遠足へ行こうよ・後編
萌葱色に光る星、赤く輝く星、青と白のマーブルで、地球に酷似した美しい星。幾つもの巨大な惑星群が、満天の星空にどっかり浮かんでいる。深くて明るい夜だ、と矛盾した印象を抱かせる。水晶の蝶々たちはそんな夜をふわふわ回遊していた。
綺麗で不思議な夜の下、私はひとり、大きな湖の上に立っている。波の無いその静かな湖は、何故か表面がコンクリートのように固く、踏みしめてみれば硬質で軽快な足音。そして小さな波紋が広がった。水鏡が満天夜空を映しだし、まるで宇宙に立っているかのような錯覚を起こす。
雲一つない夜空から、はらり、はらりと雪欠が舞う。淡く光る雪が宇宙に降り注いでいく。触れてみようと手を伸ばしたその時、何処からか鐘の音が聞こえた。初めて聞くような、遠い昔毎日聞いていたような、重くて響く、大きな鐘の音。
「……やっと会えましたね。この日をどんなに待ち望んだ事か」
低く、それでいて落ち着きのある男性の声。その声の元に振り向いてみれば、2メートル前後はあろうかという大きな人影。
「シアさん。いえ、シア様とお呼びすべきでしょうか。お久しぶりです」
白銀の綺麗な甲冑を身に纏い、巨大な大剣を担いだ二足歩行の獣。その顔はどう見ても熊。第七騎士団の生活を共にした私の友達、くまさん。そのくまさんは私に微笑んだまま、その場に武器を置いて騎士の様に跪いた。
目を丸くして驚いていると、くまさんの両サイドに似たような体格の二人が現れた。大きな盾を担いだ猪、イノ助さんと、刀をさげた銀色の毛並のワーウルフ、ギンさん。二人とも跪いた体勢で、私に笑顔を向けている。
「大勢連れてきたでよ、おら達に任せとけな」
「……やっと出番か。シアは遠慮しいだから一生会えないかと思ったぞ」
つい狼狽えてしまった私の視界いっぱいに、大勢の騎士が現れた。白銀の鎧のウサギ達。大人の男性ほどの背丈で、その顔はまんま白兎。長い耳をぴょこぴょこ揺らしながら私をキラキラした目で見ている。全員跪いてる状態での登場なので見渡せたが、一体どれほどの数がいるのか判断がつかなかった。
「くまさん……ギンさん、イノ助さん……」
「もう、大丈夫ですよ」
滲む視界の先でくまさん達三人が立ち上がり、それに続いて他のウサギ騎士達も一斉に立ち上がった。
「な!?おい!!何処だよここ!?」
「何アレ!!なんかメルヘンな人たちがいっぱいいる!!」
「あの子の力か!?たしか雑誌の子だよな!?」
「って、ギン!?くま達もいやがる!!何でだ!?」
後ろからわいわいした声が聞こえ、目線を移してみれば5階層で共に戦った遠足メンバーのみんなもこの場に来ていた。パニカさんはトムさんの腕の中で動かない。二の腕辺りから切断され、その部分にはタオルがきつく巻かれていた。
「シアさん!パニカちゃんは大丈夫だ!迷宮外に出れば腕も治る!」
私の気持ちを察したらしいトムさんの言葉を聞いて、小さく息をついた後くまさん達に視線を戻す。その時、ゴブリン達の不快な鳴き声を耳にした。みんなが来たという事は、当然ゴブリン達もやってくる。くまさんは私の目を見て頷いた後、大勢のウサギ騎士の前に立って大剣を掲げた。
「総員!!!抜剣!!!!」
くまさんの号令で全員が武器を抜いて背を向けた。背の低い私には見えないが、おそらくその先にゴブリン達がいる。全員が足踏みを始め、その度に空気が大きく震える。
「ココア王国騎士団の晴れ舞台!!存分にその力を振え!!早くしないと他の連中がやってくる!!見せ場を取られてなるものか!!!!」
地鳴りが徐々に大きくなっていくが、これがゴブリンの進行か騎士たちの足踏みかは判断がつかない。
「標的は我らの主を害したゴミ共だ!!塵一つ残さず殲滅しろ!!!!」
くまさんの雄叫びが合図となり、待ちわびていた騎士たちが一斉に突撃を開始した。ギンさんもチラリと私を見やった後、獰猛な笑みを浮かべて突撃していった。すでに接敵したらしい前方の方で、巨漢ゴブリンが細切れになって飛んでいるのが見えた。
「んだば、おらは中隊率いて前団長らの守備にまわるはんで。へば」
また新たに召喚された騎士達と共に、イノ助さんが後方の遠足メンバーの元にのしのし歩いていく。唯一私の元に残っていたくまさんが、おもむろにしゃがんで私と目を合わす。
「……シア様、上の方々からの伝言です。『貴女は何者にでもなれる』そう、伝えるよう言われました。僕にはその意味はよく分かりませんが、大事なことのように思います」
では、と言い残し、くまさんは凄い勢いで前線に向かった。上の方々って誰。
「まーた出鱈目な力使いやがって。またしばらく寝込む羽目になんぞ」
「なんだか、すごい状況だね。ここがシアさんの夢の先なのかな」
近くに来ていたレンジさんとトムさんが周囲を見回しながら言う。ウサギ騎士も数名ついて来ていて、その中にはおずおず近づいてくるウサ丸の姿もあった。夢生物は復活するらしい。負けたことを気にしてしょぼくれてるみたいなので、そっと撫で擦る。トムさんに抱っこされてるパニカさんは小さく寝息を立てていた。
「……辛そうだったからね、眠りの魔法をかけてもらったんだよ」
「そう……ですか……」
その寝顔は血に染まっていて、眦にはまだ涙が残っている。眠りが覚めてしまったらまた痛みに苦しむに違いない。パニカさんの絶叫を思い出し、心が深々と冷えてきた。
パニカさんが、団長が、マスターが泣かされた。
騎士達に一刀で分断され、槍で貫かれ、鋭い剣戟で細切れにされるゴブリン達。不思議な世界での一方的な蹂躙。私は短剣を呼び出して、その戦場へ一歩踏み出した。私の気持ちに共鳴したのか、水晶の翼が細く大きく伸びていく。
「あれ?シアさん、もしかして行くのかい?」
「見た感じアイツら一人一人がとんでもねぇ強者だからお前は…………あ、分かりづれぇがこれ多分キレてるわ」
夢のみんなが来てくれたのは嬉しい、けれどまかせっきりは性に合わない。私自身に混ざった夢の深度が深くなっていくような、そんな感覚に包まれて、夢の中での日々が次々に脳裏に浮かぶ。
タッ、と駆け出すと共に靴の裏が光り、私は姿勢を限り無く低くしたまま疾走した。軽い衝撃波が起こるほどの速度。翼の光の残滓が伸びて、駆け出した道程に一本の線を引く。
「!?な、何だその速さ!!!今度は何した!?」
宙を数回蹴って上昇し、騎士たちの後続を飛んで追い越していく。とんでもない速度が出てるが、この体なら制御が出来る。進行方向にホブゴブリンの頭があったので、通り過ぎざまに切断した。私の右手が自動オートで動いたのだ。
着地地点はゴブリンの群れの中。四方八方から子鬼が飛びかかって来たが、両手それぞれに呼び出した二本の短剣を、少しだけ伸ばして迎え撃つ。ゴブリンの次の動きが手に取るように分かり、全ての攻撃を避けながら両断していく。
一切の抵抗も無く、水を切ったかのような感触でゴブリンの手が、足が、首が飛ぶ。迷宮に来て魔物にキレるなんて八つ当たりに他ならない。けれど耳にこびり付いて離れない、マスターの声。
側面からの袈裟切りを回転して避け、そのままの勢いでゴブリンを三分割。返り血をどれだけ浴びようとも気にもならない。
背後から来たゴブリンを背を向けたまま蹴り上げ、靴の裏のブースターを発動させて爆散させた。
「ククッ!……やっぱり来たかシア。そうだよな、自分だけ後ろにいるような奴じゃなかったもんな」
ホブゴブリンを縦に分割したギンさんが牙を剥き出しにして笑う。
【気配遮断】を使いつつ高速移動すると、ゴブリン達は一瞬私を見失う。その一瞬だけで私には十分だ。体を回転させて鋭い両翼で切り伏せた。
両手の短剣をそれぞれ別方向に投擲して、ホブゴブリン二体の眉間を貫く。丸腰の私に気付き、数匹のゴブリンが突進してきたが、私は右手のロケットパンチを飛ばしてゴブリン達を吹き飛ばした。
宙を行く右手は独立して動き、その手に呼び出した短剣で辺りを血に染めていく。一方、私の腕は砲身に切り替わり、青白いレーザーを放って敵を焼き切った。一撃で数十匹の上半身が横にずれて落ちていく。その様子を、追い付いていたらしいくまさんが唖然とした表情で見ていた。
「シア様……、なんとなく来るとは思ってましたが、何です、それ」
「現在の私は戦闘用アンドロイドです。なので戦闘しています」
「ブフッ!相変わらずシアは分けわかんなくて面白いな……!!」
近くで敵を撫で切りにしていたギンさんに笑われた。夢世界の人に分けわかんないって言われるの解せない。何者にでもなれる。そう聞いた時に自然と理解した新しい【夢】の使い方。戦ったことの無かった戦闘用アンドロイドの私が、今、存分にその性能を発揮している。左手の短剣で命を刈り取り、右手のレーザーで薙ぎ払う。死したゴブリン達が黒い霧に変わっていき、周囲の綺麗な景色を覆い隠してしまう。
「それより、急がなくてはなりません。いずれマスター、いえ、団長が目覚め、痛みに苦しんでしまいます」
「そうですね。チクリン団長は一度泣くとしばらく収まりませんから」
くまさんは苦笑い交じりで言いながら、大剣を一薙ぎして数匹を切り飛ばした。話しながらも目に映るゴブリン達を次々に倒していく。そんな私達の頭上を、けたたましい機械音と共に数機の戦闘へリが通り過ぎて行った。ヘリの底にはかわいいヒヨコマークが描かれている。それを見たギンさんは眉間の皺を深めた。
「……死神部隊か。こりゃ派手に来るぞ」
その予言通り、次の瞬間地を揺らすほどの轟音が響き渡り、紫の血の雨と焦げたウサギ騎士が降ってきた。戦闘ヘリがミサイルを放ち、その度に爆風が吹き荒れる。
どうしてもユニークモンスターに一太刀入れたかった私は、翼を広げて空へ急上昇した。その空には六機ほどの戦闘ヘリが暴れ回っていて、そのうちの一機が私に気付き、中に乗ったヒヨコたちがピヨピヨ鳴きながら手を振ってくる。復活するみたいだけど、出来れば味方は撃たないでね。そう念じると、ヒヨコたちは増々元気に手を振った後、ミサイルをやめて銃撃に切り替えた。
戻ってきた右手を装着し、視覚を強化して辺りを見回す。すると、戦場の最奥にホブゴブリンに守られた黒い肌のゴブリンがいるのに気付く。そのでっぷり太った巨漢のゴブリンが右腕を振るうたび、地面に黒い霧が集まってゴブリンの姿になる。みつけた。あれだ。あれのせいだ。
グッと宙についた足に力を込めて、戦闘用アンドロイド全ての性能を駆使しての飛翔。
ドンッ、と空気を震わせた音と共に、最大スピードで黒ゴブリンの元へ飛ぶ。
一瞬で景色を置き去りにし、黒ゴブリンに向けて、通り過ぎざまに一閃。
着地について一切考えなかった私は、信じられないスピードでゴブリン達を轢き殺しながらもブッ飛んだ。数回ほど固い湖の上をバウンドした後ゴロゴロ転がる。アンドロイドじゃなかったら私が死んでた。
悲痛な声を上げた黒ゴブリンが、己が右腕を押さえて悶えてる。私がパニカさんと同じ目に合せてやった。恐ろしいほどに切れ味のよくなった短剣で右腕を切り飛ばしたのだ。
「うおおぉぉぉぉ!!!ソイツを殺るのは俺だぁぁぁ!!!!」
「退けよレンジィ!!トドメはオレだァァァ!!!」
ジッとしていられなかったらしい提灯通りのゴロツキーズが、黒ゴブリンに向かって突撃してきた。トドメ刺した人が魔石貰えるシステムなのだろうか。
「……お前ピラか?人間に進化したのか、よかったな」
「ハァァ!?おいギン!!俺は最初から人間だボケ!!!」
「何言ってやがる!!人間飛び越えて魔王に進化したくせによォ!!」
「ジャドてめぇ!!ついうっかり処すぞコラぁ!!!!!!」
「お前等……相変わらずか」
夢世界の経験者ゆえに復活も早かったのだろう。ガラの悪い二人がホブゴブリンを屠りながら悶え苦しむ黒ゴブリンに近づいていく。
私はグッと姿勢を下げてブースターを起動し、黒ゴブリンに向かい一気に飛翔した。残念だけどそれは私の獲物だ。譲れない。
邪魔なゴブリン達を跳ね飛ばしながら怨敵まで一直線。
ズドンッ、と鈍い衝撃。巨漢の黒ゴブリンが私のドロップキックで宙に浮く。
「マスターの、仇ぃーーー!!!!!!」
黒ゴブリンの背に足をつけたまま、両足の裏のブースターを最大火力でぶっ放した。瞬間、辺り一帯に閃光が迸り、雷を伴う大爆発。感触から分かったが黒ゴブリンの身体は爆発四散し、周囲のゴブリン達も纏めて消滅した。
性懲りも無く私はゴブリンを巻き込みながらも水平にぶっ飛び、数回地面をバウンドした後にゴロゴロ転がる。暫しの間転がり続け、やがて仰向けの状態で停止した。
爆風が焦げた肉片を散りばめて、少し遅れて紫色の雨。
勝った。私が倒した。怨敵を討った。
ほう、と一息ついて、全身を弛緩させる。爆発のせいで服が焼け焦げたが、アンドロイドたる私はほぼ無傷。素晴らしい。頑張った。割とすっきりしたので、よろよろと立ち上がり、遠足メンバーの元にへろへろ飛んでいく。
「我らが主が大将首を獲ったぞ!!最早敵は烏合の衆!!早々に殲滅せよ!!」
くまさんの言葉で騎士たちは増々奮闘し、装甲車に乗ったヒヨコたちが銃弾の雨を降らせ、ゴブリン達はその数をどんどん減らしていった。空から地上を眺めてみれば、もはやゴブリンは100にも満たない数まで減っている。騎士達はその5倍以上の数がいる。ホッと胸を撫で下ろし、ふわふわと皆の元へ降り立った。
生き残りは20名にも満たない数だが、その皆がキラキラした目で私を見ている。中でもトムさんが興奮冷めやらぬといった様子なのが気になる。ただ一人、林田くんだけがなぜか複雑そうな表情をしていた。
「シアさん!!ロボなんだね!?ロボなんだよね!!もう一度ロケットパンチが見たい!!後ドリル!!!ドリルは無いのかい!?」
「ちょ……!と、トムさん、あの、パニカさんが落ちちゃうんで」
「こりゃ一体何の固有スキルなんだ!?ルール違反だけど気になって仕方ねえ!!」
「あ、あの、シアの姉御……。魔王陛下とジャドの兄貴が……」
「シアさん!わたし感動しましたよ!物語の主人公みたいです!」
「なあ!これみんな召喚獣だよな!?兵士が俺等を警戒してるんだが!?顔か!?このチョイ悪な顔のせいか!?」
囲まれてわちゃわちゃされてしまう。困る。自動的に【気配遮断】が展開された。興奮気味のトムさんがウサ丸の作り出した結界に阻まれていて、その結界をしきりにノックしてくるのが怖い。みんなが褒めてきたり提灯通りの人が泣きついてきたりで居心地が悪い。そわそわと目線を泳がせている私の元に、くまさん達が合流してきた。
「シア様、敵の殲滅完了致しました。シアさ……うーむ、やはりシアさんはシアさんという気がしますね」
「……いいんじゃないか?オレは最初から呼び捨てだぞ。なあシア」
「おらも呼び捨てが楽だな。それよりくま団長、おらんとこさ一匹も来ねぇでまんずヒマだったっぴょ」
囲まれてる私を助けてくれなかったイノ助さんが、ひょいっとくまさんとギンさんに手を上げた。その三人の元へ、結界を突破できなかったトムさんが歩いていく。
「くま君、ギン君、イノ助くん。また会えて嬉しいよ」
「こちらこそですよ、トム副団長。これからもシアさんが呼んでくれれば、いつでもお会い出来ますよ」
「……そうだな。くまはほら、トム副団長の鍋が好きだって言ってたからな」
「あれ思いだしたば、笑いそうになるはんで、やめてけろ」
未だ囲まれて撫で回されたりしてる私を三人は助けてくれず、トムさんと和やかに話している。主と言いつつぞんざいな扱いである。一方、ウサギ騎士やヒヨコたちは楽しげに魔石を拾っていてとても良い子たちだと思う。
「さっきのヘリ、あれアパッチだよな!?俺を乗せてくれないか!?」
「ねえシア、その翼触ってい?すっごい気になってたんだよ」
「あのヤバい二人の友達だからこんなに強いのか?へっぽこだって聞いたぞ」
みんな一斉に喋って困る。顔の怖い人達がにこやかで余計に怖いし、春香さんは私に祈ってるし、林田くんは何故か天を仰いで手を合わせてる。カオス。ホルンちゃんは安定のウサ丸遊びである。
私達が立つ湖から光の粒子が浮かび上がり、七色の惑星群に向けて立ち上っていく。無数の星が湖から飛んでいくその光景は、まさに【夢】に相応しい景色だと思えた。
空間に亀裂が入っていき、微かな地響きが始まった。夢の終わりを告げるサイン。徐々に思考が鈍くなっていき、足元が覚束なくなってきた。トムさんに抱っこされたパニカさんは、すっかり顔の血糊も拭かれてすややかに眠っている。正直言えば格好いい私の姿を見せたかったが、痛みで苦しむよりは眠っていた方がずっといい。
私もどんどん眠気が強くなり、景色がゆっくり霞んでいく。パニカさんの腕が本当に治るのかが心配で、今回ばかりはどうしても眠りたくない。けれどそんな意志とは無関係に、私の意識は徐々に遠くぼやけていく。このまま眠ってしまえばまた暫くは目覚めない日が続くのだろう。またみんなに心配をかけてしまうと思うと申し訳ない気持ちになる。
パニカさんの治療法は、できれば、パッと一瞬で治るような方法ならいいなと思う。痛みも無く、パニカさんの目が覚めたらいつの間にか治ってた、みたいなものなら安心できるのに。重い瞼の隙間から、終わっていく夢の世界を見た。目が覚めたら、思い切りパニカさんに自慢しよう。活躍を盛りに盛って自慢したい。そして伝えるのだ、ちゃんと仇は討ったと。私はパニカさんのリアクションを空想しながら、夢の終わりを見届ける前に、深い深い眠りに落ちていった。




