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みんなで動かない

遮るものは何一つない。

窓という窓に明かりが灯るビルも、もくもくと煙を吐き出す煙突備えた工場も、夕餉は何だろうと心くすぐる匂いが漂う住宅も。

仰ぎ見る空は雲一つない。

月は既に西の彼方。一面に広がるは星、星、星……

降るような星とは、このような空のことなのか。

夜空へと落ちていくような、あるいは吸い込まれるような。

手を繋ぎ、輪となり立ち並んでいたのに、いつしか春待ちのタンポポのように地面に横たわる。

遮るものが何もないここに、幾つもの音楽、溢れんばかりの歓声、弾ける笑い声…… そういった音は聞こえてきやしない。

ただ張り詰めた空気が満ちあふれている。

仰ぎ見る空は雲一つない。

月は既に西の彼方。一面に広がるのは星、星、星……

――星が流れた。

また、流れ星。

思わず胸の前で手を組む。

願うことは、ただ一つ。

祈る、祷る、禱る……

みんなで動かないで、

祈る、祷る、禱る。

当たり前にあった、あの平穏な日々を。




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