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9.オープンスクールの日程

 挨拶運動期間中のある日のお昼休み。竹中裕子(たけなかゆうこ)山内愛美(やまうちまなみ)南千夏(みなみちなつ)を連れて俺たちが集まっている席へとやってきた。


「篤志、ちょっといい? オープンスクールの日程調べてみたんだけど……」


「マジか! ありがと」


 俺はニカッと笑う。裕子は特に気にする様子もなく話を進めた。


「それで、日のひのこう丘学おかがく北学きたがくの日程だけど、オープンスクールは8月に開催されるらしいわ。3校とも日程は被っていなかったから、行こうと思えば全部行けるわよ」


「お、いいじゃん。なら全部行こうぜ」


 横から片山友也(かたやまともや)が口を挟んだ。


「それで、どの学校がいつなんだい?」


 北原涼(きたはらりょう)も横から裕子に質問してきた。


「8月の初め頃が日の高で中旬が北学、下旬が丘学よ」


「成程ね」


 涼が相槌を打つ。


「あ、それとね。3校はオープンスクール以外にも何かやるらしいわ。しかも、受験生は見学を許可するって」


「え、マジで!」


 俺は驚いた。学校の見学ができるのはオープンスクールだけだと思っていたからだ。


「うん。今年の生徒会は気合が入っているみたいよ」


「へぇー。そうなんだ。ん? けどなんで生徒会が気合入ってるんだ?」


 俺がよく分からないって顔をしていると、横から千夏が説明してくれた。


「あのね、生徒会の活動で成果を出すと色々有利になるらしいの。例えば、有名大学に推薦で行けたり、企業から就職の内定が来たりとかね。だから各校の生徒会は生徒を集めるのに必死になる訳。分かった?」


「成程。分かった。それじゃあ、生徒会の人ってすごい人たちってことだよな」


「そうね。生徒会役員に選ばれるってことは、それなりに優秀ってことだと思うわ」


「へぇー。かっこいいなぁ。俺も生徒会入ってみたいなぁ」


 俺がそんなことを言っていると、すかさず友也が茶々を入れる。


「いやぁ~、そこそこの篤志には難しいんじゃね」


「誰がそこそこだよ。だれが!」


「え、篤志(笑)」


 友也がニヤッとして言うと、愛美と裕子も笑っていた。涼と千夏は肩が震えている。どうやら笑いをこらえているらしい。笑いが収まると、裕子が話を戻した。


「それで、どうする? オープンスクールには行くことになったけど、それ以外のやつは行く?」


「面白そうだし、行こうぜ!」


 俺が言うと、みんなも賛成してくれた。


「なあなあ、何をやるかは分からないのか?」


「まだ発表されていないみたい。いつやるかも発表されていないけど、噂ではオープンスクールの前にやるらしいわよ」


「え、そうなん? よくそんな情報知ってるな」


「まあ、新聞委員長なので」


 裕子は眼鏡をくいっと持ち上げて決め顔をしていた。


「裕子ちゃん、新聞委員って関係あるの?」


 不思議そうに愛美が裕子を見ていた。


「関係あるわよ。新聞は情報が命! 速く正確に伝える必要があるわ。そして、私は委員長。情報を束ねるものよ」


 裕子がなんだかノリノリである。珍しくてちょっと怖い。


「そうなんだね。裕子ちゃんはすごいね」


 相槌を打ちながら愛美は微笑んだ。裕子も優しい顔をしている。


「それで、情報通の裕子さん。生徒会の人の情報とかないのか」


 また友也が茶化しながら聞いている。


「あるわよ。どうせ聞かれるだろうと思って、まとめてきたからこれを見て」


「え、えぇぇぇ! 準備良すぎだろう!?」


 俺が驚いていると、聞いた本人である友也もびっくりした顔をしていた。裕子がまさかそこまで調べているとは思わなかったらしい。当の本人はすました顔をしていた。俺たちは落ち着きを取り戻すと裕子がまとめてくれた生徒会の情報に目を通す。それぞれの高校の生徒会は以下の通りである。


日の出高校:

赤餅泰助あかもちたいすけ 生徒会長 二年 

犬井元親いぬいもとちか 副会長 二年 

鳥越美礼とりごえみゆき 会計 一年 

猿山玄紀さるやまげんき 書記 一年 

猫田翔ねこたしょう 書記 二年 


北半学園:

島村和哉とうそんかずや 生徒会長 二年 

岩尾大地いわおだいち 副会長 二年 

川端茂かわはししげる 会計 一年 

海城利津かいじょうりつ 書記 二年

山影萌々子(やまかげももこ) 書記 一年


自由が丘学院:

木舞大星こまいたいせい 生徒会長 二年

東陽子あずまようこ 副会長 二年 

西盛月子にしもりつきこ 会計 二年 

守屋流二もりやりゅうじ 書記 一年 

緒方光琉おがたひかる 書記 一年 



 各校のまとめられた情報を見て再び驚く。


「よくこんなの見つけてきたな」


 友也呟くように言うのを裕子は聞き逃さなかった。


「ふふ。こんなの高校のホームページをちょっと探せば出てくるわよ。各校のホームページから取って来て一枚の紙にコピペしただけよ」


 裕子はどや顔で答えていた。俺は感心しながら言った。


「マジですごいわ。なあなあ、オープンスクールとかその前の出し物?みたいなやつに行ったら、この人達に会えるかな?」


「さあ、どうかしらね。運が良ければ会えるんじゃないの」


「そっか。楽しみが増えたな」


 キンコンカンコン、キンコンカンコン。

 予鈴が鳴った。俺たちはそれぞれの席につくために分かれた。俺はしばらくわくわくしながら学校生活を送ったのだった。






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