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神様時計

チッ、チッ、チッ。


悠久の未来から時は留まることなく、永遠の過去へと流れていく。


チッ、チッ、チッ。


――あんた、いい目をしている。この懐中時計に持ち主と認められると、神同等の力を得ることができるといわれる。


ふと立ち寄った蚤の市。目が離せなくなり、言い値で買い求めた懐中時計。

店主は神様時計と言っていた。


チッ、チッ、チッ。


この神様時計を手にしてから、やけに秒針の音が大きく感じる。


チッ、チッ、チッ。


眠りにつくまでの間、この神様時計を見ていると、ついつい考えてしまう。

私は時の流れの歯車として、このまま生きていくのだろうか。……とか、

それとも、動き続ける秒針のように、同じところをぐるぐる回り続けるのだろうか。……などとか、


チッ、チッ、チッ。


……考えても仕方ないことだと、わかりきっているのに。


チッ、チッ、チッ。


――もし、この世界に神が存在するのならば、今、私が、秒針が進む様を眺めるように、この世界を見ているだけなのかもな。


ギリギリギリギリ……


神様時計のつまみが独りでに動き、私の意識は、考えたこと、見たことすべてを巻き取られ、深い眠りの奥底へと落ちていく。

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