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日常128 パーティー。暴露話から

 クッソ恥ずかしいことをしつつも、なんとか無事にメインとも言える人前式を終え、パーティー会場である庭園の方へ移る。


 実はこちらへは一度しか来たことがなく、パーティー会場状態は見たことがないんじゃよなぁ。


 瑞姫は自身の親の会社が経営するホテルとあってよく知っとるみたいじゃがな。


 さて、どのような感じなのか……。


「「「「「「「お~~~~!」」」」」」」


 会場である庭園を目にするなり、儂らは感嘆の声を漏らした。


 それはもう、見事であった。


 花々が咲き誇り、飾りつけも派手ではなく、見ていて楽しいものとなっており、実に目に鮮やかである。


 何気に噴水もあるが……初めて見たんじゃけど、マンガやらなんやらで見かけるような噴水。すごいな、あれ本当にあるんじゃな。


 そして、周りではクラスメート共や同僚共が楽しそうに話しており、大人たちも和やかに談笑しておった。


 地味に、儂らそれぞれの両親が話しとるのがなんとも不思議な気分になるな。


 どんな話をしておるのじゃろうか。


「お嬢様方はこちらへどうぞ」


 きょろきょろと周囲を見回しておると、柊さんがやって来て、儂らをエスコートしてくれるとのこと。


「あ、うむ。よし、では行くか」


 もちろん、断る理由などないので、柊さんに連れられて、主役席に案内され、儂を中心に、その両サイドに旦那共が座る。


 こちらはくじ引きで決まった。ちなみに、儂の両隣には、アリアと祥子姉がいる。


 両端は美穂と瑞姫である。


「それでは、主役の皆様が入ってきましたので、これよりパーティーを始めたく思います」


 本来の結婚式であれば、なんかこう、映像と共に新郎新婦が入場するそうじゃが、正直面倒じゃし、なにより年中腹ペコ娘のましろんがおるため、さっさと進めた方がいいじゃろう、という理由だったりするが……一番の理由はめんどくさいからである。


 もうすでに十分すぎる思い出もあるし、何よりこの場に来ておる者たちというのは、学生の方が多い。ならば、さっさと楽しい方へと移った方がいい、という理由でこうなった。


 そして、プロフィール紹介というコーナーが存在するわけじゃが……えー、儂らの中で、そんなことが出来ない者が二人おる。


 ましろんと祥子姉である。


 二人は本当の両親を幼少期に亡くしており、片や親戚にたらい回しにされて碌な写真や記憶がないましろんと、片や研究ばかりしていたヤベー幼少期の祥子姉である。


 そのため、この辺りは割愛……というわけにはいかず、とりあえず、軽くでいいか、ということになった。


「まずは、もう既に入場しております、新郎新婦の軽いプロフィールをご紹介させていただきます。まずは、音田美穂様。美穂様は、生まれも育ちも翁里市で、2005年10月19日に生まれました。成長していくにつれて、心優しい女性へと育っていきましたが、好きな人には素直になれないような、所謂ツンデレという性格となりました。その結果、新婦である、まひろ様に素直になれない状況が続いたようですが、美穂様はそれはそれでいい思い出と語っております」

「あれ!? なんか私の知らない内容なんですけど!?」


 柊さんが語った軽いプロフィールに、美穂がツッコミを入れた。


 え、今の話美穂が話をしたのではないのか!?


 ま、まさか、他も同じような状況なのか!?


「続いて、羽衣梓瑞姫様。瑞姫様は、若葉市に2005年12月3日に生まれました。生まれてすぐ、翁里市へと引っ越し、それからは箱入り状態で成長。中学時代は『百合の花女学院』へ通っておりましたが、様々な理由で翁里市にあります、『水無月学園』へと入学しました。生まれてほどなくして、一般的な幼子が好むような玩具や絵本ではなく、ゴリゴリのアニメやマンガに興味を示すなど、一風変わった幼少期を過ごし、現在はこうして好みドストレートなまひろ様と結婚し、今日に至ります」

「柊さん!? なにかおかしくありませんか!?」


 いやまぁ、うむ……おかしいと言えばおかしい、か?


 そもそも、生まれてすぐサブカルチャーに興味を示すて……瑞姫よ、おぬし相当なあれだったんじゃなぁ……。


 もしや、瑞姫と儂の子供もそうなるのではないか、と正直心配になるが……何も考えまい。怖いし。


「続いて、時乃=C=アリスティア様です。アリスティア様は、2005年7月7日に翁里市に生まれ、幼少期を日本で過ごしましたが、ほどなくしてお父様のお仕事の都合で海外へ拠点を移動。昨年翁里市へ帰ってきましたが……この辺りは紆余曲折あったため、割愛とさせていただきます。日本へ拠点を戻した後、まひろ様と出会い、それはもう恋に恋する乙女となり、好きになったまひろ様に猛アタック。アメリカ人の血が入っていたためか、それはもう大胆なアプローチを仕掛けましたが、まひろ様は鈍感朴念仁睡眠大好き野郎でしたので効果はありませんでした。アリスティア様が一番恥ずかしかったことは、まひろ様をプールに誘った時、思いっきり抱き着いた時だそうです」

「柊さん、すっごく恥ずかしいことを言ってるよね!?」


 あ、あー、あの時のこと、アリア自身も恥ずかしかったんじゃなぁ……いやまぁ、ビキニという超薄着な状態で男に抱き着くとか、普通に考えて恥ずかしいわなぁ……。


 じゃが、乙女らしくて個人的にポイント高いです!


「続いて、氷鷹真白様。真白様は、2005年1月11日に童市に生まれ、その後本当に色々あり、水無月学園の生徒会長をしております。普段から冷静沈着で無表情なクールビューティーという印象を受けますが、食事をしている時や、大好きな人と一緒にいる時はかなり表情が豊かになるとのことです(まひろ様曰く)。実は夜中にまひろ様が作った料理を食べることに嵌っており、しかもまひろ様に『……メイド喫茶のメイドさんのようにして』とお願いし、恥ずかしがりながらもまひろ様はお願いを実行するなど、かなり面白いことをしているようです」

「……なぜ言ったの!?」

「ちょい待て! なんかそれ、儂にも流れ弾なんじゃけど!?」


 ましろんの恥ずかしい話が暴露され、ましろんだけではなく、儂にまで流れ弾が。


 くっ、夜中にましろんしかいないからいいか、と楽観的に考えておった儂がバカみたいじゃったっ……!


「尚、その光景は後程、映像をお見せします」

「「やめて!?」」


 二人揃ってやめるように言うが、お構いなしに柊さんはプロフィール紹介を進めていく。


「続きまして、桜小路結衣様。2000年9月13日に翁里市にて生まれ、お見合いが嫌で一度家出し、その際に小さい頃のまひろ様と出会っております。それからは、まひろ様と姉弟のように仲良くなり、中学時代を小学生のまひろ様と過ごしましたが、海外の学校へ行くために一度疎遠となります。その後は手紙でのやり取りをしておりましたが、過去の『大人になったら結婚しよう』という約束を叶えるべく、今年日本へ帰国。そうして現在に至ります。まひろ様を抱っこ、もしくは甘やかすことをかなり好んでおり、実はまひろ様が熟睡している頃を見計らって、こっそり膝枕し、その寝顔をデレデレとした顔でしばらく堪能してから写真を撮り、スマホに専用フォルダを作成しているとのことです」

「あ、あらあら~」

「ちょい待って!? 結衣姉そんなことをしておったの!?」


 全く気付かんかった……。


 というか、マジで恥ずかしい話を暴露する場になっとらんかこれ?


 …………いやでも、普段は儂の方が恥ずかしい思いをしておるし……あれ? これは普段の仕返しになるのでは? 時たま、儂にも流れ弾が飛んでくるが、まあ、概ね良いと思う。


 というか、儂が普通に面白いと思っておる。


「続いて、神祥子様です。1996年11月11日に東野市に生まれ、色々あり現在はTSF症候群の研究者をしております。マッドサイエンティストとして有名ですが、しっかりと発症者の方々を気遣ってくれる方でもあります。つい最近結婚したばかりではありますが、まひろ様とはかなり仲が良いです。普段から冷静沈着ですが、実は可愛い物が好きらしく、まひろ様が可愛らしいお洋服を着ている時は、こっそり写真を撮っているそうです」

「おや、私も暴露されてしまったか」

「おぬし、冷静じゃね?」


 そこはさすがと言うべきか……って、あ、よく見たら顔が赤いな。ついでに、耳も。


 ほう、実は恥ずかしがっとるんじゃなぁ……ふふ、良い物を見た気がする。


 ともあれ、これで旦那共の紹介は終わりか…………って、考えてみたら儂も、かなり恥ずかしい話が暴露されそうな気が……。


 き、気のせいじゃよな!


「最後に、桜花まひろ様です。2006年2月14日に翁里市で生まれ、まひろ様のお爺様とお婆様が主となって育てたためか、今のようなお年寄りじみた話し方になったとのことです。TSF症候群発症前は、所謂男の娘という容姿で、実は異性だけではなく、同性からも告白されていたそうです。発症後は、紆余曲折あり、六名の女性と結婚しております。実は、一人でいる時、隠れてフリルがこれでもか! と盛られた衣服をこっそり着て、鏡の前でポーズを取ったり、その場で一回転したりするという、なんとも微笑ましい行動を取られております。「ちょい待って!?」余談ですが、実は夏に備えて、旦那様方へ見せるための水着を吟味しており、あーでもない、こーでもない、と鏡の前で着ては脱いで、着替えるということをしております」

「もう止めて!? なんか、羞恥心で死にそうじゃからぁ!」


 途中で、とんでもない話を暴露され、ストップをかけるがガン無視されて話は続いた。


 周囲を見れば、それはもう微笑ましい笑みで見られており、儂は唸り声を上げて机に突っ伏した。


 な、なんという辱めじゃあ……。


「それから、旦那様方からプレゼントされた髪留めを自室で嬉しそうに眺める姿も目撃されているとのことで、屋敷内にいるメイドたちは私を含め鼻血の海に沈みました。さすがです、お嬢様」

「何を言ってくれとんの!? ねえ、何を言ってくれとんのぉ!?」

「あんた、すっごい可愛いわね」

「乙女で大変素晴らしいです!」

「水着楽しみにしてるね!」

「……ん、最高に可愛い」

「あらあら~、そんなことをしていたのね~。今度、ゴスロリを着てくれると嬉しいわ~」

「おやおや、随分と乙女思考だね? やはり、発症するとそうなるのかな?」

「~~~~っ! え、ええぃ! 次じゃ次ぃ! さっさと次に行ってくれ柊さんや!」


 顔がみるみるうちに真っ赤になり、同時に熱くなってきて、恥ずかしさのあまり誤魔化すように次へ進めてほしいと柊さんに言うが、周囲の生暖かい目は変わらなかった。


「まひろ様が乙女になってしまわれましたので、次へ参りたいと思います」

「そのセリフはいらなくね!?」

「はい、通常であれば主賓の挨拶となりますが、まひろ様方の希望でカットです。この場のほとんど学生であるから、とのことですね。誰も校長先生のような長い話は聞きたくないじゃろ、とのことです。素晴らしいですね。世の中の話が長い校長先生は一言で済ませてほしい物です」


 柊さんのその発言に、会場にいる者たちが笑う。


 いやまあ、それはそう。


 小学校や中学校の時の校長、話長かったのう……。


 というか、柊さんの言葉に、どこか殺意が籠っとる気がするのは気のせいじゃろうか。過去に何かあったのか?


「はい、では、早速会食と行きましょう。では、皆様お飲み物の準備は出来ていますね? はい、OKですね? それではまひろ様。乾杯の音頭をお願いします」

「え、儂なの!?」

「当然ですが?」

「お、おう……ではまぁ……こほんっ!」


 なんか儂、最近こういう役割がよく回ってくるようになってしまったが……ま、まあ、よいか。


「あー、まあ……あれじゃ! 今日は儂らのために集まってくれてありがとう! なんか、やたら豪華で美味い飯やら飲み物やら、スイーツなんかがあるみたいなんで、是非楽しんでいってくれ! 儂が用意したわけじゃないけど! では……乾杯!」

『『『かんぱーい!』』』


 途中、暴露話なんかがあったが、そんなことはもう忘れて(というか忘れたい)、儂の音頭を合図に、会食が始まった。

 どうも、九十九一です。

 いつもよりかは短めになりました。まあ、次の日に用事があったので……仕方ないね。

 次回も以下略です。

 では。

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