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爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常  作者: 九十九一


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日常91 閉会式。珍しく喜ぶまひろ

 騎馬戦後、部活動・委員会対抗リレーが行われた。


 正直、仮装リレーに近い種目であったため、マンネリ化しそうと思ったのじゃが……前言撤回。


 各部活動・委員会それぞれの特徴とも言えるものを持つ、もしくは着るなどをして走るため、たまにやべーのが混じっておった。


 例を挙げるとすれば、体育委員会の者は特徴がなく、普通に体操着で走るだけであったが、吹奏楽部は楽器チューバやサックスを持って走り、選挙管理委員会は投票箱を持って走り、水泳部は水着で走っておった。


 ほかにも様々であったが…………自由じゃのう、マジで。


 ちなみに、儂が委員長を務める図書委員は各々好きな本を二冊持ち、同時に眼鏡をかけておった。地味じゃが、まぁ図書委員っぽい?


 とまぁ、そのような形で部活動・委員会対抗リレーはかなり盛り上がった。


 特に吹奏楽部がすごかったのう、チューバとかでかいし重いしでキッツイ楽器にも関わらずものすごい走力じゃったからのう……。尊敬するわい。


『――以上の種目を持ちまして、今年度の水無月学園体育祭の全種目が終了となります。この後すぐ閉会式が行われますので、生徒の皆さんは校庭に集まり、各クラスごとに並ぶようお願いいたします。繰り返します。生徒の皆さんは校庭に集まり、各クラスごとに並ぶようお願いいたします』

「はぁ、つっかれたのう……では、閉会式に行くとするか」

「そうね。……あー、私もへとへとよ」

「皆さん、頑張りましたからね」

「あたし、まだ元気だよ!」

「アリア、おぬしは本当に元気じゃのう……」


 さすが元気っ娘と言うべきか。


 儂、美穂、瑞姫の三名は疲れを隠そうともしないが、アリアは本当に疲れなどないと言わんばかりにいつもの天真爛漫な笑みを浮かべておった。


 さすがじゃなぁ……。


「……じゃあ、私もそろそろ行く。また後で」

「私もそろそろ行くわね~。あ、先に帰ってていいから~」

「うむ、了解じゃ。ましろん、また後でな」

「……ん」


 そこでましろんと結衣姉と別れた。


 結衣姉は教師であるため、あまり一緒にいる時間がなかったが、それでも暇さえ見つければ儂らと一緒におった。


 尚、儂が幼女になった途端、やたらと甘やかしまくろうとしたのは……ご愛敬。


 その辺りは、瑞姫もじゃからな。


 さて、並ぶとするかのう。



『はい! ではでは、生徒の皆さんが集まったようですので、これより水無月学園体育祭、閉会式を始めたいと思います! まずは……結果発表―――――――――!』

『『『Yeahhhhhhhhhhhhhhhッッッ!!!』』』


 閉会式が始まり、早速結果発表に移るらしく、例の放送委員が今日一のテンションの高さでもって宣言すると、一気に歓声が沸き上がる。


 う、うぅ、うるさいのう……。


 儂が小さいが故に、こう、反響しまくるんじゃが……。


『お前ら! 力は出し切ったかー!?』

『『『うおおおおお!』』』

『覚悟の準備はできてるかー!?』

『『『おおおおおおおおおお!』』』

『よろしい! では、まずは優勝クラスの発表と行きましょう! はい、では校舎の方をご覧くださーい!』


 む、校舎とな?


 儂ら生徒は疑問符を頭に浮かべながらも、指示された方を向く。


 ちなみに、儂は小さくなった関係上、前が見えないだろうとのことで先頭におる。


 なんというか、先頭って恥ずかしいんじゃが……。


 などと関係ないことを考えておると、校舎の屋上から大きな白い布……スクリーンらしきいものが吊り下げられた。


 え、なんじゃあれ!?


『なになに? 何か始まるの?』

『すっげえでけぇスクリーンだな……』

『まさか、あれで結果発表とか?』

『いやいや、そりゃまさかだろー』


 などなど、生徒間からは結果発表をあの巨大スクリーンでやるのではないかとざわつく。


 実際、儂もそうではないかと疑ってはいるが……どうなんじゃろうか。


 と、そう思った瞬間じゃった。


 突然校庭に軽快なBGMが鳴り響き、それと同時にスクリーンに映像が流れ始めた。


 あれマジでスクリーンかい!


 ならば、映写機はどこじゃ!?


『はい! 映りましたね! ではではまず第三位からの発表と行きましょう! 第三位は……!』


 放送委員のセリフの後、よくあるドラムロールが流れ……バンッ! と止まり、


『三年四組です! おめでとうございまーす!』


 やたら派手なフォントで『三年四組第三位おめでとう!』と流れる。


 あと、いつ撮ったのか不明な写真もセットで流れてきた。


 その中に、ちょこちょこ恥ずかしい写真なども混じっており、きゃーきゃー聞こえるが……まぁ、うむ、仕方ないじゃろ、これ。


『続きまして、第二位の発表です! 第二位は……!』


 再びドラムロールが鳴り……


『第二位は、三年一組です! おめでとうございまーす!』


 ましろんのクラスが呼ばれ、スクリーンにも写真と先ほどと似たような文字列でもって称えておった。


 写真についてじゃが、雲切先輩とましろんがやたら多く映っておった。


 まぁ、あの二人は写真映えするからのう、特にましろんは小さいながらもかなりの運動神経を発揮し、出る種目のほとんどで勝っておったし。


 しかし、ましろんのクラスが二位か。


 たしか、ましろんのクラスは何気に優勝候補的なことを噂されておったが、そのクラスが二位となると……一位はどこじゃろうか?


 周囲を見回せば、呼ばれることを祈る生徒が多数存在した。


 体育祭で一位を取ると言うことは、次の学園祭にて資金を多く得られるからのう。


 儂としても、呼ばれて欲しい。


『ではでは! 最後に、栄えある第一位の発表です! 第一位は……!』


 三位と二位よりも長くドラムロールが鳴り響く。


 何故、こういった発表の場と言うのは、一位を発表することをもったいぶるのか。


 儂的にはさっさと発表してほしいのう。


『二年三組です! 二年三組の皆さん、おめでとうございまーーーーす!』


 おお! 儂らのクラスか!


 うむうむ、みんな頑張ったからのう。


 後ろを見やれば、ガッツポーズをする生徒や嬉しそうにきゃいきゃいとしている者たちが視界に入る。


 うむうむ、やはりこう、優勝すると言うのは嬉しいものじゃのう!


 しかし……。


『おや、二年三組の写真は、桜髪の美少女と美幼女ばかりですね。あと、やたら首輪を着けている姿が多いですね!』


 ……儂だけくっそ恥ずかしいんじゃが!?


 マジで何故儂だけこんな役回りなんじゃい!


 どう見ても、やべー奴じゃろあれ!


 見よ、先ほどから儂を見る視線が生暖かかったり、妙に粘っこいような視線が多いからな!? え、あの娘そんな趣味が……? みたいな意味合いでひそひそされておるからな!?


 あぁっ! 儂の穏やかで適当でぐーたらな学園生活はいずこへ!?


『はい、ともあれ今年の体育祭は二年三組が優勝です! 会場にいる皆様、改めて大きな拍手をお願いしまーす!』


 放送委員がそう言えば、拍手だけでなく歓声? が上がる。


 ぐぬぬぅ……まさか、こんなことになるとは……。


『さてさて! 続いて今年度のMVPの発表です!』


 っと、次はMVPか。


 去年はぼーっとしておってあまり聞いとらんかったが……。


 しかし、MVPのう……やはり、ましろん辺りじゃろうか? ましろんは運動神経抜群で、かなり活躍しておったからのう。


 うむ、そうであれば儂としても嬉しい。


 それに、儂は別に賞品などに興味はないしの。


 というより、早くこの時間が終わってほしいと思っておるので。


「ふわぁぁ~~~……んんぅ、眠いのう……」

『さてさて、今年度のMVPは……!』


 今日は能力を使用したり、散々動いたりしたからのう……おかげで疲れが半端ない。


 一応、この姿に戻したら、成長時の疲れはリセットされたが……それでも、この姿で協議には参加した故、疲労感もある。


 今すぐにベッドにダイブしたいのう……。


 などと、今すぐにベッドにダイブして眠りたいという欲求を抑えつつ、結果発表を右から左へと聞き流しておると……。


『はい! 出ました! 今年度の水無月学園体育祭、MVPは…………二年三組、桜花まひろさんです! おめでとうございまーーーーす!』

「え、儂ぃ!?」


 気を抜いておった儂にまさかの意識外から強烈なジャブが飛んできて、思わず素っ頓狂な声を出してしまう。


 わ、儂がMVPって……。


『優勝が二年三組で、MVPも二年三組の人ですし……ちょうどいいですね、桜花まひろさんにはぶっ通しで表彰台に上がってもらいましょう。正直、別々の人とか効率悪いですし、何より早く帰りたくてたまらないですから!』

「赤裸々すぎるぞあの放送委員!?」


 あっ、思わずツッコミを入れてしもうた……!


 い、いや、今のは許されると思うんじゃよ、儂。


 まあ、儂も早く帰りたいけれども!


『はーい、さっさと上がってきてくださーい。もう喉が限界なんですよー。インフルエンザで喉をやったくらいになりそうなんですよー。ほらー、早く早くー、ハリーハリー!』


 う、うっぜぇのう……!


 なんじゃあの放送委員? 完全に自身の職務を放棄する勢いなんじゃけど!


 というか、欲望に忠実すぎん!? いや、喉をやるのは確かに嫌じゃが!


 くっ、し、しかし、周囲も早く上がってこないかなー、的な雰囲気をひしひしと感じるし……!


 はぁ、仕方あるまい……。


 儂は渋々列から出て、表彰台へ。


 うぅ、なんかすごい注目が……。


 競技中はともかくとして、こうも全校生徒から視線を受けると、ものすごく恥ずかしいんじゃが……。


 さっさと終わらせて帰宅しよう。


『はい、では理事長、お願いします』


 って、表彰担当理事長かい!


「さて、長ったらしい能書きや感想なんかを今の生徒諸君は望まないだろうということで、手身近に行こう。まずは、二年三組の諸君、優勝おめでとう! 第二位の三年一組と第三位の三年四組もおめでとう! そして、表彰圏内に入ることはできなかったが、全力で戦った生徒諸君もお疲れ様! 時間の都合もあるし、表彰は一位の二年三組とMVPの桜花まひろ君にのみ行う」


 なんというか、随分とまぁ瑞姫と瑞姫の父上からは考えられんくらいのさっぱりとした性格じゃのう……。


 何故、あのような者と結婚したのかさっぱりじゃわい。


「ではまずは、MVPとなった桜花まひろ君への優勝賞品の贈呈と行こう」


 そう言えば、そう言う物があると言っておったのう。


 しかし、一体何を貰えるのじゃろうか?


「まずは副賞から」


 副賞!? え、なに、複数なん!?


 か、金持ちの家の優勝賞品とか、よくよく考えたら怖いんじゃが……!


 一体何がジャブとしてくるのか戦々恐々としている儂へ、瑞姫の母上が懐から何かを取り出す。


「別に意図したわけではなかったのだが……これは偶然だからね? 間違っても、決して出来レースだった、というわけではないからあしからず」


 な、なんじゃ一体?


 一体何を……。


「まずは、これが副賞だ。受け取ってほしい」

「う、うむ、貰うが………………なっ、こ、こここ、これはぁっ!?」


 手渡されたのは、一枚の横長な紙であった。


 しかし、それが何なのかを認識した瞬間、儂は思わず目をかっぴらく。


「どうやら、それが何かを知っているようだ。有効活用するといい」

「い、いやこれ!? これはその……あ、あれじゃろ!? よ、よいのか!? これを貰ってしまっても!」

「あぁ、構わないとも。受け取りなさい」

「よ、よっし――……んんっ! あ、ありがとうございますっ!」


 一瞬手を天に突きあげて雄叫びを上げそうになるが、慌てて口をつぐみ礼の言葉へ変更する。


「ははっ、どうやらかなり喜んでもらえたようだ。では、最後にこれがメインだ。受け取ってほしい」

「う、うむ……」


 正直、この副賞だけで儂は十分すぎるのじゃが……メインとは一体……。


「……む? 引換券? これは一体、なんじゃ?」


 渡されたのは、またしても紙切れ一枚じゃった。


 しかも、そこには引換券と書いてあるだけであるはずなのじゃが、やたら豪華仕様というか……なぜに金ぴか? それに、このシリアルコードは……?


「これは、学園のアプリ内にある、『シリアルコード入力』という項目で使用すればわかるよ。では、MVP者への賞品贈呈は以上。続いて、優勝クラスへの表彰と行こう!」


 いや、できればこれの説明が欲しいが……まぁ、仕方あるまい。


 後で確認するとしよう。


 にしても、学園アプリに何故、そんな機能が……。


「三年一組、三年四組の二クラスへは、今年の学園祭にて予算の向上を約束しよう」


 と、理事長がそう言えば、該当するクラスから歓声が上がる。


 最後の学園祭じゃからのう、そりゃ嬉しいか。


「そして、二年三組へは予算の向上、それから出し物の優先権の進呈だ! ちなみに、予算に関しては第二位と第三位よりも多い金額なので、期待していてほしい!」

『『『おおおおお!』』』


 なんともまぁ、太っ腹じゃのう……。


 しかし、予算向上、か。


 ある意味できる幅が広がりすぎて、一周回って決めにくそうじゃのう。


 などと、二学期の大きなイベントを思い、儂は苦笑いを零した。


「そして、これが優勝トロフィーだ。受け取ってほしい」

「で、でっかいのう……」


 理事長が優勝トロフィーを手渡してきたので、それを受け取ったが……なんと言うか、でかかった。


 儂の胴体くらいでかい。


 これ、どう見ても世界大会のような場面で渡されそうなものな気がするのじゃが……ま、まあよいか。


 とりあえず、儂は生徒側を見てトロフィーを精一杯掲げた。


 そうすると、拍手と歓声がわっ! と一気に沸きおこる。


 思わずびくっとしてしまったが。


 尚、この時、


(可愛い……)

(子供が精一杯自慢してるみたいで可愛い)

(どう見ても子供ですありがとうございました)

(やばい、ロリコンになりそう……)

(ハァハァ、まひろちゃん、ハァハァ……!)


 などと言うことを生徒たちが思っておったことなど、儂が知る由もなかった。


「それでは! これにて、表彰式は終了! このまま閉会式も終了とさせてもらう! 本来ならば色々と言うべきなのだろうが、君たちは今日全力でぶつかり合い、疲れている事だろう。故に! 教育者として、君たちには早急な休息が必要なはず。……というわけなので、これで水無月学園体育祭を閉会とする! 生徒諸君、よく頑張った! そして、保護者の皆様もここまで観ていただき感謝しかない! それでは、以上! 解散!」


 て、適当……。


『ただいまを持ちまして、今年度の水無月学園体育祭は終了となりました。生徒の皆様、保護者の皆様、本日はお疲れさまでした。お気をつけてお帰りください。……あ、もしも打ち上げがしたい! という人たちがいれば、羽目を外しすぎないようにしてくださいね! ではサラダバー! ……あー、つっかれた……ラーメンと焼き肉食って帰ろー』


 なんか最後に聞こえてはいけないものが聞こえた気がしたが……ま、まあ、気にしたら負けじゃろ!


 この放送を皮切りに、生徒たちが動き出す。


 儂も時を同じくして美穂たちの所へ向かった。



 閉会式後、儂らは着替えてすぐ下校となった。


 父上と母上はどうやら仕事がある、とのことですぐに去ってしまったが。


「あー、つっかれたー……」

「そうですね。今日はずっと外でしたし、やはり疲れますよね、体育祭は」

「あたし、あんなにすごい体育祭は初めてだったよ! すっごく楽しかった!」

「……ん、同じく。私も楽しかった」

「私は~……参加できなかったことが悔やまれるわ~」

「まぁ、結衣姉は教師じゃからのう……」


 六人で仲良く談笑しながら帰宅。


 概ね楽しかった、という感想になったが、結衣姉だけは寂しそうな感想であった。


 一人だけ、大人じゃからな、こればかりは仕方あるまい。


 ……まぁ、その反動故か、今現在儂は抱っこされておるわけじゃが……。


「の、のう、結衣姉よ」

「な~に~?」

「そのぉ、儂を抱っこしておると思うのじゃが……」

「そうね~」

「儂、大丈夫? 汗臭くない……? ちと、心配なんじゃが……」

「えっ、まひろってそんなこと気にするの!?」

「いや儂も今は女じゃよ!? 多少は気にするじゃろ! それに……」

「それに、なんでしょうか?」

「……ほ、ほれ、おぬしらはその、好きな人、じゃし……さ、さすがに気にする、じゃろ?」


 顔が熱くなるのを感じつつ、思ったことを口にする。


「「「「「はぅっ……!!」」」」」


 五人はなぜか銃で撃ちぬかれたかのように上を向いたが。


 ちなみに、本来ならば教師であるはずの結衣姉がなぜ一緒に帰宅しているのかと問われれば、他の教師陣が先に帰っていいと言ったからだそうじゃ。


 結衣姉的には仕事をする気でいたようじゃが、折角だからと言うことで厚意に甘えたそうじゃ。


 優しい世界。


「あ、あんた、それは反則でしょ……」

「時折見せるまひろちゃんのその乙女的反応、すごくいいですよね……」

「ギャップ萌え、って言う奴だね! まひろ君、可愛いよ!」

「……ん、これは襲えと言っているようなもの」

「そうね~。ひろ君、帰ったら夜の運動会でもする~?」

「いやしないよ!? というか、往来で何を言うとんの!? ほれ、なんかひそひそされておるからな!?」


 くっ、やはりましろんからの結衣姉のコンボは害悪すぎる!


 というか、そういうことをしたいと言い出すのは、主に瑞姫、ましろん、結衣姉の三名じゃからなぁっ……!


 できれば、もう少し控えてほしい!


「というか、儂はもう疲れたんじゃ! おぬしらだって、そんな気力ないじゃろうが! あと、さすがにこう言う時くらいは休ませてくださいお願いします!」


 最後にはなんか敬語になってしまったが、いやもうそれくらいしたくない。


 元々儂からしたい、とか言うタイプではないが……。


「……冗談。私も休みたいから」

「私は半分本気だけど、他のみんなは疲れているからね~」

「ふぅ、よかった……ってちょい待ち? 今おぬし、半分本気と言わなかったか?」

「嘘よ~」

「そ、そうか……よかっ――」

「九割本気よ~」

「もっと悪化しとる!? というかそっちが嘘なんかいっ!」


 くそぅ、こやつ一度したらマジで歯止めが効かぬようになっておる気がする……!


 恐ろしいぞ、結衣姉!


「あ、そう言えばまひろ」

「ん、なんじゃ?」

「なんか二年三組全員で打ち上げに行こう! ってことになってるんだけどさ、どうする? 行く?」

「ほう、打ち上げか……」


 一応、去年も誘われはしたんじゃが、結局面倒で行かなかったんじゃよなぁ……。


 発症前の儂と言えば、毎日ぐーたらして、ごろごろーっとしておったしのう。


 ……あれ、そう言えば儂のアイデンティティ、失われてね?


 儂のぐーたらな部分とか、正直最初の頃だけで、今は恒常的にツッコミに回るくらいになっとるよね? え? 大丈夫? 儂。


「打ち上げがあるんだね! あたしは行ってみたいなぁ」

「わたしも気になりますね。一度も行ったことがないですし」

「……私、同じクラスじゃないし、そもそも学年が違う」

「私は教師だし~」

「あー、そうか、二人は枠組みが違うからのう……どうせなら、全員で行ければいいんじゃが……無理そうじゃ――」

「あ、いえ、まひろに関しては『旦那たち同伴でOKです』だそうよ」

「器がでかいのう!?」


 つか、やっぱ旦那認定なんじゃな!


「……なら、行きたい」

「同じく~」

「……ま、二人が行けるのならばよいか。よし、では参加すると伝えておいてくれ」

「了解」

「ねね、美穂ちゃん。場所はどこなのかな?」

「あぁ、そう言えば予定地が送られてきてたわ。えーっと…………あ」

「美穂ちゃん、どうしたの~? 何か変なことが書かれていたのかしら~?」

「あ、いえ、その……まひろ、アリス。あなたたち二人が良く知る場所だわ、これ」

「「…………え、もしかしてバイト先?」」

「そうみたい。……というか、あそこって打ち上げのようなことってありなの?」

「いや、まぁ、ありか無しかで言えばありじゃな。事実、団体の予約が入ったこともあったしのう」

「あー、あったねぇ。あの時はすっごく大変だったよね。いっぱい食べる人たちばかりで、厨房もホールもてんてこ舞いだったよー」


 当時のことを思い出し、儂とアリアは顔を見合わせて苦笑いを浮かべる。


 あの時はなぁ、今よりも人が少なく大変じゃったからなぁ……今ならば問題はないじゃろうが。


「そうなのね。……まあ、別にバイト先でも問題ないでしょ。参加するって伝えておくわ」

「うむ、頼んだ」


 とまぁ、そんなこんなで急遽打ち上げに参加することが決まった。


 ま、別にバイト先だからと言って、何か問題が起こるわけでもあるまい。


 問題なし!

 どうも、九十九一です。

 一応、今回で体育祭の話は終わりますが、実質的な終わりは次ですかね。

 ようやく日常に戻れる気がしますが……ほんと、半ば放置しまくったような状態だったからなぁ……去年とか、四話くらいしか上げてないっぽいし……昔のバイタリティはいずこへ。

 次回ですが、まあ未定です。早めに出すつもりではありますが、期待しない程度のお待ちください。

 では。

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