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第4話 お金稼ぎ

「―冒険者、ですか?」


 そんなこんなで、昼時も過ぎて腹が減ったのだが……さすがに王女を連れた状態で他の店に行くわけにもいかない。しかも、この宿は安い代わりに部屋にそれぞれ備え付けられた小さな調理場で自分達の食事を用意しなければならず、驚いた様子で目をぱちくりとさせるリティシアの前で材料を置き、調理をはじめながら声を返した。


「ああ。情けない話だが、実を言うと、懐が寂しくてな……」

「そういえば、隊長は孤児院にお金を入れていらっしゃると……」

「まあな。そういうわけで、ひとまず冒険者でもやって当面の生活費を稼げないかと考えてたんだよ」

「なるほど……では、隊長はそのまま冒険者としてやっていくということですか?」

「あ~、いや、まあ……その、なんだ。実は酒場……とかやってみたいなと思ってたりもしてるんだ」

「酒場……ですか?」

「はは……まあ、この歳で何を夢見てるんだって思うかもしれないが……」

「そんなことはありません! ご自分でお店を持とうと考えるなんて、素晴らしいじゃないですか!」


「はは、ありがとう。まあ、今はそんなことより日々を生きるためのお金が必要だけどね。ただ、少し余裕が出来たら小屋でも借りて、そこで店を開けたらなと思ってるんだ」

「良いですね……それなら、私、そのお店の常連になっても良いですか?」

「それはもちろん歓迎だけど……王国の王女が常連の店って、ハードルが上がりそうだなぁ……」

「ご安心下さい! 隊長のお店を紹介します!」

「はは……それはそれで、こじんまりした経営はできなさそうだけど……」


 ともあれ、リティシアも社交辞令でこう言ってくれてるだけだし、実際は忙しくてそう来れることはないだろう。


「それにしても……宿なのに、お客さんが自分で料理をしなければならないとは驚きました」

「まあ、その代わりに他の宿よりは安いからな。それより、リティシアはお昼はどうするんだ?」

「え? あ、私はあまりお腹は減ってな―」


 と、そこまでリティシアが言い掛けた途端、小さくお腹が鳴る音が聞こえる。当然、俺の腹はこんな可愛いく鳴らないし、音の主は俺ではない。そして、ここに居るのは俺とリティシアだけ……それを証明するかのように、リティシアは自分のお腹をおさえると、恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら声を返してきた。


「す、すいません……」

「気にするな。それより、もし俺の作ったものでよければ、一緒に食べるか?」

「え? い、良いんですか?」

「もちろん。とはいえ、本来なら王族の人に出せるようなものじゃないけどな」

「い、いえ! 隊長がお作りになられたものなら、ぜひ食べてみたいです!」

「はは、本当に大した腕じゃないし、そこまで期待されると困るが……まあ、王女様に変なものは出せないし、頑張って作らせてもらうよ」


 そう言うと、俺は材料を調理するため腕をまくるのだった。

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