第六章: 揺れる真実
隼人と葵が異様な空間から脱出してしばらく、二人は再び自分たちの世界に戻ってきたように感じた。しかし、何かが違う。外の空気は重く、いつもと変わらないはずの景色にさえ、違和感を覚えていた。
「この感じ…やっぱり、まだ何かが残っている。」隼人は思わず口に出す。
葵はしばらく黙っていたが、彼の言葉に耳を傾けるように静かに言った。「あの空間を抜けても、私たちが戻ってきた場所が本当に元の世界なのか、分からない。」
隼人は不安を感じつつも、葵と共に歩き続けた。二人はもう一度、事件の根源を突き止めなければならないと決意していた。
そのとき、隼人はふと思い出した。翔太が言った言葉が頭の中で響く。「君たちはもう遅い。」
あれが何を意味しているのか、隼人はまだ完全には理解していなかった。しかし、心の中に何かが引っかかっていた。
「隼人、見て。」葵が指差した先に、見慣れた建物があった。だが、その建物はどこか変わっていた。窓は割れ、ドアは半開きで、異様な雰囲気を漂わせている。
「行こう。」隼人は葵に言った。二人はその建物に近づくと、入り口に立つことができた。しかし、何かしらの力が二人を引き寄せているような感覚を覚え、隼人は思わず足を止める。
「これが…何かの兆しだ。」隼人が低い声で言うと、葵が深くうなずいた。
その瞬間、建物の中から聞こえる微かな声に二人は振り向いた。声の正体を突き止めるために、再びその暗闇に足を踏み入れる決意を固めた。
こんにちはBleuvalブルーヴァル(15)です。
『地下からの景色』第六章お届けしました。
これからいろいろな小説を気ままに投稿していきたいと思っています。よろしくおねがいします。
この小説は、僕の最初の小説で、身近なミステリー(身近ではないものもあります)を題材に書きました。たくさん読んでいただけると嬉しいです。また、たくさんの感想をお待ちしております。