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爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常  作者: 九十九一


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日常46 二人遊び。意外と楽しい

 喫茶店を出て、人気がない場所へ移動し、儂は美穂に電話をかけた。

 理由は、予定変更の旨を伝えるためじゃ。


「うむ。あぁ、すまんな。その代わり、今日の夜は豪勢なものを作るので、それで勘弁な。ではな」


「電話、終わった?」


 電話を終えたところを見計らい、伊夜が話しかけてくる。


「問題なしじゃ。……まあ、帰った後が怖いが」


 特に、瑞姫とましろん辺りが、な……。


「怖い人でもいるの?」

「怖いと言うか……何と言うか、じゃな。儂の同居人が何をしでかすかわからんもんでな」

「同居人?」

「うむ、同居人じゃ。といっても、四人おるがな」

「そんなに? もしかして、従姉とか姪みたいな親戚の人?」

「……そうであれば、どれだけよかったことか」

「あの、なんでそんなに儚い笑みを浮かべてるの? そんなに大変な人がいるの?」

「……まあ、なんじゃ。儂の、旦那が、な。四人おるのじゃよ」


 遠くを見つめながら、儂はその事実を伊夜に告げた。


「……え、だ、旦那さん? それも、四人?」

「……うむ」

「えーっと、一応訊くんだけど……まひろって確か、元々男だったんだよね?」

「うむ」


 まるで疑うかのような口ぶりで、伊夜が儂にそう尋ねてくる。

 儂、男って言ったよな……?


「……それじゃあ、もしかして、まひろってその……元々男の人が好きだった、の?」

「……む?」

「あ、ご、ごめんね? その、ボクの友人にもバイの人は普通にいたし、同性愛者の人もいたから別に忌避したりはしないよ? 恋愛は自由だもんね! むしろ、その……発症したから、外見だけであれば普通の夫婦に見えるもんね! だから、大丈夫!」

「大丈夫って何がじゃ!? というかおぬし、何か勘違いしておるな?」

「勘違い……? でもだって、今旦那さんが四人って……」


 あぁ、なるほど。あれはたしかに、儂の言い方が悪かったか。


 世間一般的な考え方としては、旦那=男、のような図式が成り立っておる。

 ただ、めんどうな人種たち(ネット上のとある者たち)は、性差別だなんだ言ってくるからのう。


「……あ、もしかして……」

「うむ」

「――画面の向こう側の人ってこと?」

「そこまでの限界オタクではないぞ!?」

「でも、過去には初〇ミクと結婚した人もいたし……」

「いたけども! たしかにいたけども! あれは伝説扱いされておるが! って、違う違う! そもそも、儂が言う旦那とは、女子じゃよ女子」


 その男はマジで伝説じゃったからな。


 何がすごいかと言えば、普通結婚するには戸籍が必要となるわけじゃ。そうなれば当然、相手(初音〇ク)にも戸籍を与えたということになる。


 そこがまずすごい。


 普通は出来んじゃろ、そんなこと。


「あ、そうなの?」

「うむ」

「そっか、てっきりちょっとこう……特殊な趣味の人かと……」

「全然違うからな? ……まあそれはいいとして。さっさとどこへ行くか決めるとしようではないか」

「そうだね。ここから近い場所だと……ラウンドツーとか?」

「儂は別にそこでもよいが、おぬしは大丈夫なのか? 仕事が何かはわからぬが、顔がバレるとまずいのじゃろう?」


 未久斗たちが言うには、有名人とも言っておったからのう……。


 となれば、ラウンドツーのような人が多い場所に行くと、色々と騒ぎになるのではないか、という心配から来る発言。


「まあ、多分大丈夫、かな? どうにかできないわけじゃないから。ただまあ……それを見ても、ボクのあれこれは秘密にしてもらえると助かるけど」

「そうか。おぬしが問題ないのであれば、儂は別に構わんぞ。で、仮にバレたとしたらどうするのじゃ?」

「あー……その時はその時、かな」

「……おぬし、割と行き当たりばったりなんじゃな」

「あ、あははは……」


 儂の指摘に乾いた笑いで返される。

 ふぅむ、天然、なのやもしれぬな。



「おー、久しぶりに来たが、相変わらず人が多いのう……」


 ラウンドツーに行くと、休日だからか人が多くいた。


「そうだね。……それにしても、途中で洋服を買ってたけど、大丈夫なの? お金」


 先ほど儂が購入した衣服類を見ながら、ほんのわずかに心配そうな表情を浮かべながら尋ねてくる。


「まあ、この姿で遊ぶのは向かないからのう。幸い、バイト代で事足りた。……というか、なんか申し訳ないのう、カフェで金を出してもらって……。正直、騙したみたいで申し訳ないのじゃが……」

「あはは、気にしなくていいよ。仮にまひろがお金を持っていたとしても、ボクがお金を出すつもりだったから」

「そうか。……ありがとな」

「いいよいいよ」


 うぅむ、なんじゃろうか。こやつ、悪人に騙されないか心配なんじゃが……。


「それで、どうするの?」

「うむ。ちと、変身してくる」

「変身と言うと、成長してくるのかな?」

「うむ、そうじゃよ。小さい姿じゃ、おぬしと遊ぶにはちと厳しいからのう。待っててくれ」

「うん、わかった。いってらっしゃい」

「行ってくる」


 購入したばかりの衣服類を持ってトイレへと入った。



「お待たせじゃ」

「わぁ……まひろが成長するとそうなるんだ」

「うむ。どうじゃ?」

「うん、すっごく可愛いよ!」

「ありがとな」


 どうやら、この成長姿は伊夜から見ても可愛いらしい。

 まあ、この姿になると胸もでかくなるわけじゃが……。


 現在の儂は、動きやすい服装の方がいいと思い、白のTシャツに水色のパーカー。下はジーンズとなっておる。


 ふむ、やはり運動するのならばこれじゃな。


「それにしても、胸おっきいね」

「おぬしの方がでかいじゃろ。というか、おぬしのその胸のカップ数はいくつなのじゃ?」

「ふぇ!? え、あ、その……じ、G、だよ……」

「ほんとにでかいな」


 マジで瑞姫よりもでかいし。

 というか、高校二年生でGか……。普通、いなくね? いや、『TSF症候群』に関しては、その辺りの常識とか一切通用しないわけじゃが。

 現に、儂もこの姿であればEじゃしな。


「うぅ、ボクだって気にしてるんだよぉ……」

「すまんすまん。たしかに、でかい胸と言うのは、大変じゃからのう。主に、肩が」

「うん……。肩コリとか、激しく動くと痛かったり……」

「なるほどのう……。やはり、先に経験しておる者からの言葉は重みが違うのう……」

「……まひろは、その姿で運動とかしたことあるの?」

「いや、ないな。腹が空くという問題がある以上、基本はあのロリ形態で過ごしておるよ。日常的にこの姿になっておれば、そのままあれで固定されるが……その間の食費がどうなるかわかったものじゃないからのう」

「なるほど」


 まあ、この姿の方が、もしかすると便利なのかもしれぬがな。


 ……ふぅむ、案外、しばらくこの姿でもよいかもしれぬな。


 …………いや、それはダメじゃな。タイトル詐欺になる。


 なるとしても、たまにじゃな。うむ。たまに。


「……しかし、視線が半端ないのう」

「うーん、まひろが可愛いからじゃないかな? ほら、桜髪の美少女だし……」

「ま、この胸もあるし、何より伊夜もおるからのう。では、早速遊びに行くとしよう。視線を気にしていては、遊べないからのう」

「それもそうだね。じゃあ、行こ」

「うむ」


 外見だけなら、美少女の儂と伊夜。

 ……これはあれか。傍から見たら、百合カップルとかに見えるのじゃろうか?

 いやないな。そもそも儂、すでに旦那おるし。四人。

 そう言うのは、もうすでに間に合っておるからな。



「やっ、ほっ!」

「ぬぅっ、とぉ!」


 カカカカカカカカカッッ―――!


 可愛らしい(?)掛け声と共に鳴るのは、エアホッケーのパックがものすごいスピードで打ち返される音。


 儂らが遊んでいるのは、エアホッケー。

 二人だけというならば、この遊びが適しておるからのう。


 そんなわけで、早速遊ぼうと思ったわけじゃが、まあ……伊夜が半端なく強かった。

 このままでは勝てないと思った儂は、『獣化』を使うことに。

 その中で一番この状況に適しておったのは、猫。

 なので、猫になってみたら、まあ、反応できることできること。

 その上、俊敏性も向上しておるので、なかなかに速い伊夜のショットも打ち返せるわけじゃ。


 実際、これってどれほど身体能力が向上しておるのじゃろうか?

 これを機に調べるのもよいかもしれぬ。


 あ、ちなみに、尻尾穴は空けた。あとで、修正せねばならぬな。


「すごい、ねっ、その能力……!」

「うむっ、しかし、おぬしにはなかなか勝てぬ……なっ!」

「うわわっ!? ととっ……あ、危なかった~」

「ちっ、止められたか」


 結構いいスマッシュだったのじゃがのう……。

 やはり、一筋縄ではいかぬか。


『な、なんだあの二人!? 腕の動きが全く見えねぇ!』

『というか、猫耳に尻尾? なんだあの桜髪の美少女は!?』

『しかも、爺口調なのがポイントたけぇ!』

『……それにしても、あっちの黒髪の人、どっかで見たような……』

『いやいや、あの二人の胸元見てみろよ』

『『『めっちゃ揺れてる……!』』』

「「あ」」


 なんかさっきから視線が半端ないと思ったら……胸か!


 そりゃ、こんだけ激しく動いておったら、揺れるわな。


「う、うぅぅ~~……」


 って、伊夜が恥ずかしがっておる!?


 初心だからじゃろうか、こやつは恥ずかしがりやなのやもな。


「あー……なんじゃ。伊夜よ。別の場所、行くか?」

「……ぅん」


 なんじゃこの生き物可愛いな。


 ……そう言えば、黒髪? 変じゃのう。伊夜は銀髪のはずなんじゃが……。



「次はゲームにしよう」

「うん」


 運動の方ではちと問題があるとわかったのでな。


「では、何をするか、じゃが……お、伊夜。あれはどうじゃ?」

「あれは……」


 儂が示したのは、筐体の中に座ってゾンビなどを倒すゲーム。


「ほ、ホラーゲーム……?」


 そのゲームの正体に気づいた伊夜の声が震える。

 それに、顔も少しだけ青い気がする。


「もしや、ホラーゲームが苦手なのか?」

「だ、だって、怖いんだもん」

「……おぬし、本当に元男か?」


 女子のような怖がり方を見せる伊夜を見て、思わずそんな疑問が口をついていた。


「そ、そうだよっ! で、でも、怖いものは怖いし……」

「……それもそうか」


 たしか、男でもホラーが苦手なものはおるしのう。

 儂はそう言うのは全然平気じゃが。


「ま、おぬしが無理と言うのであれば、別の所に行くが?」

「……やる」

「無理はしなくてもよいぞ? 怖いものは怖いしのう」

「でもぉ……」

「おぬしには、さっきカフェで奢ってもらったからのう。ま、それとこれとは関係もないがな」

「……でも、まひろは遊びたいんじゃないの?」

「そんなことはない。儂は、普通に二人で仲良く遊べればなんでもよいからのう。であれば、二人が楽しめるものの方がよいじゃろ? マブダチよ」

「……そ、そっか」


 む? 何やら顔が赤い。


「どうした? 風邪でも引いたか?」

「あ、う、ううん。ちょっと、建物の中が暑いなーって思っただけだから」

「そうか。では、そうじゃな……カラオケにでも行くか?」

「あ、いいね。じゃあ、カラオケに行こ」

「うむ」


 個人的にはホラーゲームをしたかったが、伊夜が怖いと言うのであれば仕方がない。

 無理に強制するのはよくないからのう。



「――♪」


 そして数分後。


 二人でカラオケボックスに入り、早速伊夜が歌うこととなった。


 そして、その歌に思わず放心してしまった。


「どうだったかな?」

「おぬし、歌上手いな!?」

「あはは、ありがとう。ちょっとした特技なんだ」


 にこっと笑いながらそう言うが……ちょっとした、と言うレベルではないような気がするのじゃが。


「なるほどのう。まさか、あそこまで可愛らしい声であんな可愛らしい歌詞の歌を歌うとは。おぬし、アイドルとか向いておるのではないか?」

「あ、あははは……そ、それはどう、だろうね……?」


 む? なんじゃこの玉虫色の反応は。

 しかも、視線がちと泳いでおる。

 ま、別によいか。


「では、次は儂が歌うか。とは言え、儂が歌えるのは、アニソンとか演歌なんじゃが」

「し、渋いね……」

「ま、さすがに演歌はどうかと思うので、アニソンにするがな」

「別に演歌でもいいけど……」

「はは、そう言ってくれるのは嬉しいが、ここはアニソンにするわい」

「じゃあ、ちょっと期待してるね?」

「……ぬぅ。おぬしのあの歌の後では、かなりハードルが高いが……あまり期待するでないぞ」

「あはは。まひろなら大丈夫だよ」


 何が大丈夫なのじゃろうか。


 どれ、では……あれでも歌ってみるかのう。



「――♪ ……っと、こんなもんじゃな」

「まひろも歌が上手だね!」


 十八番のアニソンを歌い終え、伊夜に向き直ると、少しだけ驚いたような表情をした後、すぐに笑顔を浮かべて称賛して来た。


「はは、そう言われると嬉しいのう。ま、おぬしほどではないと思うがな」

「そんなことないよ。すっごく上手だったよ! ボクと一緒に活動してる人と遜色ないくらい!」

「そうか。であれば、多少は上手いんじゃろうな」


 褒められるのはそう悪くないのう。


 ……む?


「一緒に活動してる人? なんじゃ、おぬしの仕事は二人かそれ以上でしておるのか?」

「……あ、え、えーっと、う、うん。そんな感じ、かな? その人も歌が上手くて、ね。その人と同じくらい上手くて」

「そうなのか」


 しかし、歌が上手い者と一緒に仕事をしているとなれば、割と仕事が限られてくるような気がする。


 ま、余計な詮索はせんがな。


「ふぅむ、にしてもあれじゃな。二人だけでカラオケと言うのも、最初はちと寂しいものかと思ったのじゃが、割と楽しいものじゃな」

「そうだね」


 どことなく、親近感が沸いておるからか? それとも、マブダチだからか?

 ま、どちらにせよ楽しい事には変わらないからよいか。


「よーし! どんどん歌うぞー!」

「うん!」


 この後、約二時間くらい歌った。

 どうも、九十九一です。

 今日はちょと遅れての投稿ですみません。朝の方で続きを書こうと思ったら熟睡してたもので……。まあ、許してください。

 それと、明日はちょっと大事な私用がありまして、投稿時間をずらしたいと思います。大体、17時か19時くらいだと思います。もしかすると、21時の可能性もありますが、その辺りのことを覚えておいていただけると幸いです。

 では。

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― 新着の感想 ―
[一言] 伊夜さんや誘導尋問?にかかっとるぞ 多分まひろは芸能関連についとるって感ずいてるんじゃぁ そのうち伊夜に誘われそう(例の仕事に)
[一言] 地味にエアホッケーの耐久度が証明されている件 まひろも渋々アイドルデビューしないかな……
[良い点] 胸 が 弾 む エ ア ホ ッ ケ ー [一言] まひろ、メタいぞ...(イイゾモットヤレ)
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