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56体目 トウヤ家を買う

 事件に合わせて帰国した俺たちは、自宅でニュースを見ていた。


『合わせて18の国で発生したゲートですが、未だ影を探す作業が続く国もあるそうです。 早急なゲートの破壊に成功した日本ですが、現在では被害の修復が開始されています』

『塔内で発生していた影が現れるゲートの多くは、日本人冒険者が対応していたと記録されています。それが功を奏し、早急な対応ができたと言えるでしょう』


 今回は即日でニュースになっているが、最低限の情報規制はされているようだ。


「やっぱり塔也君の情報は出てないみたいだね」

「重要人物みたいな扱いになってるからな。早々他国にバレるようなことはしないさ」

「でも塔也君のお陰で多くの人を助けられたのに、誰もそれを知らないなんて残念」

「身近な人が知ってるだけで十分。多くの人に知られるとか面倒なだけだし」


 桜は俺のお陰と言うが、他国の被害を見る限り被害は大きくないから大差はない。

 死者が数名出たという国もあるらしいが、日本でも軽症者が数百人出ているだけだ。

 まあ日本での被害は、5分の1はモモカによる水害が原因だ。

 そのほとんどが英雄願望のある若い冒険者だから、逃げずに戦った(ゆえ)の自業自得だろう。


『今後は塔の外にも魔物が発生すると考えられていますが、どのような対応が求められるでしょうか』

『同じ位置に発生するならまだ対処は可能でしょう。しかし塔内に誘導できなかったように、どこに発生するとも限りません。根本的な解決策を考える必要があるでしょう』


 同じ内容ばかり流れているから、これ以上は見ていても仕方なさそうだ。


「個人でどうなるようなもんでもないから国に任せて、これからの方針を決めておくか」

「わたしたちは夏休みのあいだに地下100階を目指して、ご主人様は奥の階層に進むんでしたよね」

「それもだけど、結構な収入も入ったから家を買おうと思ってる」

「それじゃあムギちゃんたちも、やっと家に呼べるようになるんだね」


 呼ぶかどうかは分からないが、ムギが遊びにくることはありそうだ。

 収入で思い出したので、精霊石を取り出しモモカに渡しておく。


「そうなるな……。あとこれ、返してくれたから渡しとく」

「あ……。これってお母さんの……」

「石の品質こそ普通だけど、魔力の感じからしてお守りだったんじゃないか?」

「はい。お母さんがお守りにって……」


 モモカが持った瞬間魔力が増加したところから見ても、親が子を想って作ったものだと分かる。

 持っているだけで呪いなどから守ってくれそうだから、モモカ専用の装備と言ってもいいだろう。


「実際守ってくれそうだから、肌身離さず持っておくといいよ」

「その……。本当にありがとうございます」

「どういたしまして」

「よかったねモモカちゃん。後は両親を見つけるだけだね」

「無事だといいんですが……」


 そういえば消息を訊ねていなかった。

 奴隷として購入されたというのは知っているが、今はどこで何をしているのやら。

 両親と会いたいと言わないから、特に気にしていなかった。


 精霊石はチャンスがあったからまだいい。

 しかし両親のことまでこちらから頼めば、国や購入者に借りを作ってしまうだろう。

 この件はまた≪ポルコ≫に恩ができた時にでも持ち出せばいいか。





 家を建てる場所だが、塔の外というのも考えたが、良い土地がない。

 ギルドへ距離ができてしまい、緊急事態の際に動きが遅くなるのは困る。


 未開拓の地を含めより深くの階層まで探した結果、地下1003階層の気候は1年中夏の始めか終わった後のような暑さだった。

 気温が25から30度ちょっとで、湿度も低めだから雨も多くは降らないだろう。

 開拓も進んでいないが、奥地であるから人も居ない。

 何より階層が俺の誕生日である10月3日とも一致する。


 ここに建ててもらうのはダメかと頼んでみたら、すんなり通って家を建てることが可能となった。

 金は結構掛かるが、モモカの魔法も練習できるよう堤防も要望に出しておいた。

 挑戦する権利がないから結界からは出られないが、結界外への試し撃ち(・・・・・・・・)は可能なはずだ。


 土地としては、やや高台に転移球が存在している。

 少し森を切り崩すことで砂浜が現れ、遠くに波打っている海? が見える。

 この立地であれば、モモカが成長しても早々水害になることもないはずだ。


 逆側は森だらけで、次の階への主柱も砂浜を南に進めばある。

 そのせいか、森側の探索は進んでいないらしい。

 検索を掛けても、未探索の部分はマップが出てこない。


「買い物とかは転移して行けばいいし、普段過ごすにも日陰なら涼しくて良いな。日光浴もできそうなぐらいに日差しもあるし」

「でも、リゾート地にもできそうなのに、本当にいいのでしょうか」

「今は大変な時期だから、それどころじゃないのかも」


 いずれは立ち退きが必要になるかもしれない。

 しかし開拓があるとしても年単位は掛かるだろう。

 その頃までに突破されていない階層まで昇り、よりよい土地の権利でも握ればいい。



 そして景気づけに海に向かって全力の≪メテオシャワー≫を使わせた。

 すると魔物を倒したのか、モモカのレベルが上がった……。



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