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くまの異世界暮らし(仮)  作者: タン塩
3/4

遭遇

 私の名前はルーリア。

 色々な街を旅している冒険者です。一か月程前から、ソリティアの街を拠点に活動しています。今日、私が受けたクエストは、ソリティアを北に行ったところにある森での、魔物の討伐です。一人での討伐は不安だけれども、森には何度も薬草の採取にいっているし、魔物も、私の強さなら討伐できる…はずです。

 ルーリアはソリティアの街では、名の知れた冒険者だ。しかしそれは、恐ろしく強いとか、頭の回転が凄まじく早いとかそういうことではない。

 名が知れている理由の一つが、その風貌だ。人懐っこそうな目。すっと通った鼻。ふっくらとした唇。それに、腰のあたりまで伸びた、黒曜石のように黒く透き通った髪。バランスのとれたスタイル。簡単に言うとかなりの美少女なのだ。しかし、これだけでは名前はそこまで広まらなかっただろう。ルーリアはその見た目以上に目立つものを持っていた。彼女はものすごく……運が悪いのだ。

 ダンジョンに潜れば、魔物の大群に追い掛け回される。森に入れば、山賊っぽいのに出会う。街を歩いていると、鳥の糞が落ちてくる。やったことはないが、ギャンブルをすればまちがいなく、悲惨なことになるだろう。最初の内はパーティーを組んでくれる人もいたのだが不幸体質が広まると、ほとんどの人が、ルーリアを避けるようになっていた。

 新しい街に来る度に繰り返してるけど、やっぱり人に避けられるのは慣れないなぁ。何でこんなに私は運が無いんだろう。運が悪いのは諦めてるけど、仲間かせめて友達位はほしいなあ。

 

 「はぁ。仲間になってくれるような人、落ちてないかなぁ。」

 

 そんなことを考えていると、森に何かが倒れているのを発見しました。どうやら熊のようだ。ここら辺で熊はでないので、旅の獣人でしょうか?

 

 「あのぅ。大丈夫ですか~?生きてますか?」

 

 声をかけてみると、ひねり出すような返事が返ってきた。

 

 「く、食い物ぉぉ……ガクッ」

 

 力尽きた。






 空腹で行き倒れていたベルアは、目の前の少女から貰った食料を一心不乱に口に詰め込んでいた。

 ヤバかった!この子が通りかからなかったら、俺、死んでたかもしれん。一応、森の中はキノコとか生えてるんだけど、真っピンクのキノコや迷彩柄のキノコやら変なのばかりたがらな。さすがにそんなキノコは俺も食いたくない。あんなの食ったら毒で死にそうだし。

 そんなわけで、空腹で行き倒れていた俺に、目の前の少女は食料を分け与えてくれた。

 

 「ありがとう、助かったよ。」

 「いえいえ。それより、何でこんなところで行き倒れてたんですか?何か有ったんですか?」


 目の前の少女は不思議に思っていたようだ。確かに、この森には植物やキノコ類が豊富なんだから、採って食べればいいと思うだろうけど、ついさっきこの世界に来たベルアには、どれが食べられる物なのかまったくわからない。

 その事を少女に伝える。本当は異世界から来た事は隠したかったけど、こんなに食べ物が豊富な森の中で行き倒れているのだから怪しいことこの上ない。だから下手にごまかすより、本当の事を言った方がまだましだと思ったからだ。

 

 「ええっ!そんなことがあったんですか!そんなお伽噺みたいな事があったんですか。」


 あっさり信じてしまった。いや、まあ、信じてもらえるのは凄くありがたいんだけど、ここまであっさり信じられると逆に心配になってくる。

 大概の人は今の話を聞いてもすぐには信じないと思う。まあ、それはいい、今、彼女は気になることを言った。


 「お伽噺?さっき会った人からは珍しいけど、たまにあるって聞いたんだけど。」

 「確かに無くはないんですけど、最後に発見された迷い人は百年くらい前の話ですよ。

 人間以外が迷い人になったのは聞いたことが無いです。」


 全然たまにじゃ無いじゃんか。あの野郎、微妙な嘘つきやがって。

 今度会ったら一発殴ると心に決めつつ、ベルアは話を進めることにした。


「そういや、名前を言い忘れてた。俺の名前はベルア。よろしく。」

「ベルアさんですか。私の名前はルーリアと言います!よろしくお願いします!!」






 「ルーリアはなんの用事でこの森に?」

 「ギルドで魔物の討伐を依頼されたんです。これでも私、冒険者なんです。」

 「冒険者?」

 「冒険者を知らないんですか?」

 「ああ、あっちの世界にはなかったから。」

 「そうなんですか?まあ、知らないなら教えましょう。

 冒険者はギルドで依頼を受けて、仕事をする人たちのことです。依頼内容は魔物の討伐や植物の採取、人物の護衛など、色々あります。ちなみに、冒険者にはランクがあってS.A.B.C.D.E.Fの七段階あるんですよ。」

 「へー、ちなみにルーリアのランクは?」

 「私のランクは……Fランクです。で、でも、このクエストが成功したらランクも上がりますし!」


 ルーリアは早口で捲し立てる。そこまで低ランクが恥ずかしいのだろうか。


 「それで、お願いがあるんですが、その……私の依頼、手伝ってくれませんか?」

 「結構です。」

 「即答!?ちょっ、ちょっと待ってください!逃げないでぇぇ!!」

 

 ベルアは即効でその場を離れようとしたがルーリアが腕を引っ張り、引き留めた。


 助けてもらっておいて自分でも薄情だと思う。しかし、めんどくさい。俺は早く街に着いて休みたいのだ。だが彼女は腰を九十度に曲げて、もう一度懇願してきた。


 「私が受けたクエストは、本来数人でパーティーを組んでこなすものなんです。でも、私、パーティーを組んでくれるような知り合いがいなくて。

 お願いします!一緒にパーティーを組んでください!!私に出来ることならなんでも(・・・・)しますから!。」

 「どうするか……」

 

 どうするかもこうするかもない。よく考えれば、俺に選択権はない。

 何故なら、俺は無一文だからだ。これでは今日の宿にも泊まれない。クエストを一緒に達成すれば、報酬も貰えるだろう。ついでに、なんでもの権利が手に入るし、それにさっきの恩を返せる。

 俺はちゃんと、返せる借りは返す。借りっぱなしは居心地が悪いし。でもやっぱりめんどくさい。


 「ん-。わかった。討伐を手伝うよ。」

 「あ、ありがとうございます!」


 ルーリアは感極まって、少し泣いてしまっている。そんなに仲間ができたのが嬉しいのだろうか。物凄い美少女なのだから、仲間位すぐに出来そうなんだけとな。

 俺は後々、彼女に仲間がいない理由を知ることとなった。

 

 



 

 


 

 

 


 


 

 

 

 


  

 

次回、戦闘です

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