番外編 勇者、座学で心を削られる(被害報告書)
本編の進行には直接関わりませんので、
読み飛ばしていただいても問題ありません。
世界観や設定の裏側、細かなディテールを
より深く楽しみたい方向けの補足となっております。
お時間のある時に、ぜひどうぞ。
――これは、剣でも魔物でもなく、
白髭の老人に精神を削られた記録である。
◇
■ 魔力とは何か
魔力とは、生命エネルギーそのもの。
つまり生きてる限り誰にでもあるらしい。
「なら寝不足の日は魔力カスじゃん」と聞いたら、
杖で頭を叩かれた。納得はいってない。
◇
■ 魔法について
魔力から魔法陣を生成し、
そこから炎、雷、風などの属性を発動させる。
イメージが重要、と言われたが、
頭の中がすぐ別のこと考え始める俺には難易度高め。
「集中しろ」で解決するなら苦労しない。
◇
■ 魔力制御と身体強化
魔力を体外に放出し、
身体の周囲に留めることで身体能力を強化する技術。
通称“魔力強化”。
戦士なら少し訓練すれば誰でも使える基礎技らしい。
――じゃあなんで俺、三日間筋肉痛なんですか?
◇
■ スキルの種類について
この世界のスキルは、大きく分けて6種類。
攻撃スキル/防御スキル/補助スキル。
一般スキル/ユニークスキル/エクストラスキル。
体内魔力を消費して発動可能。
大小問わずスキルは万ほどあるので
分類だけ聞くとシンプルだが、
老教師の説明は一切シンプルじゃない。
◇
■ 攻撃スキル
文字通り、戦うためのスキル。
剣撃、斬撃、魔法攻撃など、
「当てて倒す」ための技がここに入る。
俺の【スラッシュ】も、この攻撃スキル。
◇
■ 防御スキル
結界、耐性強化、ダメージ軽減など。
生き残るためのスキル。
「勇者なら欲しいだろう?」と言われたが、
正直めちゃくちゃ欲しいです!!
■ 補助スキル
能力上昇、速度上昇、魔力回復促進など、
戦闘を“有利にする”系。
今は特に戦い困ることはないが
もしあれば役に立ちそうだ。
◇
■ 一般スキル
生活・補助・特殊効果系のスキル。
収納、鑑定、索敵、細工、料理など、
戦闘に直接関係しないものも多い。
俺の【イベントリ】は、かなりレアらしいが……
分類上は一般スキル。
「便利止まり」と言われた。納得いってない。
◇
■ ユニークスキル
本当に“例外中の例外”。
個人固有で、再現性がなく、
スキルの内容次第では国が動く。
戦争が起きる。
王が頭を下げる。
老教師はそう言って、ニヤついた。
■ エクストラスキル
条件を満たした者だけが“後天的に発現”する特殊枠。
努力、極限、生死の境、特異な経験――
そういう“何か”を越えた時に芽吹くらしい。
「才能ではなく、到達点」と老教師は言った。
◇
■ 身分制度について
公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、平民、奴隷。
この世界はとても分かりやすく、
そしてとても理不尽だ。
「俺、勇者なのに自由度低くない?」
と聞いたら、
「勇者だからだ」と返された。意味が分からない。
◇
■ 魔王とその配下
世界最強の魔王が存在し、
その下には四天王がいる。
さらにその下に、魔王の手先が山ほどいるらしい。
クソ雑魚から王国の精鋭騎士でも無理な強者まで、よりどりみどり。
よりどりみどりで来られても困る。
◇
■ 魔王と四天王の情報
王都には、魔王に関する確かな情報はほぼ無い。
「じゃあ四天王は?」と聞いたら、
老教師は笑ってこう言った。
「会った者は皆死ぬ」
……冗談だと思いたかった。
◇
■ 例外
ただ一人、例外がいる。
王国騎士団団長。
四天王と死闘の末、生還した男。
なお、その後は多くを語らないらしい。
語れないのか、語りたくないのかは不明。
◇
■ 総評
この世界は、
思ってたより危険で、
思ってたより理不尽で、
思ってたより説明が長い。
そして俺は今日も、
剣より分厚い教本を抱えて逃げた。
――なお、逃げた先で捕まった。
(被害は継続中)




