↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ドグラ・マグラ』を読んで  作者: AKTY


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/2

『ドグラ・マグラ』を読んで

 夢野久作『ドグラ・マグラ』


 本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常をきたす。


 そんなキャッチコピーと、妖しい雰囲気の表紙の絵に乗せられて、この本を購入してから一年くらいが経ちました。でもこれが難しくて、少しずつ読み進めてはいたんですが、ちっとも理解できません。チャカポコチャカポコ鳴り出すあたりから、とても入り組んでくるんです。なにがなにやらもうサッパリ。


 途中で投げ出すのもカッコ悪いので、一応全部通して読みました。といってもほとんどが飛ばし読み。いったい何が書いてあったのか、思い出そうとしてもボンヤリしていて引き出せません。だからでしょうか、精神に異常をきたしたりはしませんでした。きっと読破はできていないということだと思います。


 そんな本にこの夏もう一度挑戦しようと思ったのは、この読書感想文のこともありますが、いまならもう少し理解できるかもしれないと思ったからです。それでぼくは部屋に閉じこもって、ずっとこの本を読んでいました。


 チャカポコチャカポコの「キチガイ地獄外道祭文」にはやっぱり苦戦しましたが、いまは夏休み、時間はたっぷりあります。誰に邪魔されることもありません。一頁一頁、慎重に読み進めていきました。


 小説の主人公である「わたし」はコンクリートの壁に囲まれた、見知らぬ部屋で目覚めます。自分が誰で、ここがどこなのか、彼にはなにもわかりません。そこに現れた若林という法医学者が事の経緯を説明し、婚約者だという美少女と面会させたりもしますが、それでも思い出せない。それで「わたし」のことを治療していたという、自殺した精神医学者の正木博士が遺した文書を読ませる。そういう始まりです。


 それらの難解な文書のなかでは「胎児の夢」が一番面白かったです。胎児というのは母親のお腹の中にいる短い間に、数億年の生物進化の歴史を繰り返しているという内容です。本当でしょうか?


 もちろんこれは小説なので、フィクションなんでしょうけど、もしそうだったら愉快だな、と思いました。あそこで昔のことを夢見るまだ胎児のぼく。うん、悪くない。そして次の赤ん坊はこのぼくのことも含めて、夢見るでしょう。きっとビックリするだろうな。


 それから物語は呉一郎という人が起こした殺人事件の話へと進んでいきます。従姉妹で婚約者の呉モヨ子を絞殺した。そして彼は以前実母も絞殺した容疑がかかっている。このような行動を起こしてしまった原因として、正木博士の心理遺伝という仮説というのが出てきます。


 それは簡単に言うと、先祖の記憶や癖が子孫に受け継がれるというものです。そしてそれを外から刺激してあげると、先祖が行ったことを子孫が無意識に再現してしまうんですね。呉一郎の先祖の記憶が彼を殺人へと向かわせた。そういうことらしいです。


 呉家の先祖についての言い伝え。玄宗皇帝に召し抱えられた画工であった呉青秀は、驕れる皇帝を諌めるために愛妻を同意の上で絞殺し、その肉体が朽ちていく様を絵巻物に描き写そうとした。とてつもない発想です。人生の無常さをわからせようということですが、そんなのでわかってもらえますかね?


 ともかくそれは実行に移されますが、腐敗が思ったよりも早く、半分も描き終わらないうちに骨と化してしまいます。それから代役を立てようと、アレコレ画策しますがどれも失敗。というか実はこの絵を描くために籠ってすぐに、皇帝は反乱で殺されてるんですね。すべて不意になったことをのちに知り、青秀は狂ってしまう。


 それでも亡くなった妻の妹との間に子をなし、絵巻物とともに日本に伝わり、それが呉一郎へと繋がっていきます。絵巻物の死んだ女性が呉モヨ子とソックリだったりしますが、まあいいでしょう。ぼくにとってはこの呉青秀のエピソードが重要だったんです。この死体の話が、飛ばし読みだった初読の時すら強烈に印象に残っていました。


 そしていまのぼくなら、前のときよりもずっと、現実感を持ってこの部分を理解できるはず。それはきっと、この作品全体の理解へもつながるでしょう。だからぼくはこれを読みながらずっとそばに居続けたのです。


 同じように絵に描いてみることも試みました。でもどうしてもうまくいきません。当たり前ですが、絵心のないぼくには無理みたいです。動画を撮影することも考えましたが、少し撮ってみてやめました。そういうことではないんだと、映像を見てすぐにわかりました。


 結局できたのは、同じ時間を過ごすことだけ。その間ずっとこの本を読み続けました。


 この物語の謎解きは「わたし」とは誰なのか?彼は呉一郎ではないか?ということでしょう。どうなんでしょう。わからない。ここまで体験したのに。狂いもしないし、ぼくにはこの小説は難しすぎたみたいです。

 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。