人間界へGo! 天の船乗り場にて
天チャンは夢と期待に胸を膨らませながら、天の船乗り場にやってきました。
「よぅ、天チャン! 天の神様から話は聞いてるぜ! さ、この『桃』の中に入った入った!」
「えっ…。も、桃ですか?あの、源助さんさん、私、船って聞いてたんですけど・・・」
「そうかい? でも、天チャンが乗るのは桃だから」
「ど、どうして…」
「さぁ、乗った乗ったァ! 天チャンは運が良いよ! この桃、良い大きさでよ。味もウマイし、乗ってる最中に腹減ったら中からかじってやれば良いんだよ。食べ過ぎたら穴あいて沈むけど」
「なんかよく分からないけど話が違います!!! ひどい扱いですー!!」
「泣くな。男なら泣くな」
「私、男でも女でもないですー」
「あ、それなんだがな、人間界に行くからにはどっちかにならんと不自然だってことで、天チャンは男になったらしいから」
「なんですって? 初耳なんですけど! 私の知らないところで勝手に決めないで下さいよ」
「女が良かったか?」
「いえ、そういう話じゃなくって…」
「じゃあ、問題ない。さぁ、乗れ。これ以上長引くと色々飽きてくる」
「何の話ですか!」
「ふ。大人の話さ」
「嘘吐きー!!! 大人はみんな嘘吐きですー!!!!!」
こうして、天チャンは源助さんに身体を丸められて、桃の中に閉じ込められ、ポイッって川に流されました。
源助さんは、流れて行く桃に向かって、手を合わせたという事です。
(合掌)