荒野の盗賊
急に何やら女の子が警戒し始めたと思ったら、
俺も微かに殺気を感じた。
この殺気は前の4人組みのもか。
ちょっと遠くて見えなかったが、4人らしいな。
殺気は、魅入られた力うんぬんでなんか分かる。
「ど、どうしましょう!?・・何故こんな近くに・・!?」
「ん~あいつ等は・・・いいやつらじゃなさそうだな。」
「は、はい!恐らく盗賊ギルドと思われます!」
「盗賊・・・。まじか・・・。」
行きなりやばそうな連中に鉢合わせたな・・。
そうこうしているうちにもそいつらは近くまでやってきた。
こいつ等は頭から角が生えている。恐らく人間じゃないな
「おお?なんだ譲ちゃん?たいそう高そうな服着てんじゃねえか? 命が欲しかったら身包みおいてきな?」
「い、嫌です! 私は白椿様の連合の一員です! し、白椿様の来客を迎えている最中です。おとなしく道を譲ってください!」
一人が女の子にそう言うと、女の子は俺が聞いた白椿という名前を語り、追い払おうとした。
てか相手は盗賊の格好をしてこのセリフ・・。どこの時代劇だよ。と言いたくはなった。
しかし、その名前を聞いた瞬間仲間の一人が血相を変えていきなり怒鳴り散らした。
「お前ぇ!あの白椿の連合員だと!?俺らはなぁ!あいつらのせいで仲間は捕まり酷い目に合わされたんだ!丁度いい、あいつは仲間を大切にするらしいからな。仲間のお前を身包み剥がしてそんでもって殺してやるよ!!」
「ヒィッ!?」
あまりの剣幕に女の子は脅えるような声をだした。
俺も一瞬いきなり怒鳴り散らされてビックリした・・・。
殺すってお前・・どうやら事件に巻き込まれたみたいだな・・。
そんな中、連中は話し合いを始める。
「おいおい、こいつビビってるぜ? 」
「本当にやっちまうのか?」
「ああ、殺すに決まってんだろ!・・いや、まてよ?まだこんなガキくえせ身体してるが、こいつを犯し尽くして精神ぶっ壊れた状態で送り返してやったほうが効くんじゃねえか?」
「うわぁ、ゲスだね~。まぁ、いいや。可愛い顔してるから弄んでやるよ。 抵抗するならどの道殺せばいいしな」
「どうせ犯した後は俺達はトンズラこけばいい。みつかりゃしねえよ」
反吐が出るレベルの胸糞悪い会話をこちらに聞こえる声でやり取りした後、そう言い終わるやいなや、手から行きなり各自武器を作り出した。
女の子も会話を聞いて顔を青ざめさせてはいるが、負けじと短剣を出現させた。
どうやらこの世界武器を手から出すような・・そういうシステムでもあるらしかいな。
「おい!こいつはいい、なかなかに珍しい武器を持ってやがるな。 ありゃ宝剣だろ。あれを売れば等分楽して暮らせるぜ」
「さすがにあの大連合の白椿に関わってる奴は違うな。だが、俺達とあの小娘の狼族とじゃ力に格差がありすぎて相当な能力を付与されてなければ余裕だぜ!」
俺が相手に驚いているうちに女の子は俺に少し下がるようにうながして、一人で立ち向かおうとするが、彼女の足は震えている。
普通に考えて大人4人相手に女の子一人で勝てる見込みがあるのかといわれたら難しいはずだ。
俺もされるがままにうしろに下がり困惑していた。
そんななか雄たけびを上げて襲い掛かってくる。
「いくぞガキいいいいいいいい」
叫ぶと同時に4人は襲い掛かってきたのを、女の子は素早い足取りでそいつ等の剣などをいなしてはいたが・・。
だが、明らかに向こうの連中は人外の動きをしてる。
人ではありえない位のパワーとスピードがでているらしい。
かなりおされてる。しかも反撃ができないくらいの猛攻撃だ。
「あ、貴方様はどうかお逃げください!」
「させるか!この餓鬼は二人で十分だ、お前等二人はあの人間を殺して来い。白椿に今連絡されると俺達が殺されちまう!」
「「おう!」」
俺に逃げるよう催促すると、4人のうち二人が俺に襲い掛かってきた。
驚いて止まってる場合じゃなかった!ふんっ!!結局戦うのかよ!・・・なら話は早い。
正直女の子脅すようなクズみたいだからな。俺は容赦はしないぞ?
てか手加減できないぞ?
「死ねえええええ人間がああ!」
「うらああああ!」
「・・・クズが!くたばれ。」
俺は向かってきた二人に対して、その場の地面を抉る位の力で跳躍し、一瞬で二人の間に入る。
そして、相手の後頭部を掴んで一気に地面に叩き伏せた。
ドガアアっという音を立てて地面に頭がめり込んだが。痙攣しているから多分死んではいないと思う。
確かに戦闘能力自体人間の非じゃないくらい強いが、俺には届かないな。
スローに見えるくらいだ。
残念だが、俺も人外の力に魅入られている身だからな。
負ける気なんてもうとうない。
取りあえず俺はさらに女の子の方に視線を向けて後二人を片付けようとする。
だが、女の子はねじ伏せられて首に刃物を突き立てられ、泣きながらも服を脱がされそうになっているのに抵抗していた。
だが残りのその二人は俺を見て固まっていた。
まぁ、さっきの俺の行動を見て驚いたんだろう。
てか、こいつら・・・俺がもし死んでたら今ここで女の子に手出すつもりだったのか?
とんだクズ野郎どもだな。
「おい、いつまでそんなことしてるんだ?いい加減にしないと・・」
警告してやる。
俺は拳を振り上げるとそのまま地面に叩きつけた。
その衝撃で地面に深さ3メートル位のクレーターが出来上がった。
横には広げないように縦に力を加えたが、それでも直径10メートルの穴ができる。
脅しのつもりでやったが、力の使い方が難しくて思ったよりでかい穴ができちまった・・。
「な・・・なんだ・・・あいつ・・・やべぇぞ」
「やばいあいつただの人間じゃねえ!能力持ちだぞ!・・に、にげるぞ!」
俺が脅しをかけてやると二人は我に返り、びびって逃げ始めた。
ざまぁみろ・・。
しかも女の子を離したと思ったら仲間を見捨てて逃げ出すとか・・。
本当に胸糞悪くて、これじゃなんか気がすまないのから、ついでに地面にめり込んでる二人を引き抜いて投げ飛ばしてやった。
すでに100メートルは先を走ってるが、投げた仲間は勢い良く投げ、それにぶつかって仲良く吹っ飛んでった。
手加減はした。
死にはしないが大怪我位はおってくれると嬉しいね。
「ざまぁみろ。・・・おっとこんなこと言ってる場合じゃない」
俺は投げた後一人誇らしげにバカにしたが、すぐに女の子に近寄って安否を確認した。
女の子も涙をぬぐいながらこっちに近づいてきた。
「大丈夫か?・・すまない、最初驚いて動けなかった。」
「うぅ・・い、いぇ・・助かりましたありがとうございます・・」
道案内とは言ったが、ここは白椿とかいう権力者のテリトリーから外れてるらしいから、やっぱり危険らしいな。女の子がひとりでうろつくような場所じゃないのは確かだ。
今の戦闘で女の子は着物も着崩れしてるし、足も少し擦りむいて怪我をしている。
俺がおぶって行くのが一番よさそうだな。
「さぁ。俺がおぶってくから背中に乗って。」
「えっ・・・で、でも。そんな私なんかが・・」
「いいから。 足も怪我してるし、乗っかって。 それともおんぶ嫌かな?」
「そ、そんな・・滅相もありません・・・ありがとう・・ございます」
おそるおそると言った感じで、俺におぶさった。
足を怪我して、しかも泣いているのに道案内させるほど俺も鬼じゃない。
性格は両親を失ってから若干途中でぐれてしまったけれど、良心くらい持っているもんだ。
「じゃあ、行くぞ? あそこの町までいけばいいんだね?」
「はい・・・ごめんなさい・・・。」
「気にしないで大丈夫だから。・・にしても軽いね。」
俺が何も考えずに素直に言うと。また顔を赤くして背中にうずくまってしまった。
またやっちまった・・・女の子の体重について触れるのはタブーだろ・・デリカシーの欠片もないのか俺って。
そんな風に思いながら町に向かって歩き始めた。