第2話 国后オギハヤ
事実なんだよなあ…
…
私は、尚王の護衛を務めている崔というものだ。
私は、尚真王の御車を担いでいる。私はまさか、オギハヤ后が尚真王を弑するとは思っていないし、国后が王を殺すと言う事をしないのはわかっている。
けれど、何かが起こると言うのはわかっている。
私は、門の前で駕籠を降ろした。
「よくぞ来ましたね、国王。」
『はい。』
「私はあなたが成人した後も、政権を握ります。」
『なぜです!私は!』
「私は、尚家の存続を危ぶんできました。いいえ、金丸家ですね」(お方様、これは、云って良いことなのでしょうか)
「それだけなら言って悪いでしょうが、私は言わなくてはなりません。」
秘密?いったいどういうことだろうか。
『?』
「あなたの父、つまり金丸王は一介の庶民から国王ら王族の知己を得て、悪辣な先王を倒し王座に着かれました。この事は知っていますね?」どういうことだ?王の直系の一族、天皇家の子孫、源氏じゃなかったのか?
「とぼけておられてもわかります。私は先王、金丸王から聞いております」まさか、殺して先王の血を引く新王をたてる気か?
まさか。
「ですが、私は先王が嫌いでした。それに、王の一族の支持を得て王になられた金丸王を尊敬しております。
ですが、あなたの力量には不安が残ります。私と違い、貴方は新王の権威が確立したと見ているようですが、地方には貴方を付け狙う敵がたくさんおられます。それに、あなたはかつての王族を殺そうとした金丸様、を止められた!反乱を起こすかも知れなかったのに!私が責任を持って殺しましたが」知らないぞ❗そんなことはやっていない‼
『記憶、ですか。』
え?口から
『記憶が、ないのですか』
俺は何もいってない‼
ただ、声は俺だ。
「腹話術の初歩ですよ、こんなの。」
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