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ADHD勇者! 〜異世界行っても本気出せない、寝坊から始まる勇者譚〜  作者: 由良太郎


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第14話 勇者、絶対絶命。

荒れ果てた村の中央。


瓦礫の向こうに、ゆらりと“それ”は現れた。

歪んだ笑みを浮かべる異形。


『――勇者は、ここにいるか?』


低く、耳障りな声が響く。


だがレインハルトは答えない。


鋭い視線を向けたまま、静かに問い返した。


「村人はどこへやった」


一瞬の沈黙。


次の瞬間――


パチン。


魔人が指を鳴らした。


背後の空間が歪み、黒い裂け目から次々と現れる影。


二十、三十……いや、それ以上。


魔人の群れが、村を取り囲んだ。


騎士たちが息を呑む。


「な、なんだこの数は……!」


レインハルトの脳裏に、子どもたちの笑顔がよぎる。


畑を耕していた老人。


井戸端で笑っていた少女。


守ると誓った、この村。


瞳が、静かに細められた。


怒りは爆発しない。


ただ、底のない深淵のように沈んでいく。


「――焼殺だ。」


その瞬間。


レインハルトの剣が赤黒く輝いた。


刀身を這う魔力が、バチバチと雷のような音を立てる。


空気が震え、地面が焦げる。


一歩、踏み込む。


「クロスフレイム。」


消えた。


そう錯覚するほどの超高速。


二振り。


交差。


十字型の炎を纏った剣撃が放たれた。


それは空間を裂きながら前進し、距離を進むごとに巨大化していく。


炎は広がり、魔人の群れを飲み込んだ。


――轟爆。


十字の炎が炸裂し、爆炎が村の広場を覆う。


衝撃波で瓦礫が吹き飛び、騎士たちは思わず顔を庇った。


「す、すごすぎる……」


若い騎士が呆然と呟く。


やがて煙がゆっくりと晴れていく。


地面は黒く焼け焦げ、魔人たちは跡形もなく消えていた。


――ただ一体を除いて。


最初に現れた魔人が、そこに立っていた。


衣は焦げ、皮膚は裂けている。


それでも、笑っている。


レインハルトは目を細めた。


その体から、微かに揺らぐ魔力が立ち上っているのが見える。


「……魔力強化ブーストで防いだか。」


騎士の一人が叫ぶ。


「魔人が魔力強化なんて、聞いたことがないぞ!」


魔人は肩を回し、ぼきりと首を鳴らした。


『今のは痛かったぞ。』


その声と同時に、姿が掻き消える。


――速い。


次の瞬間。


背後から血飛沫が上がった。


騎士団の二人が、崩れ落ちる。


「ぐぁっ……!」


レインハルトの額を、汗が伝う。


見えない。


いや、感じろ。


空気の揺らぎ、殺気、魔力の軌道。


再び、赤黒い光が剣に宿る。


「来い……!」


レインハルトは地を蹴った。


魔人との死闘が、幕を開ける。


◇ ◇ ◇


その頃――


森の奥。


「くそっ……囲まれた!」


勇者ユラ・コルニエの前には、唸り声を上げるオークの群れ。


数十体。


逃げ場はない。


仲間たちも息を荒げている。


「どうする、勇者……!」


汗が、頬を伝う。


「こんなの無茶だ…」


ユラは震えた声でそう言う。


オークは歩みを止めない。


自分たちの命が危うい。


「ここが死に場所なんて、絶対嫌よ」


「来るぞ!やるしかない」


オークが一斉に踏み込む。


土が跳ねる。


牙が迫る。


勇者ユラと騎士レインハルト。


二つの戦場で迫る絶望。


果たして――


この危機を、どう乗り越えるのか。


次回へ続く。

第14話を読んでいただき、ありがとうございます!


ついに――

本格的な戦闘が始まりました。


個人的にもかなり気合いを入れて書いた回で、かなりの出来栄えになったと思っています。


勇者側も絶体絶命。

ここから一気に物語が加速します。


ぜひ次回もお付き合いください。

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