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朧げならば

作者: タマネギ

朧気な秋の月だから、

明日はほんとに雨だと

帰り道、思った。


震えるほどじゃない

十一月初めの寒さが、

歩き易くて心地良い。


ふと、韓国の事故が

頭を過ぎっていった。

命を落とすほどの混雑。


冥福を祈るとしか

言いようがない事故は、

自分にも訪れるだろうかと。


ああ、過ぎってゆく。

さらり吹く秋風みたいに、

日に日に冷たいように。


ハロウイン、群衆行動、

自分にもあったろうか。

若い頃を思っても見えない。


皆で盛り上がりたいとは、

一度も望んだことがない。

集まっても三人くらいまで。


そういう人も多くて、

声はそう大きくなくて、

原始哺乳類のようだった。


集まりたくなくて、

つきあいで訪れた人も

あそこには大勢いただろう。


花火のあの夜もそうだった。

恐竜に踏みつけられ、

原始哺乳類は帰りたがった。


起こってしまったことは

もう元にはもどらない。

どうか、全ての人が安らかに。


安らかに眠らせてあげてと、

立ち止まり、夜空に頼んだ。

夜雲が歩く速さで流れていった。


押してゆく文化だと

記事に書いてあった。

大陸の文化になるのかどうか。


押しが強いというのは、

必要なときはあるけれど、

常備はしたくない。


年がら年中、押す人に

たまには出会うけれど、

長くはつきあえなかった。


自分が押しているせいか、

ただの偏見、我儘だからか、

仲良くはなれなかった。


誤解とすれ違いと迷走で、

命は繋がり、また途絶えて、

ほんとから遠ざかってゆく。


朧気な秋の月ならば、

美しいのにもったいない、

淑やかなのにもったない。


静かに命を愛おしみ、

健気に命を抱きしめて、

帰り道を帰り続ける。


あとどれくらいの間、

帰ることになるのだろう。

それも、また過ぎって。

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