンク」と文字が現れた。

「すごい、ただで飲めるんだ」はやとはコーヒーの写真をクリックするとしばらく内部でモーターの音や液体の音が聞こえたが不意に殻の一部が開き、紙コップに入ったコーヒーが出て来た。

「便利ねー。このロボットうちに連れて帰りたいわ」さやかは自分も飲み物を取り出しながら言った。

「この後はどこに行く?そうだ、地図を出してくれないかな」はやとが去ろうとしているロボットに呼びかけると逆回転してこちらに向かって転がり、殻の表面が点滅して詳細な地図が現れた。

「えっと、今いるのが五号区だって」はやとが「五号区」と書かれた区域に赤い点が点滅しているのを見て言った。

「近くに科学館があるわ。この街について何か分かるかも」さやかが興奮して言う。

「じゃあ食べ終わったら行ってみようか。そんなに遠くもないようだし」


そんなわけで二人は半時間後、科学館に向かう通りを歩いていた。標識の類は一つも見当たらなかったが球形ロボットが至る所にいたので迷うこともなく科学館に向かうことができた。

「そういえば」はやとが空を見上げながら言った。

「太陽がないな」空は明るく、真っ青だったが太陽も雲もなかった。

「ここは別次元なのよ。私たちの世界の太陽の光が届くはずないでしょ。空全体が同じ明るさでしょう。きっと何か人工的に光を起こしているのよ」

「でもそれはこの世界の技術が進歩した今なら出来ても太陽がなくてここまで文明が発展してはずないよ。やっぱりここは地球の未来じゃない?」はやとは言った。

「私もここがまるっきり別個に進化した世界だとは思えないわ。もしそうだったとしたらさっき言ったけどあまりにも私たちの世界と似通ってる・・・。でもあの像の反転は別の空間次元でないと起きないはずだし」

「じゃあ未来であり、別次元でもある、みたいなことかな。時間軸と空間軸を両方超えちゃったとか」はやとが考え込みながら言う。

「誰かに聞いたら手っ取り早いんだけど信用できる人が見つかるまでは科学館で調べた方が良さそうね」

不意に大通りが終わり、正面に金属質のドーム型の建物が現れた。三つある自動ドアから忙しそうに人が出入りしている。正面に大時計がかかっていて一時を指している。

「今ちょうど三時だからこっちは二時間の時差があるんだ」はやとは携帯の時刻を確認して言った。

「ここでいいのかな?」さやかはそう言って中に入った。そこは一見駅の改札のようだった。券売機があり、いくつかの自動改札機がぐるっと円形に並んでいる。その先にもまたガラスの扉があり、人々が順番に入って行った。

「ここはきっと駅ね」さやかが言った。改札機の上に電光掲示板があり、「三号区」だとか「センター街東」だとか「ディメンションセンター」だとか書かれていた。出発時刻や普通とか特急とかいう表示はなかった。

「これはたぶんワームホールで別の場所に繋がってるのよ。あの扉を抜ければそのまま別の駅に行けるというわけ」さやかが解説した。

「なるほど、さすが未来都市だな。お金が手に入ったら使ってみよう」はやとは言った。

科学館は隣に建物だった。こちらはレトロな感じの建物で人が少なかった。中に入ってもチケットが必要な様子はなかった。

「そんなに大きな科学館じゃないね」はやとが言う。さやかがカウンターに行ってフロアマップを取った。

「まだ一階しか完成してないわ、道理で人が少ないのよ」さやかはマップを見ながら言った。

「でも一番知りたい内容だわ。見て、『パリティ・シティの構造』だって。きっとこの世界のことよ」はやとは早速見てみようと言って一番目の部屋に踏み込んだ。数人の小学生がやって来ているほかはだれもいなかった。真ん中に大きな球体がある。この世界の立体マップのようだった。上半球は透明な殻で覆われており、下半球との境目が地上になっていた。小さな建物の立体模型がたくさんあり、中心あたりに「ディメンションセンター」と書かれたのひときわ大きな建物の一群あり、それらを取り巻くように一号区から五号区まである。その外側は緑地や森になっていた。空には一面に模型の人工照明が付いていて実際に地上に光を放っていた。下半球は透けて中が見えるようになっている。土壌の下に巨大な装置が幾つかあり、「エネルギー系統」「重力発生装置」「余剰次元維持装置」「リサイクルセンター」などと書かれていた。はやとの目を引いたのは球体の一番底で、そこにはこう書かれていた。


パリティ・シティ最深部には極めて重要なシステムが収納されていますが保安上の理由により、明らかにすることはできません


「完全なテラフォーミングね」隣でさやかが言った。

「テラフォーミングって何?」

「人工的に生態圏を作ることよ。こっちに詳細があるわ」さやかが壁にかかったパネルを指差した。

そこには写真と共にこんなことが書いてあった。


「パリティ・シティは二XXX年に完成した世界初の余剰次元開発区域です。地球の人口増加を受けて開発されたこの街には三〇〇人の科学者と最初の移住者一〇〇〇〇人が住んでいます。直径は三〇キロ、半球の底面に街が作られ、上半球は人工照明を備え、下半球には地球と同じ土壌に加え、余剰次元の維持に必要なあらゆる機能が備わっています。街は理想的な気温と湿度、酸素濃度が保たれ、さらに重力発生装置によって地球と変わることなく生活できます。元の次元との出入り口は四箇所設けられ、基本的に自由に行き来ができます(維持機能のリミットにより、居住人口と観光客の総計は一五〇〇〇人以下になるように制限がかけられます)。パリティ・シティの中心部には世界最大の余剰次元研究施設ディメンションセンターが設置され、最高レベルの研究者がより快適な世界を創るべく日々新たな取り組みを行っています」

書かれている内容にそぐわずパネルはひび割れており、長い間放置されたような感じがした。


「なるほど、やっぱり未来だったのか」はやとは読み終わって言った。

「そうね、でもじゃあなぜ私たちがここに来れてるんだろう。私たちの入ってきた入り口は説明に書いてあるのとは違うよね。過去に通じてるんだもの」さやかが考え込みながら言った。

「僕たちがなぜここに来れてるか、どうして過去に繋がっているか。きっととてつもなく大きな謎だよ。科学館くらいでは分かりそうにないし街の人でも全部は知らないような気がする」

「私たちが見つけた以上なんとか解明しましょうよ」

「どんな旅が待ってるんだろう」

「どんな旅でも面白いに違いないわ」さやかはそう言った。


二人はその後、一階のフロアを一つ一つ見て回った。パリティ・シティの開発の歴史や詳しい技術などが展示してあった。専門的なことはよく分からなかったけど桁外れな技術であることだけは分かった。一通り見て回るともう月の台の時刻で五時前だったのでそろそろ元の世界に帰ろうかということになった。お昼時も過ぎたせいか駅前広場は少し閑散としていた。二〇分ほど歩いて五号区に戻ると二人の記憶をつぎ合わせて少し迷いながらも来た家まで戻ることができた。

「誰か庭に出てなかったらいいんだけど」はやとが少し心配になって言った。

二人は音をたてないように門を開け、庭に忍び込むと塀にぴったり寄り添って東屋の方に向かった。二人とも楽しかったもののあまりに遠い世界に来てしまったような気がしたので庭のすぐ向こうに元の世界があると思うとほっとした。しかし東屋が眼に入るとどきっとした。

先客がいる。中学生くらいの女の子が東屋のベンチに腰かけて何か本を読んでいた。二人は気付かれないように数歩後戻りして東屋の子の視界に入らないところまで来た。

「どうする?誰かいるよ」はやとが小声で言う。

「この家には人が住んでるんだからいずれあいさつしなくちゃならないと思うわ。初日にもう出会うとは思わなかったけどね。ただ・・」

「信用できない人だったらどうするってこと?」はやとが言葉を引き取った。

「うん、特に寛容さがない人だったら困るわ。入口をふさがれたりするとこっちに来れなくなっちゃう。せっかく探検が始まったばかりなのに」さやかが声を潜めて言った。

「ちょっと偵察してみようか?」

「だめだめ、あんたが女の子覗き見してるのばれたらどうなると思うの?私が覗いてみるわ」さやかはそうささやくとそっと数メートル進んで死角から覗いて様子をうかがった。しばらくするとさやかは後ろ向きに後退し、はやとのところまで戻ってきた。にっこりしている。

「どうだった?」

「ばっちりよ。彼女何の本を読んでると思う?ファインマンの量子論よ。驚いた。私もまだ読んでないわ」はやとは思わず吹き出しそうになった。

「量子論を読んでる少女なら間違いなく信用できると思うわ。私、挨拶してみる」さやかが歩き出そうとした。

「待って」はやとはさやかの服を引っ張って止めた。

「量子論を読んでるからってどんな子かわからないよ。未来では当たり前かもしれないし。とりあえず家に入らないかしばらく待ってみた方がいいんじゃない?」

「あら、慎重なのね。あの歳で量子論読んでるひとそうそういないはずだから知り合いにならないわけにはいかないわ」さやかはそう言ってすたすたと先に進んでいった。慌てて後を追う。

「こんにちは。勝手に入り込んじゃってごめんなさい」さやかが陽気に声をかけた。東屋の女の子は顔をあげた。大きな目を必要以上にぱちぱちさせた。それから本を置くと少し気取った声で言った。

「ご存じかは知らないけどここは人の庭よ。観光用の屋敷じゃないわ。何か用なの?」

「えっと、実を言うとここから来たんだけどね。その東屋でつながってる世界からね」さやかが言った。女の子はぽかんとした。

「どういうこと?」

「ほら、知らないの?ここから別の世界に行けるって」さやかは驚いたように言った。女の子はますます不審な目で二人を眺めている。そこでさやかは東屋の真ん中まで進むと手を伸ばして空をまさぐった。腕から先が月の台の公園に通じて切り取られたように見えなくなった。女の子はちょっと驚いたようだったがいたって冷静に言った。

「そんなことは知らないけど、とにかくここは人の家よ」

「そうね。確かに見知らぬ人に通られるといやだよね。ところで・・それはファインマン物理学だよね。私まだ読んでないんだけどとっても興味あるの。自分で勉強してるの?」さやかが熱心に尋ねた。

「あら、これ学校の試験勉強よ。あんたまだレベル七に行ってないの?中学生くらいに見えるけど・・いくつ?」女の子は初めて興味を持ったというように尋ねてきた。

「一四だけど・・・」

「私と一緒じゃない。じゃあまだレベル六なのね。早く次に行った方がいいと思うわ。今では将来ディメンションセンターに入れないとたいした仕事もないしね」その女の子はさらりと言ってのけた。はやとは勿論、さやかも何を言っているのかよくわからない様だった。

「ところでまだ名前を聞いてないわ。私は五号区中学の本庄友梨よ」その女の子が愛想よく言った。

「夏芽さやかです。よろしく。こっちは・・・」

「友達の常盤はやとです」はやとは漸く話す機会が得られたのでほっとした。

「よろしくね。それで、どうやったか知らないけどあんたが自分の家とうちの東屋をワームホールで繋いじゃったわけ?」どうも本庄友梨と名乗る女の子は東屋のトンネルを科学館のところで見たようなワームホールだと思っているらしい。そんなものを勝手に作れるのかは分からなかったがこっちでは一般的なことかもしれない。さやかを馬鹿にしたようにレベル六とか言ってたし消去法的に自分が作ったと思ったのだろう。

「ええっと、まあね」はやとはこの豪邸の気取ったお嬢様に詳しいいきさつを説明したくなかったので適当に答えた。

「自家用ワームホールを作れるなんて相当のレベルね。レベル一〇くらいかしら。その歳じゃ間違いなく五号区で一番ね。何軒先と繋いだの?」

「一〇軒くらいかな」はやとはまたあてずっぽうに、しかし悟られないようにきっぱりと答えた。さやかが隣で可笑しそうにくすくす笑った。

「へえ、すごいじゃない。あんた、夏芽さやかだっけ、笑いごとじゃないわ。まあレベル六じゃワームホールの原理もまだだろうけど」本庄友梨がそう言った。さやかはむっとした。

「じゃ、もう六時前、いや、四時前だし帰るわ。はやと、行きましょう」そう言ってさやかは東屋の中心の空間をちょっと探って見当をつけると身を翻して消えた。

「僕も帰るよ。えっと、本庄さん、たまにここの庭横切らせてもらってもいいかな?通るだけだから」

「常盤くんだっけ、あんたなら別に構わないわ。せっかく作ったワームホールなんだし」友梨はあんたならというところをわざわざ強調して言った。

「ありがとう。じゃあまたね」はやとはそう言って東屋の真ん中に進んで行った。

ところが予想に反して何事も起こらず、当たり前のように東屋の反対側に着いた。はやとは冷や汗をかいた。位置がずれたのか?もう一度逆向きに試してみる。また何事もなく友梨の目の前まで歩いたに過ぎなかった。心臓がどきどきし、急激に不安がもたげてきた。いったいどうなってるんだ。まさか入り口が閉じちゃったのか。

「あらあら、どうしちゃったの?」友梨がはやとが馬鹿みたいに同じところを歩き回ってるのを見てくすくす笑い出す。

「おかしい、さっきは来れたのに」はやとは焦った声で言う。

「無理ないわ。相当な距離を結んだんだもの。きっと入り口がエネルギー的に不安定で潰れちゃったのよ。歩いて帰るしかないわね。さっき入って行った子が詰まってなかったらいいんだけど」友梨が最後の一言を皮肉っぽく言った。はやとはますます焦った。

「もし詰まったらどうなるの?」

「あら、それ知らないで作ったの?理論屋さんね。まあ反対側の入り口は使えるだろうからそっから入って引っ張り出すくらいかしら。もっとも両方塞がってたらディメンションセンターに連絡してワームホールに穴を開けてもらうしかないわね。自家用ワームホールは自己責任だからけっこう高く取られると思うけど」友梨がますます可笑しそうに言ったが次第に同情的な口ぶりになった。はやとはその口調からただのワームホールだったら閉じようが詰まろうがさして問題なことじゃないと分かったがこれは別次元、それも過去と繋がってるいかにも複雑そうな代物なのだ。自分が帰れないどころかさやかが誰もいない時空間通路で動けなくなっていたらどうしよう。

その時、東屋の真ん中にさやかの手が現れたり消えたりし、まだかというような身振りをした。はやとはほっとした。さやかは無事に月の台の側にいるらしい。

「また開いたみたいね。もうちょっと入り口を補強する必要がありそう。ところで常盤くん・・・今度来る時うちでお茶しない?ワームホールの作り方教えて欲しいわ。家の中にいくつかワームホールあったら便利だと思うの。父さんならできるけど歩いた方がいいって言って作ってくれないの。ね、いいでしょう。私、お茶を淹れるのが上手なのよ」友梨がちょっと熱のこもった声で言った。はやとは曖昧な声を出し、とにかく帰ろうと空中をまさぐったがどうやっても自分の手が月の台に通じることはなかった。その時またさやかの手が現れ、はやとの腕にぶつかった。さやかが腕を掴み、ぐいと引いた。目の前が真っ暗になり次元の裂け目を通過するのを感じた。後ろの方から「約束よ」という友梨の声が聞こえてきた。さっきのはやとの曖昧な返事を肯定ととったらしい。

気がつくとクロノス像の右腕に立っていた。さやかが「いったい何してたの?」と問い詰めた。

「どういうわけかこっちに来れなかったんだ。通り抜ける時にコツとかってあるの?」

「コツ?そんなのないと思うけど。ただまっすぐ進むだけで通れるじゃない」さやかは言ってまた空中に手を伸ばすと手のひらが消えた。はやとはもしやと思い、自分もやって見たがまるで消える気配はない。

「おかしいわね。同じところに当たってるはずなのに」さやかが疑わしそうに言う。そこで二人はいっしょに空間の同じあたりを探って見たがなんとさやかの手だけが消えた。

「これはいったいどういうこと?」さやかが言った。はやとはまたもしかしてと思うことがあって、ちょっとごめんねと言うとさやかの手を取って伸ばした。

二人ともの手が消えた。さやかはあっと声を上げた。

「やはりそうか。さやかちゃん、きみだけがここを通る力を持ってるんだよ。だからきみときみに触れている物しか通れない」はやとはきっぱりと言った。

「でも・・・いったいなぜ?」さやかが信じられないという風だった。

「また一つ謎が増えたな。とにかく今日のところは帰ろうか。もう日が暮れちゃったしお腹空いた」はやとはお昼からバゲット一つしか食べてなかったなと思い出した。

二人は夕焼けを眺めながらクロノス像を離れ、公園の出口に向かった。パリティ・シティと違って蒸し暑かった。

「はやとくん?」さやかが不意に口を開いた。

「さっき東屋でこっちに来れなかったっていう時どうしてたの?」

「どうしてたって見えない入り口を探って馬鹿みたいにうろうろしてたよ。本庄さんとかいう人はきみがどっかに詰まったんじゃないかって言うし気が気でなかった」

「そう?あの子は他になんか言った?」

「他に?ワームホールのエネルギーがなんとかとか言ってただけだよ。でもどうして?」

「別になんでもないわ。かわいいけどあんまり感じのいい子じゃなかったわね」

「きっと大金持ちのお嬢さんで気取ってるんだろう。でもとにかくこれからもトンネル使っていいって言うし今度ワームホールの作り方知りたいとかで最後にお茶に誘われたよ。こっちはワームホールなんて聞かれても困るだけだし適当に流しておいたけど」はやとは言った。

「私ならそんなこときっぱり断るわ」さやかが少しいらいらしたように言った。

「でもそれならトンネルも使わせないっていうかもね。分かった、さやかちゃん、あの子が同じ歳なのに量子論とかやってるから対抗心燃やしてるんだ」はやとはくすくす笑いながら言った。さやかは何とも言わず、ちょっと膨れて肩をすぼめた。

東町の入り口で二人は別れた。

「バゲットをおごってくれてありがとう」さやかが心のこもった声で言った。

「あ、別に。そんな昔のこと気にしなくていいよ。またパリティ・シティに探検に行こうよ」はやとが言うとさやかは微笑んでうなずいた。

夕焼けが少しずつ広がり、低空の雲を赤や紫に染めた。そういえばパリティ・シティは太陽がないんだから夕焼けも見られないんだろうな、とそんなことを思いながら家に向かって行った。


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