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爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常  作者: 九十九一


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日常97 調査。研究色々3

 嫌な予感しかしない予定が日曜日に入れられことは忘れ(現実逃避とも言う)、再び能力の調査を再開させる。


「というわけで、次は『成長退行』の調査と行こう。まずは……そうだね。君、大人になってくれる?」

「うむ、了解した。年代はどの程度じゃ?」

「大学生程度でいいよ」

「わかった。では……」


 神に指示された通りの年代へ体を成長させていく。


 すると少しずつ腹が減って来る。


 つい先ほど飯を食ったばかりなんじゃがのう……。


 やはり、燃費が悪い。


「これでよいか?」

「うん、問題なし。その状態で普段からいたことはあるかい?」

「つい最近体育祭があってな。二日ほどでこの姿を固定し、体育祭に参加したぞ?」

「ふむ、デメリットは?」

「二日ほど同じ姿を維持すれば問題はないようでな。二日間の激しい飢餓感を耐え抜けば、じゃがな」


 あれはなかなかに酷いもんじゃったからのう……。


 実際、何かを食っておればある程度は軽減できるが、どうも食った傍から消化されるらしく、満腹状態という物が全く訪れなかった。


 たった二日、と思う者もいるやもしれぬが、その二日間、地獄のような飢餓感を感じながら耐え抜くとか、何その拷問? みたいなもんじゃからな、マジで。


「では、ある意味デメリットらしいものはない、と?」

「耐え抜けばじゃがな」

「……ふぅむ。一つ、実験をしても?」

「それ、自分に能力をかけてくれ、ということか?」

「正解!」

「……ま、断ってもおぬしが必死に食い下がるのは目に見えてるでな、素直に従うとしよう」

「ありがとう。……じゃあ、とりあえず、中学一年生程度にしてもらえるかい?」

「了解した。では、手を出すのじゃ」

「これでいいかい?」

「うむ」


 差し出された手を軽く握り、再び目を閉じる。


 とはいえ、他人の体を変化させるとかしたことも無ければ、そもそも儂の体にしか作用しない力だと思っておった故、手探りではあるが……まぁ、それを言ったら『変色』も同じような物じゃろうな。


 しかし、あれと一緒にしてはいけないじゃろうな、この能力は。


 さて……上手く成功すればよいが……。


 と、儂が自分の体ではなく、神の体に力が作用するよう操作するイメージをしておると、なんだか握る手が少しずつ小さくなっていくような気がした。


「お、おおっ!?」


 一瞬気のせいかと思った儂じゃったが、神の驚きつつもどこか嬉しそうな声が聞こえ、気のせいではないと悟ると、儂は目を開けた。


「す、すごいっ、すごいぞ! 本当に体が戻っている!」

「おおう、まさか本当に成功するとは……」


 実験は成功し、目の前にいるおそらく中学生時代であろう神の姿を見て、思わず儂は目を丸くし驚く。


 しかし……


「の、のう、神よ」

「ん、なんだい?」

「その体は、いつの時代じゃ?」


 儂は今の神の姿を見て、その肉体がいつの物なのか尋ねておった。


「これかい? そうだね……この手足の長さに、声のトーン、胸の大きさや腰つきや全体的な肉付きを鑑みるに……中学一年生ほどかな? 私の希望通りの年代だ」

「……え、マジで?」

「あぁ、そうだけど?」

「そ、そうか……」


 ……なんじゃろうなぁ、こう、世の中って理不尽なんじゃなぁ……。


 目の前におる神はと言えば、どう見ても中学一年生の発育じゃないじゃろ、と言わんばかり。


 胸の大きさ的には、儂が大人の姿になった際の大きさよりも小さくはあるが……それでも、十分すぎるくらい大きい気がするんじゃが。


 大体……そうじゃな、儂の高校生時の大きさよりも少し小さい程度かのう?


 これ、ましろんが知ったら膝から崩れ落ちそうじゃなぁ……。


「ふむふむ……うん、なんだろうね、元の肉体よりも若いからか、失われていたエネルギーが体中に満ち足りている気がするよ」

「ほう、そうなのか」

「あぁ。この感じ、間違いなく私の体は若くなっているね。しかも……今まで研究ばかりで鈍っていた体力も戻っている。……よし、とりあえず、元の年齢に戻してくれるかな?」

「もうよいのか?」

「まあね。君の話を聞く限り、長時間同じ姿で過ごし、そして元の姿に戻ると例の飢餓感を感じそうだからね」

「そうじゃな。では、すぐに戻すぞ」

「あぁ」


 というわけで、神の体をもとの年齢に戻す。


 そう言えば、神の年齢を知らんが……まぁ、さっきの外見と同じくらいでよいか。


「……ん、よし、戻ってるね」


 再び能力を使用し、神の体を操作すると、そこには先ほどと同じ姿の髪がの姿があった。


 うむうむ、成功じゃな。


「おぉ、それはよかった」

「しかし……ん? 妙だね。最初の体よりも、若い気がするが……」

「む、そうなのか?」

「あぁ。そうだね……二、三歳くらいは若いかな?」

「そんなこともわかるのか?」

「自分の体の状態を完璧に把握するのも、科学者の仕事さ」


 普通、各肉体年齢の状態を把握するとか……無理じゃね?


 儂だってそんなことできとらんし、やはり科学者は細かいことも記録するがために、習慣化しとるのかのう?


「……ま、若返ったと思えばいいかな。おかげで、寝不足も消えたし」

「あー、そう言えば一度戻すと、どういうわけか体力とか戻るらしいんじゃよ、それ」

「……ほほう? それ、少し詳しく」


 あ、なんかスイッチが入ったっぽい。


 キランと目を光るような姿を幻視したかと思えば、いつの間にか持っていたノートとペンを手にし、再び顔を近づけて状況を詳しく尋ねてきた。


「あ、あぁ、うむ。実は――」


 とりあえず、体育祭でのことを話す。


 高校生状態で動き回り失った体力が、どういうわけか元の姿に戻ると同時に疲労など最初からなかったかのように消え失せ、全快したことを。


 その間、神は興味ぶかそうに相槌を打ったり、「ほうほう」とか「ふむふむ」とか言っておったが、最終的には思案顔になる。


「というわけじゃな」

「……なるほど。その話を聞いて、色々と納得したと言うか、謎が深まったと言うべきか……あ、他にも何かこの能力で戻したことによって、何か変化はなかったかい? 隠さず、全て言ってほしい」

「え、マジで?」

「マジで」

「い、いやしかし……」


 神に言われて儂は頬が熱くなるのを感じながら、視線を逸らし口ごもる。


 そんな儂の様子を見て、神が、ん? と疑問符を浮かべ、すぐにあぁ、と何か察したような顔へ変化する。


「……もしや、それはもう、人に言うのも憚られるほどの恥ずかしいことかい?」


 ニヤニヤ、ニマニマ、と底意地の悪い笑顔でからかうように言ってくる神。


「…………うむ、まぁ、なんじゃ」

「ほほう! では、教えてくれたまえ! これも研究のため! さぁほら! 速く!」

「なぜにノリノリ!?」

「研究のため、と言っただろう? さぁ、頼むよ?」

「ぐぬぅっ……」


 いやまぁ、儂もこの能力については色々と把握し、調べた方が良いじゃろうが……う、うぅむ、し、しかしのう……さすがに身内間での、それはもう濃い~~~プライベートな話をすると言うのも………………。


「……ほ、他の誰にも言わなければ?」

「よしわかった絶対に言わない誓おうさぁ早く1」

「どんだけ訊きたいんじゃ!?」

「命を懸けるほど」

「そこまで!?」


 こやつの命の価値観、小さすぎじゃろ!


「さぁほらほらぁ! 全てげろってしまった方が身のためだよ?」

「ど、どういうことじゃ?」


 儂がなかなか言わないことに業を煮やしたのか、にっこり笑顔でとんでもないことを口にする。


「実は君の家に、とある薬を送ろうかと思っていてね」

「……く、薬?」


 なんじゃろう、すごく嫌な予感……。


 神が関わっていそうな薬の時点で、明らかにやべー方向性の物に決まっとるし、以前送られて来た薬によって、それはもうとんでもない目に遭ったからのう……いやほんとに、マジで。


 故に、神が関わるというのは、かなりアレな物が来る予感しかせぬぅ!


「あぁ。それはもう、効果が半日以上も持つと言う、強力なせいりょ――」

「言うからそれはマジでやめて!? 儂がマジで死ぬ!」

「……君、そんなに爛れた生活を送っているのかい?」

「……しょっちゅう、と言うわけではないが……なんと言えばよいか……まぁ、まとめてドカン、みたいな感じでなぁ……正直、体力と体がヤバイ」


 そもそも、未だ五人まとめて、ということはないが、四人ですらヤバかったからのう……。意識は朦朧とするし、頭は白くなるし、気が付くと朝じゃし……本当に、凄まじいからのう……。


「まあ、それはいいとして」

「よくないが!?」

「それで、恥ずかしいことと言うのはなんだい?」

「………………初体験、何度もできる」

「…………あー、うん。その……なんだ」


 気まずそうな、それでいて同情する視線を儂に向ける神は、なんとも言いにくそうな表情で、


「……性癖は、人それぞれだから」

「いやそんな趣味は無いが!?」

「ちなみに何回?」

「五回――はっ!」

「…………君、ある意味すごいね」

「くそぅっ! すっごい恥ずい!」


 わっ、と顔を覆ってしゃがみ込む儂。


 うぅ、なんじゃろうか、この恥ずかしさは……こ、これが羞恥プレイという物なのかっ……!


「はは、まあいいじゃないか。今ので君の能力の本質がおおよそわかったし」

「……ほ、本当か?」

「もちろんだとも。ほら、立って立って講義するよ」

「……うむぅ」


 講義をすると言われ、儂は恥ずかしさを抑え込みながら儂は立ち上がるり、神の講義を聞く姿勢を取る。


「まず、結論から言おうか。君の『成長退行』は、体を成長させたり、戻したり、という効果から『成長退行』という名称にしたが、実際は間違いだね」

「いやしかし、開示薬には確かに、成長させ、戻すと……」

「私は見えるわけじゃないから何とも言えないけど、あれは完璧じゃなくてね」

「なに、そうなのか?」

「まあね。あれは――」


 そう切り出し、神は『開示薬』についての説明を始める。


 なんでも、開示薬とは、あくまでも発症者当人たちにとって、わかりやすい形で情報が開示されるらしい。


 そのため、正確な判断は能力を検査、そして調査し、その上で専門医――つまり、神たちが情報を整理、そして正確な効果を導き出す、とのことらしい。


 簡単にまとめるとこうじゃな。


「ふむふむ……しかし、それは最初の内に教えてくれても良かったのではないか?」

「そうは言うけど、いきなり『TSF症候群』を発症させた直後に、自身の能力の把握だけでも一苦労なのに、多くの情報をいっぺんに言われても頭がパンクするだろう?」

「……それもそうか」


 確かに、いろんな情報を詰め込まれても、さすがに覚えきれんし、理解なんぞできそうにない。一理ある。


「で、話を戻して……おそらく、君の能力は成長と退行じゃないね」

「マジで?」

「おそらく、だけどね。肉体年齢を戻すと失った体力が戻ったり、成長するとやたらとカロリーを消費し、飢餓感を感じたりすることや、そして何よりも……肉体の状態が戻る、と言う話を聞いてやはり、と思った」

「……それはもしや、以前電話した時に話した、あれか?」

「そう、君の能力が時間を進める・巻き戻す、そんな能力である可能性のことだね」

「では、儂の能力は……」

「うん、ほぼ間違いないと思う。あとは、物体に作用するかどうかを調べたいね。なので……試しにこれを用意してみた」


 そう言って取り出したのは、一台のボロボロになったスマホ。


 画面はバキバキに割れ、ボタンもすり減り、充電部分もひん曲がっている、それほどボロボロになったスマホ。


「これは……まだすごいボロボロじゃのう」

「これ、同僚が使用しているスマホでね。拝借してき――こほんっ。借りてきた」

「今、拝借してきたと言ったよな? おぬしそれ、パクったんじゃ……」

「借りただけだよ」

「そ、そうか……」

「というわけで、これを直してくれるかい?」

「あ、あぁ、まぁ試すが……」


 スマホを受け取り、能力を使用してみる。


 今回は戻す方向へ……そう思いながら能力を使用すると、


「お、おお?」


 手に持ったボロボロのスマホが逆再生したかのように、綺麗な状態へと戻っていく。


 罅は綺麗さっぱり無くなり、すり減ったボタンは元の厚みを持ち、充電口は真っ直ぐな状態へ――そうして、逆再生が終わると儂の手には新品同然の状態になったスマホが収まっておった。


「へぇ……やっぱり、仮説は正しかったみたいだね。なるほど……本当に時間を巻き戻せるとは」

「とりあえず、これは返すぞ」

「あぁ、ありがとう。後で返しておくよ」

「本当にな」


 パクられた同僚が可哀そうじゃから。


 ……そう言えばスマホの時間を巻き戻したと言うことは……中のデータまで戻ったのでは……い、いや、大丈夫じゃろうな! うむ! 仮にそうだったとすれば、神に責任を押し付ければよいからな!


「というわけで、君の能力が時間に関する物だと言うことが判明したわけだけど……やはりその能力は異常だね」

「そう言えば先ほどそう言っておったな……理由は?」

「例の、一定ライン以上の能力は存在しない、と言う話を覚えているかい?」

「うむ。たしか、理がねじ曲がるような物はないとかなんとか」

「そう、それ。で、君のその能力……どう考えてもおかしくはないかい? 時間を進める、巻き戻すなど、明らかに常軌を逸している。だからこそ、能力としては存在するのがおかしいくらいなんだけど……」

「うぅむ、そう言われても……儂が触れた物しか進める、戻すが出来ない、と言う事じゃよな? しかし、どの程度の範囲に効果を及ぼすかによっては変わらんか?」

「……それもそうだ。さすがに、地面に触れて地球の時間を戻す! なんてことはできないだろうけどね」

「そりゃそうじゃろ」


 できたら儂、ほぼ神みたいなもんじゃん。


 少なくとも、大規模な巻き戻しや進める、などと言ったことはなんとなくじゃが出来ない気がする。


 直感じゃけどな。


「とはいえ、この能力について全てがわかるまで、君の能力の本質を知らせるのはまずいね。最悪の場合、君を巡っての争奪戦のようなものが始まる恐れがある」

「……そ、そこまでか?」

「当然だろう? 何せ、若返りも、成長も、自由自在なんだよ? そんなことがわかれば、悪用しようと考える者など星の数ほど現れるだろうし、そうでなくともその危険性、そして有益性を考えて隔離するべき、なんてことになる可能性すらある」

「普通に嫌なんじゃが!?」

「はは、そうだろう? ま、安心するといい。私もこの情報は信頼できる者にしか渡すつもりはないし、広めるつもりもない」

「そうであれば安心じゃが……」


 心臓に悪いわい。


 まさか、この体で生活して二ヵ月とちょっと、まさかの能力の本当の効果を知り、最悪の可能性を聞かされて死ぬほどドキドキした。


 いやもう、厄介すぎじゃろ……。


「ま、その点君が羽衣梓家に嫁いだのは良かったね。あそこは日本有数どころか、世界でも有数の大企業だ。ある意味安全だろう」

「あー、それは確かにそうじゃなぁ」

「ま、強力な能力を保持した発症者は、大体狙われるんだけどね」

「不安になることを言わんでくれる!?」

「ははっ、大丈夫大丈夫。私も対処するし」

「……まぁ、おぬしはそう言う面は確かに信用できそうじゃが」

「ふふ、そう言われたら答えないわけにはいかなくなるね」

「ほんとに、頼むぞ?」

「あぁ、もちろんだとも」


 とりあえず、この件は神に任せてれば問題はなさそうじゃな。


 しかし、とんでもないことがわかってしまったのう…………いや待て。この能力を用いれば、あやつらに仕返しができるのでは?


 儂が成長し、五人を幼くするとか………………いや、それはそれで後が怖いのう。


 あ、でも、瑞姫辺りは普通に喜びそうじゃな……あやつ、ロリコンじゃし、多分、


『え、わたしもおロリ様になれるのですか!? ぜひお願いします! わたしも幼くなることが出来れば、まひろちゃんとのロリロリしい絡みができるではありませんか! なので早く! ハリーハリー!! すぐにわたしをロリ化してください!』


 とか言いそうでなぁ……。


 ノリノリでやりかねないじゃろうな、あやつならば。


 あとは……アリアも面白そうと言う理由でなりそう。


「……ふぅむ、しかし、他に何かデメリットがないのかどうか……それに、もしも若返りをずっとできた場合、本当に不老不死になる可能性すらあるが……ま、この辺りは要考察、かな」

「考察でどうにかなるのか?」

「多分ね。……とはいえ、今後も色々と調べたいところだね、その能力は」

「そうじゃな、儂も同意見じゃ」


 今回の調査で、時間に関する能力だと判明した以上、これは使い方を誤ればとんでもないことになりかねん。


 まったく、儂は平穏でだらだらとした生活をしたいだけだったんじゃがなぁっ……。


 儂の人生、色々変わりすぎじゃろ……。


「というわけで、今後は定期的に調べようか」

「うむ。頼む」

「頼まれた。……さて、とりあえず、この能力はこんなところかな? 何か訊きたいことはあるかい?」

「うぅむ……あ、なぜ成長すると飢餓感を感じるのか、わかるか?」


 訊きたいことがあるか訊かれ、儂はかねてから疑問に思っておった飢餓感について尋ねる。


 体を小さくすれば特に何も感じんが、どういうわけか成長した際に限って大きくカロリーを消費し、そして強烈な飢餓感が襲いかかる。


 これの理屈は一体なぜ……そんな疑問。


「そうだね……能力の代償、と言ってしまえばそれまでだが……あえて理屈をつけるとすれば、おそらく時間を進めた分のエネルギーを必要とするからではないかな?」

「……なるほど。つまり、五歳分成長させれば、その成長に使用したはずのエネルギーを摂取しなければならない故、飢餓感と空腹が」

「おそらくね。……ま、デメリットなんてよくわからないものばかりだから、判断は難しいけどね」

「まぁ、現実に存在するファンタジーじゃからなぁ」


 ファンタジーを科学的に証明せよ、と言われてもそれは無理じゃろうからのう。


 そもそも、物理法則が根本から違うようなものを、どう調べろと? とみたいな感じじゃし。


「ま、そうだね。……っと、そろそろ『獣化』の検証をしようか。一時間経過したしね」

「そうじゃな。では、検証と行くか」


『成長退行』の能力の調査を終え、再び『獣化』の能力を調べた。



 そうして、無事に一日使った調査を終えた。


「……うん、これで大方のデータは取れたね。後は、こちらで映像記録とデータを解析するだけだ。お疲れ様、まひろ君」

「うむ……ふぅ、ようやく終わったか。気疲れしたのう……」

「帰ったらゆっくり休むといい」

「そうするわい」


 今はあの家のベッドが恋しい。


 帰ったら飯食って風呂入って、すぐに寝よう。


 明日も学校はあるしの。


 さすがに寝不足で授業中に居眠り、なんてことになれば目も当てられん。


 ……とはいえ、検査をしていました、と言えば割と許されそうな気もするが……さすがにそれはどうかと思うのでな、絶対にしないが。


「じゃ、今日はここまで。外に職員を待たせてあるから、そのまま直帰するといいよ」

「うむ」

「日曜日はよろしくね?」

「……あー、うむ。とりあえず、細かいことはLINNにしてくれるとありがたい」

「おっと、そうだね。じゃあ、SMSの方にIDを送っておくから、私のアカウントを追加した後に、名前を言ってくれ。その時決めよう」

「うむ、了解した。ではな。あ、体に気を付けるんじゃぞ?」

「……善処する」

「目を見て言わんかい。……まったく。じゃあの」

「あぁ、気を付けて帰るんだよ」

「うむ」


 最後にそんな会話を交わして、儂は研究所を後にした。



 帰宅後、ニマニマする瑞姫、アリア、結衣姉と、呆れ顔の美穂、ましろんが玄関に待機しており、冷や汗を滝のように流したが最終的に、


「「「「「とりあえず、後日確認して(きてね)(くださいね)(なさいよ)(するのよ~)」」」」」


 と生暖かい眼差しと共に言われ、何とか無事に一日を終えることが出来た。


 ……ま、まあ、日曜日以前に、土曜日はあやつらと遊びに出かけるし、そっちを考えるとしよう!

 どうも、九十九一です。

 とりあえず、今回で真面目な回(?)は終わりですね。

 次から、今度こそ普通の日常回です。

 次回も早めに出すつもりですが、いつも通り期待しない程度にお待ちください。

 では。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 旦那たちを子供にしても、やり返すどころか普通にわからされそうw
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