世界線時間軸
世の中は常に時間に支配され、生き物はみな利己的に生かされ、動かされる。
今の俺の状況が、まさにそれだ
とっさといえど女の子の腕を握るのは珍しい体験だ。
細く華奢なその手を大事に~とか彼女の暖かさを感じるだとかそういう事は一切考える暇もなく屋上へ駆け上がった
事態が事態なのだ
分かっていただけるかもしれないが我が校の数少ない利点の一つが、屋上にあげれることである。絵に描いたキャンパスライフに青春を彩れるなんとも杞憂な場所だ。
スペースもそれなりにあり、金網からは緑の自然と都会の喧騒のコントラストが一望できる生徒たちにとっても人気スポットであり、いつもは人で栄えている
だが現在、人は見受けられない。なにせ授業が始まる寸前であったため健全な生徒はまず立ち入らない
ちなみに、ここまで大口をたたいてきたが、俺自身は友達がいなくここに立ち入るのは初めてだ。聖域にも感じられる。
あぁ...悲しい
講釈を垂れてしまい申し訳ない
では、本題に戻ろう
「で、お前は誰だ?」
目を細くしながら、少し震えている彼女に問う
「えっ...あのどういう事ですか?いきなり屋上に連れていかれて、そんな質問されて正直怖いです」
「だから、いつまで猫かぶってるつもりだ!だいたい、学校の皆も使って俺をだましてそんなに楽しいか!?なんて卑屈な奴なんだ。そーかそーかつまり君はそんな奴なんだな。」
俺は声を荒げて、質問の連撃を繰り返そうとした。だが、久しぶりに人としかも女の子と話すとあって頭は真っ白だ。でも、エーミールありがとう。
彼女は下を向いたままそのか細い声でこう答えた
「そ、そんないきなり私を悪者扱いしないでください。ただでさえ男の子に手を握られたのは初めてなのに・・・恥ずかしいです。」
少し間をあけてから、彼女は顔をおもむろに上げその大きな目でこちらを上目遣いしてくる
目が合った
呼吸が聞こえる
鼓動が早くなる
まるで、世界が自分と彼女だけのように感じた
そんな、気持ちの殻に彼女はといかけた
「それに、こちらこそ知りたいです。あなたは誰なんですか?」
冗談に覚えたが、そんな府インキは一切感じられない。そんな視線を合わせられ
彼女の目を見る、
その瞳はくしくも、先日の燃え滾る炎のようにも感じられ自身の今の性格とは裏腹な熱く情熱的な瞳だった
そして、その言葉は俺の世界の殻にひびをいれた