はじまりのものがたり
君は、魔法というものを知っているだろうか
幼い頃、絵本で見た魔法
幼い頃、夢見た魔法
どれも美しかっただろう
この世界には、魔法が“ある”
美しく、儚く、大空に一直線の軌跡を描く、神が与えた“慈悲”
それこそが、この世界に存在する、魔法というものである
人々はそれに魅せられ、己の持つ力を最大限に引き出す訓練を始めた
それこそ、正に、神の計算外
力を持てば、磨きたくなる
幼児が考えても分かる、当たり前の心理
それを見極められなかったのだ
結果として、磨き上げられた、物理的限界を突破したその力で、地上の人間たちは戦争を始めた
初めは、小さな地域に留まっていた争いは、やがて勢力を高めた集団同士のぶつかり合いに姿を変え、遂には世界を掌握するために起こす、最悪の戦いが幕を開けようとした
神は頭を抱え、こう言った
「ああ、これはもう、私の予想をはるかに越えた
彼らに力をもたらしたことは、私の手違いだったのだ」
、と
こうして、神は地上の人間たちに、試練を与えた
【この世界の10ヶ所に佇む、“楽園の泉”
この泉の水は、世界を構成する、大海原の一部である
私は楽園の泉から、水を順に吸い取って行こう
水が枯れた泉が、一つ、また一つと増えるに連れ、何処かの海が消えてゆく
生命の源が、全て枯れた時、お前たちを消し去ろう
それを食い止めたくば、己の持つその力で、私を止めて見せなさい】
これは、神の手違いによって生まれた、世界を正す、物語