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13.強化合宿の準備

 月曜日、部活の前に顧問が陸上部の部員を集めて合宿の詳細が分かるしおりを全員に配布した。そして、詳細を説明し提出書類も併せて配られた。しおりの内容は以下の通りだ。


『強化合宿スケジュール

 5月3日(水) 

 8時       学校のグラウンド集合 出発

         バス移動

 10時      青少年自然の家 到着 

         入所手続及び荷物の移動

 10時半~11時  入所式及び施設の説明

         休憩

 11時半~12時半 昼食

 13時~17時   練習

         休憩

 17時半~18時半 夕食

 18時半~20時  ナイトハイク

 20時~21時半  お風呂

 22時      消灯 就寝


 5月4日(木)

 6時半~7時     起床

 7時~7時半     清掃

 7時半~8時半    朝食

           休憩

 9時~12時     練習

 12時10分~13時10分 昼食

           休憩

 13時半~15時半   オリエンテーリング

           休憩

 16時~17時     バーベキュー準備

 17時~18時半    バーベキュー

           片付け 

 19時~20時     キャンプファイヤー

 20時10分~21時10分 お風呂

 22時        消灯 就寝 

 

 5月5日(金)

 6時半~7時     起床

 7時~7時半     清掃

 7時半~8時     荷造り

 8時10分~9時10分  朝食

 9時半~11時半   10キロハイク

           休憩

 12時~13時     昼食

 13時~15時半    調整練習

 15時半~16時    退所式

 16時~18時     バス移動

 18時        学校のグラウンド到着 解散


 持ってくるもの

 水筒

 2泊分の着替え

 バスタオル

 タオル

 シャンプー等の携帯用化粧品

 歯ブラシ

 懐中電灯 

 帽子

 虫刺され

 常備薬

 雨具

 

 その他

 お菓子は200円まで

 談話室で食べること ※就寝する部屋は飲食禁止

 施設はきれいに使うこと』


 俺はしおりの内容を確認すると、小声で千夏に話しかけた。


「ちぃ。今年の合宿も楽しそうだな」


「そうね。けど、ちゃんと顧問の話を聞きなさいよ。これから注意事項の説明よ」


 そう言うと千夏は前を向いてしまった。俺も顧問の注意事項に耳を傾ける。


「今年の合宿は、遊びながら体力をつけることを目標としている。よって、活動をたくさん用意してみた。もちろん、しっかりと練習もしてもらうが、大会が近いのでハードなことはあまりやらないつもりだ。各自怪我に気をつけて練習に励むように。それと、就寝時間を過ぎて起きている奴が一人でもいた場合、午後の楽しい活動はキャンセルしてずっと練習になるのでそのつもりでいてくれ。もちろんキャンプファイヤーもなしだ。きちんと休んで体調を崩さないように。わかったか?」


「はい!」


 全員が良い返事をした。俺も絶対にちゃんと寝ようと心に誓った。だってせっかくの楽しい活動がなくなるのは嫌だから。俺はあたりを見まわして周りのやつの様子をうかがう。皆、真面目な顔をして顧問の話を聞いていた。破るやつが居なさそうで安心する。


「必ず水筒を持ってくること。二日目以降は、食堂で空になった水筒にお茶を入れてくれることになっている。水分補給のために、忘れないように。何か質問はあるか? では、練習を始めようか。各自ストレッチとアップが終わったら朝礼台前に集合すること」


 顧問の話が終わり、部員たちが校舎の小ホールからグラウンドへと移動する。千夏と話そうと思ったが、女子の部員たちと楽しそうに話しながら移動していたので遠慮した。


「いのっち~。お菓子何持ってく?」


 俺の肩に手を回しながら言ってきた奴は、陸上部の部長だ。部長になってからはあだ名が''部長''になって名前を呼ばれなくなった。クラスでも部長と呼ばれている。眼鏡で理知的な外見だが、うちの部では最速の足を持つ。足が速いだけでなく、外見通りちゃんと勉強もできるのだから凄い。文武両道とはこういう奴のことを言うのだと思う。しかも、人付き合いも上手いので欠点が見当たらず、お前は完璧超人かっと思うことすらある。


「部長、暑苦しいぜ。まあいいけどな。200円までだから、あんま買えないよな。でも俺はポテチは外さないぜ!」


 俺のささやかな抵抗を気にせず、部長は俺の肩に手を回したまま話を続けた。


「だと思ったよ。いのっちがポテチなら、僕は辛い系のお菓子を持っていこうかな」


「そう言えば部長は辛党だったな。甘い物はいけたっけ?」


「嫌、甘い物は苦手なんだ。チョコレートのブラックは何とか食べられるけど、クリーム系は無理だね」


「お、部長の弱点発見! 良かった。部長も人の子だったんだな。完璧超人の宇宙人かと思ってたぜ」


 俺が笑いながら言うと、部長も笑って言った。


「何それ? 僕が完璧超人? そんな訳ないよ。ああ可笑しい」


 部長はまだクスクス笑っていた。


「まあ、お菓子の事は良いとして、合宿の活動楽しみだな」


「そうだね。今年のオリエンテーリングは何をするのかな? 去年は僕の班が勝ったけど、今年の組み合わせはどうなるかな?」


「さあな。もし、違う班だったらまた勝負しようぜ。今年は負けないからな!」


「いいよ。どうなるか楽しみだね」


 俺たちはグラウンドに着くと一緒にストレッチをしてアップに移った。そして、顧問からの指示に従いそれぞれの種目別の練習に移った。部長は短距離なので俺とは違う練習メニューだ。俺はいつもの練習メニューをこなしながら、強化合宿に向けて気合を入れるのだった。





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