Phenomena
怒号うずめく中必死に彼女を抱えて僕は走りつづけた
回りの人や建造物が炎に呑み込まれて行くのがわかる
分かっていても助けられない、それをわかっていて僕は走り続ける
やっと、炎の追尾をのがれたと思えた時だった
「ううっ・・・頭痛ぁ...って!あっあんた何してんの!?」
顔を真っ赤にしながらこちらを睨み付け暴言の嵐
眠り姫、いやいや訂正訂正。暴言の掃き溜めがお目覚めだ
「まだ、状況がわかってないみたいだな。」
そういって僕は呆れた声で彼女に説明する。
さすがの彼女も驚いたようで開いた口がふさがらないようだ
だが、僕に対する態度はキツく
「それで、私を担いで運んできたってわけね。」
「そうだ、感謝しろ。命の恩人だぞ俺は。」
「ふつーそういう事、自分で言っちゃう?だからモテないんだよあんた!!」
「やめろ、やめてくれ...」
この話題に関しては何も反論できない。いや、したくもない
「でも・・・ありがと。」
そうつぶやく彼女の横顔はちょっぴり照れくさく、なんとなく可愛かった。
目を疑うほどの典型的なツンデレな桔梗だがそんなところも彼女の好きなところなのかもしれない。
(俺って変態なのかな。いや、そんなはずはない。そうでありたい)
だが、こんな非常事態に彼女のデレに喜びを示している場合じゃない
「頭痛でどうにかなっちまったのかな、俺・・・」
「なになにどうしたの?」
「お前には関係ねーよ、いいから座ってろ!」
「このケチ!!根暗!!!」
「何とでも言え、俺にとってそんなのどうってことない」
(ホントは少し胸が痛い)
「それにしてもさっきのあれは何だったんだろうな?わかるか?桔梗?」
「うーん、意識とんでたからねー分からないけど。宇宙人侵略とか?」
「そんな悠長で小学生みたいな事言ってんのお前くらいだぞ。」
「小学生とはなによっ!!後ろ向いてても意味ないでしょ!明るくいかなきゃ!!」
「ほんと、どうかしてるよお前...」
「だから言い方が悪いっての!!」
「おれも少しはお前のその前向きな性格を見習いたいよ」
「なに呆れた顔してんの!」
「あっ、お前にも他人の表情ってわかるのな」
「ふざけっ・・」
彼女は八重歯をちらしながら猛獣の様に依然とこちらを睨み付けている。
これでは、らちがあかない
「はいはい、おしまいおしまい。喧嘩は終わりにするぞ。とりあえず今は俺たちの置かれた状況を整理してどのように行動するって聞いてる?桔梗さん聞いてるー!?」
どうやら桔梗は拗ねたようでこちらの意見を聞いてくれない
だが、いつもの彼女とは思えない
それもそうだ、いきなりこんな事態になってしまったのだ。強がってる内面には当然動揺もあるだろう
「とりあえず、スマホとかで現状を調べてみたらー?」
「そんな事さっきからしてる。繋がらないどころか電源すら使えない」
「まるであんたみたい」
「この女っ・・・!!!」
論争していても意味がない、とりあえずなにかアクションを起こさなくては。
今回も私の才能が皆無な読んでいただきありがとうございます
今回は大きな動きはなく、会話を重視してみようと思い筆を走らせました
ところで、観覧数も私が思っていたよりも多く、それが執筆の原動力となっております
(本当に読んでくださっている方々ありがとうございます)
これからも自分の思想を文字にして頑張っていきたいと思います。