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爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常  作者: 九十九一


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日常89 仮装リレー。なんかおかしい衣装

「まったく……酷い目に遭ったわい……」

「その割には楽しそうじゃなかった?」

「……まぁ、しばらくすると、な」


 スウェーデンリレーが終わると同時に、儂は美穂たちの元へ戻ってきていた。


 ちなみに、チアコスのままである。


 応援に関しては……美穂の指摘の通り、途中から割と楽しくはなって来ておったので、複雑な心境じゃな、いやマジで……。


「して、瑞姫の方は大丈夫か?」

「……ん、ゆいみんが保健室に連れて行った」

「そうか、ならば問題はないな」


 あやつ、なんか儂のチアコス+ロリボイスによって鼻血を噴き出して死んだみたいじゃからな。


 ロリコンは、ある意味でマイナスになるのう……。


「して、次の種目はなんじゃ? たしか、割と少なかったと思うが……」


 スウェーデンリレーが男女とも終わり、次の種目は何かと質問を投げかける。


 すると、三人がさっと視線を逸らす。


 どういうことかと小首を傾げると……


「やぁ、まひろちゃん!」


 背後から別ベクトルの変態、安助の声が聞こえてきた。


 そして、ガシッ! と儂の肩を掴んでおった。


「……あ、安助よ。こ、今度はなんじゃ? 儂、見ての通り、旦那共と、な?」

「あっはっは! 何を言っているんだい。次は……『仮装リレー』じゃないか!」

「あ、マジで? ならば行かなければならぬが………………む? そう言えば……」


 仮装リレーであることを知り、儂は準備をするべくこの場から離れようとしたところで、はたと気付く。


 何故、安助が儂の所へ来たかを。


「……の、のう、ものすぅぅぅぅぅっごい! 気になるのじゃが……」

「なんだい?」

「……何故、安助が儂を呼びに来たのじゃ? たしか、仮装リレーは仮想をして走る物だったはずじゃが…………って、まさか――!?」


 自分で言って気付く。


 儂が着ることになる衣装を準備したのは……


「あぁ! 私だとも!」


 安助であると。


「や、やはりかああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」


 な、なんと言う事じゃ……こやつが儂の衣装を準備してきた時点で、絶対まともであるはずがないっ!


 現に、今儂が身に付けているチアコスとか、こやつが持って来た物じゃからして!


 し、しかし、美穂たちは儂と視線を合わせようとせず、そっぽを向く。


 その口元を見れば、もにょもにょとにやけそうになるのを必死に止めているように見えるっ……!


 つまり……!


「さぁ、行こうか!」

「今回も助けはないのかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」


 そういうことであった。



 再び安助に引きずられていった儂は、今度は別の衣装に着替えておった。


 そして、やはり視線が半端じゃない、とだけ言っておこう……。


 なんせ儂が着とるのは……。


「ぐ、ぐぬぬっ……な、なんという屈辱っ……!」


 再びへそ出しスタイルの衣装であった。


 しかも、先ほどとは違う点が一つ。


 先ほどのはチアコスだったが故、へそ出しでも問題はないと言えばなかった……しかし、しかしじゃ!


「なんじゃこのメイド服は!?」


 儂が今身に付けておる衣装と言うのは、なぜか上が胸元までしか丈がなく、スカートもミニスカートで! しかも、白いニーハイソックス(なぜか片方だけ)! 頭の上にはホワイトブリム! あと、なぜか尻の辺りに穴がある!


 穴がある、と言う時点で儂は全てを察した……そう、ケモロリになれということに。


 いやまぁ、勝つためには必須じゃからな、あれ……。


 なので、仕方なく、儂は今猫モードである。


 狼ではなく、猫である。


 なぜ狼ではないのかと言えば……


『え? だって、狼はもう見せたじゃん?』


 だそうじゃ。


 マンネリ防止かい。


 あと、おそらくこれが一番恥ずかしいんじゃが……。


「なぜ、鈴付きの首輪がセットなんじゃい!」


 マジで何故首輪!?


 やはりあれか!? あの借り物・借り人競争が原因か!?


 見よ、儂を見る者たちの目を!


 なんというか、すんごい生暖かい視線じゃったり、粘着質っぽい視線じゃったり、あとは熱い視線じゃったり、やたら血走った眼をする者(主に女子)じゃったりがいるんじゃけどぉ!?


 なんか、身の危険を感じるんじゃが!


『あー、あー、んんっ! さて、皆様お待たせいたしました! おそらく本日のメインディッシュと言っても過言ではない種目、『仮装リレー』開始されます!』


 放送委員の者がやたら高いテンションでそう宣言すると、校庭は熱い歓声と熱気に包まれる。


 な、なんじゃなんじゃ!?


 ってか、メインディッシュ!? え、この種目メインディッシュとか言われとんの!?


『はいはい、ステイステーイ。お静かにぃ! ……はい、静かになりましたね? では、早速この種目の説明をば! この種目では、二種類の順位が付きます! それは……『レースポイント』と! 『仮装ポイント』です!』


 え、二種類もあんのこれ!?


 どんな種目じゃい!


『レースポイントはその名の通り、ゴールした順位に応じてポイントが得点が入るシステムですが、仮想ポイントは違います! いかにインパクトを残した仮装であるかがポイントです! 可愛かろうが、カッコよかろうが、面白かろうが、怖かろうが、審査員に印象を残せば勝ちです! つまり! 今この瞬間も勝負は始まっているわけです!』


 放送委員のその発言に、周囲が一気にざわつく。


 お互いの仮装を見て、勝った負けたを考えておった。


 かくいう儂は……顔を真っ赤にし、ぷるぷると震えて恥ずかしさを押し込めておった。


 正直、今すぐ死にたいっ……!


 周囲には、儂とは違い、割と健全な仮装をした者が多かった。


 普通のメイド服の者。チャイナ服の者。何かのバトルマンガの主人公(男)らしき者。和服の者。宇宙服の者……え、宇宙服!? なんじゃそれ!?


 というか、よく見ればヤベーのもいるんじゃが!?


 なぜか全身骸骨の者に、なぜかオークの姿をしてる者、他にも魔女じゃったり、頭はライオンで胴体は鳥……鳥? みたいななんか、キメラのような者、他にもヤバそうな姿をした生徒が多数。


 ……ハロウィン?


 儂が抱いた感想はそれじゃった。


 あと、色物枠なのか、カラーバーや砂嵐、学校なんかもいた。


 意味がわからん……。


 これ、儂の方がマシ? マシなのか……?


『えー、なんかもう、色々いますが……注目なのはやはり、桜髪で猫耳猫尻尾を生やしつつ、やたら露出度の高いメイド服を着たどこかの幼女生徒でしょうか! 可愛い! 可愛すぎます! 正直、この場にいる誰よりも可愛い気がします! 個人的に性癖ドンピシャです!』

「なんかとんでもないことを言ってるんじゃが!?」

『あ、ツッコミありがとうございます!』

「選手と会話すんの!?」

『必要とあらば!』


 無茶苦茶じゃなあの放送委員!


『えー、では、最初に走る選手の皆様は準備をお願いします!』


 儂、帰りたい……。



 それからは特にハプニングが起こら――ないなどと言うことはなく、むしろハプニングだらけと言えよう。


 その例を挙げるとすれば、


『ちょっ! なんか服が破けたんだけどぉ!?』

『こっちはなぜか仕組まれたように外れた!』

『おいちょっと待て、なんかローションっぽいもんが撒かれてんの!? うおぉぉ!?』


 走ってる途中で服が破ける、なぜか仕組まれたかのように服が一部キャストオフされる、なぜか油が撒かれたエリアが存在する、などなどそれはもう酷いものであった。


 というか、何故にローション。


 尚、安全措置のためか、油が撒かれておるエリアにはマットが敷かれておるので、怪我はしないようになっておる。


 そもそも、ローションは撒く物ではないと思うが……え、何? あれ儂もやるの!?


 バカじゃろ!


 くっ、マジで走りたくないっ……!


 本気でそう思う儂じゃったが……無情にも儂らの番が来てしまう。


 正直、今すぐ逃げたいが……やらねば進まぬぅっ!


 儂は覚悟を決め、アンカーが走る場所に立つ。


 ってか、何故儂アンカー……?


 いじめじゃろ、これ。


「あ、あのー」


 ふと、儂が内心出番来るな、とか思っておると、近くにおった魔法使いっぽい衣装に身を包んだ女子生徒に話しかけられる。


「む、儂か?」

「あ、は、はい! あの、訊きたいことがあるんですけど……」

「なんじゃ?」

「えと……そ、その耳と尻尾って、ほ、本物ですか?」


 女子生徒は儂の頭部と尻から生えとる猫耳と尻尾について尋ねてきた。


 まぁ、そりゃ気になるわなぁ。


「本物じゃよ」

「やっぱり! ふわぁ~、発症者の人って不思議な能力が発言するって聞きますけど、面白いですね……」

「はは、儂のは地味な方じゃ。もっとヤベーのもおるしのう」


 実際、儂以上に派手な能力を持った者は多いからのう……。


「そうなんですね……でも、すっごく可愛いですね?」

「そ、そうか?」

「はい! とっても!」

「そうか、おぬしも良く似合っておるぞ? 可愛いのう」

「ふにゃ!? わ、私はぜ、全然です」

「ははっ、謙遜するでない。おぬしは可愛い、大丈夫じゃ」

「そ、そうです、かね?」

「うむ。自信を持ってよいと思うぞ」

「……あ、ありがとうございます」


 うむうむ、恥ずかしそうにはにかむ表情とは可愛いもんじゃのう……。


 ……あぁ、そうか、儂の旦那共に足りない物はこれか……。


 あやつらにはこういう、恥じらう乙女の姿という物がないのか。


 なんか納得。


 あやつらなぁ……もうちとこう……恥じらう姿があればのう……言う事なしなんじゃがのう。


 あるとすれば、付き合う前のアリア辺りかの?


 ある意味、一番アリアが乙女な気がするわい。


 ……はぁ、恥じらいがあれば、儂はあまり襲われなさそうなんじゃがのう……。


 ははっ……。


「あ、あの~、どうして哀愁漂う顔を……?」

「いやなに、人とはなぜ、恥じらいが足りないのか、と思ってな……」

「???」


 儂のセリフに疑問符を浮かべる女生徒に儂は苦笑を零す。


 まぁ、うん、わからなくてもよいので……。


『まひろちゃーん!』


 背後から、殺人人形のコスプレ(血まみれの兎の着ぐるみで、なぜか肉切り包丁を持っとる)をした女子生徒が走ってきた。


 普通に怖い。


「む、遂に儂の出番が来てしまったか……」

「お、お互い頑張りましょうね?」

「うむ、おぬしもな」


 なんとなく話し込んでしまった女生徒から離れ、儂は第三走者が儂にバトンが渡しやすいような位置に移動。


『まひろちゃん、お願い!』

「うむ、任せよっ!」


 バトンを受け取り、儂は走り出した。


『おーっと! 真っ先にアンカーへバトンが渡ったのは、二年三組の桜花まひろちゃんです!』


 なんかちゃん付けされた!?


『ケモロリメイド! 速い! 速いです! その小さな体のどこにそのような走力があるのか! 瞬く間に駆け抜け、ゴールへ近づいていきます!』

「はっ、はっ……! よ、よし、今のところは一位っ! このままゴールが出来れば勝ちじゃな!」


 そう口にした時だった。


 ツルッ――!


「うにゃ!? にゃ、にゃにゃにゃっ……きゃうっ!?」


 すてーーーん!


 と、儂は滑って転んでしまった。


 例のローションで。


「いたたたたっ……」

『おーっと! 桜花まひろちゃん、転んでしまいました! 会場からはまひろちゃんを心配する声が多数上がっております!』


 なんで!?


 あ、儂が子供のような外見じゃからか!


 いや儂、普通に高校生!


『ま、まひろちゃん大丈夫ですかぁ!?』

「え、み、瑞姫!?」


 いきなりマイクを通して瑞姫の声が聞こえてきた。


 放送席に視線を向ければそこには、ものすごい形相の瑞姫が。


『お、お怪我は!? どこもお怪我はないですよね!? その可愛らしい色白のお肌に、見るも無残なほどの傷はないですよね!?』

「あるわけないが!? というか、おぬし何をマイクを奪い取ってんの!?」

『あぁでも、先ほどの猫っぽい悲鳴は可愛らしかったです! ごちそうさまでした!』

「マジで何を言っとんの!? ねぇ、それマイク越しで言う事か!?」

『くっ、おのれローション……! まひろちゃんがお怪我をしたらどうするというのですかっ! これは早急に滅ぼさねばっ……!』

「ちょい待ち!? おぬしそれは過激すぎるよ!?」


 ローション過激派とか聞いたことないんじゃけど!


 ヤバすぎじゃろ、瑞姫!


『あ、まひろちゃん後続が来ちゃいますよ! お話をしている場合じゃないです!』

「おぬしが言う!? ……ええい! 急ぐぞぉ!」


 確かに後ろからは別の生徒が追いかけてきており、そしてローション地帯で転んでおった。


 儂は滑りながらもなんとかローション地帯を抜ける。


 何度も転んだがな!


『くそ! マジで滑る!』

『きゃぁ! す、進みにくいよぉ!』

『もぉ! すっごいイライラする!』


 後ろからはローションに対する怨嗟のセリフが聞こえ来る。


 わかる、うざいよな、この状況でのローション。


 しかし、儂はさっさとゴールしたい!


「よ、よし、とりあえず、土でローションを落とし……このまま真っすぐじゃぁ!」


 地面に靴裏を擦りつけるようにすることで、滑らないようにする。


 あらかたローションを落とした儂は、すぐに猛ダッシュ!


 そして……


『ゴーーーーール! 一位でゴールしたのは、二年三組です! おめでとうございまーーーす!』


 一位でゴールすることに成功した。


 ふぅ、やったぜ!


 しかし、儂は気づいておらんかった、今現在自分がどのような姿をしているかに。


『えー、ここで一つお伝えしなければならないことがあります』

「む?」

『まひろちゃん、スカートの裾、背中に張り付いているので、見せパンが本当に見せパン状態になってます』

「……あ、マジじゃ」


 放送委員の指摘通り、ローションで転倒した際、どうやらスカートの裾が背中に張り付いてしまったらしく、見せパンがもろ見えになっておった。


 いやまぁ……このメイド服以上に恥ずかしいっちゃ恥ずかしいが……なんかもう、吹っ切れた気がする。


 慣れかのう……。


『反応薄いですねぇ……』

「気にするでない」

『まひろちゃん、もう少し気にした方がいいと思います』


 おぬしが言う? 瑞姫。


 何はともあれ、仮装リレーは一位を取ることができてよかったわい。


 ……尚、儂がゴールして少しすると、美穂とアリアがやって来て、儂を抱えてすぐさまシャワー室へ連れていかれた。


 普通に体を洗ってくれたんで、楽ちんじゃったわい。

 どうも、九十九一です。

 なんだろう、薄い気がする……もうちょっとこう、どうにかならんかったんか? とか思いはしますが、まあ、うん、ノリと勢いで書いてるんで、問題なしですね!

 さて、体育祭の話ですが、あと二話か三話くらいで終わるかなーと思います。どうせ、残る種目は騎馬戦だけですし。あれ、そんなに書くこともない気がしますが。

 まぁ、そんな感じです。

 次回は……まぁ、早めに出せたらいいなーと思ってますが、気長にお待ちください。

 では。

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[良い点] 家に帰ったら普通じゃない洗い方されそうw
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