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2体目 ドレイン

100(+10)←は100の内10が強化された分です。

実質90+10

「魔石が3500エン。堅牢(けんろう)(こつ)が350グラムで5250エン。合計8750エンとなります」

「どうも」

「ここ2週間大分上まで昇ってますね。何かありましたか?」

「まあ、はい」


 自分から言うつもりもないが、隠したところでいずれは噂になるだろうか。


「失礼ですが、確かトウヤさんのレベルは……。危険かと思われますが」


 毎月一度は冒険者カードを提示せねばならないが、受付は守秘義務もある。

 それでも正直なところ見せたくはないが、長年使って細かい傷も目立つ。

 翌日には5月になり提示する日なので、ついでに確認もしてもらうのも悪くない。


「大丈夫です。あと、冒険者カードを新品にしたいんですが」

「そうですか……。予算はどの程度でしょうか?」

「5万から8万ぐらいで」

「それでしたら、長く使うのであればこちらのバーボンエイトか、少し予算オーバーしますが、ナインがオススメです」


 最新付近のものなだけあって新機能が満載だ。

 塔の奥でも接続できるネットワークにも高水準で対応しているようだ。

 その後説明を受けた俺は、バーボンエイトを購入して帰宅した。






 プロなだけあって、乗り換えついでの確認はされても分身については何も触れてこなかった。

 ギルドの近くには冒険者が多く泊まっている宿もあるが、俺は自宅に帰り新品にした冒険者カードを確認。

 ここ2週間でレベルが2上がり、SPも2ポイント獲得したので1ポイントは筋力強化に使っている。


________________________

 トウヤ 19歳 男 レベル:55

 S P:1

 体 力:131(+10)

 魔 力:331(+10)

 筋 力:104(+10)

 敏 捷:182


 知 力:150

 器用さ:310

 

 能力

:分身:レベル63【増加必要SP1】

:実体具現:レベル5【増加必要SP3】


 強化

:魔力強化:レベル1【増加必要SP1】

:体力強化:レベル1【増加必要SP1】

:筋力強化:レベル1【増加必要SP1】

・.........          ↕スライド

________________________



「筋力に1ポイント振って三桁に届いたのはいいとして、知力と器用さが上がったのは分身のお陰か……?」


 2人いればできることも増え、考える量も倍増するからだと思う。

 魔力が高いのは、俺が魔法使いタイプだからだ。

 分身に希望がなくなってから、何度も方向性を変えるべきだと言われたほどだ。


 ちなみに魔力が高い方が、能力が芽生え易いと言われている。

 能力とは、生命力に精神力で干渉して発動するものだからだ。

 つまり、体力と魔力が高いほど優秀な能力者になれる素質があるわけだ。


 勿論魔力が低くとも能力は持てる。

 しかしあまり複雑ではなく、精神力を使わない(たぐい)のものになりがちだ。


「実体具現の人数は変わらず……。慣れてきたからそこそこ燃費と性能がよくなった程度か。維持するための集中力は結構楽になったな」


 レベル5までは自力で練習して上達させた。

 そしてレベル5からは自力でも上げ辛いのか、必要SPが1から3になった。


「とはいえ2体目からは持続時間が心配だな……。吸収系の技でも覚えるか? 疲れたし明日(あした)にするか」


 精神力(まりょく)を吸い取るのはともかく、生命力(たいりょく)を吸うのは難しいと聞いたことがある。

 難易度は人によるのだろうが、物は試しだ。

 寝る前にネットで調べておいて、明日から修行してみることにした。






「≪マジックドレイン≫はカードに出たけど、≪ライフドレイン≫は出てないか……」


 片鱗すら掴めないのでは、カードに能力は出現しない。

 魔力は少しでも奪えるのだから、練習すれば自力でも覚えられる。

 だが重要なのは生命力のほうで、感覚がいまいち掴めない。


 生命力や精神力をコントロールする≪気力操作≫や≪魔力操作≫を覚えていないから難易度が上がっているのも原因か。

 しかし操作をまともにできるようになるには、操作する修行に特化して1年以上の修行が必要だと言われているから一朝一夕にはいかない。

 これでも時々練習していたから、一応はカードには出ている。

 必要SPが多く習得はできないが……。


 1人で考えるよりましかと思い、分身を出して一緒に考えようと思う。


「なんか思いつかない?」

「出されたばかりじゃ同じ考えにしかならないだろ。体力のムダだからしまえよ」


 即座で否定された。


「しまうのだって、エネルギー回収するの結構難しい……」

「「ああそうだ」」


 同時に ひらめいたようだ。

 分身にも生命力を分け与えているのだから、多少は戻す時の感覚に近いはず。


「じゃあ俺は抵抗するから、体内に戻す感じで吸ってくれ」

「質が同じだから難易度は低いけど、練習にはなるか」


 出し入れの権利は本体にあり、抵抗など無意味だからこれまで気にしてなかった。

 これならエネルギーを引っ張り合う事で練習できる。


 ドレインは本来、動物や人に使用するのは危険だから魔物相手にしか使ってはいけないスキルだ。

 しかし分身なら死ぬという懸念がないから、危険な事柄でもガンガン使える。

 ここ2週間で急激なレベルアップが成されたのも、これが原因だ。


 冒険者は安全に安全を重ね傷を負わないように行動する。

 高位の治癒魔法が使えるパーティーですら安全優先だ。

 だが分身は腕が吹き飛ぼうが頭や心臓が潰されようが問題ない。

 無鉄砲に格上のモンスターに突っ込んで倒せてしまうのだ。

 まあ格上といっても、探り探り少しずつ階層を上がって行ったが。




 しばらくして分身を消すと、溜まった修行の経験が還元されドレインの練度が上がる。

 そして消した分身は次の練習のためにすぐ出した。


「おし。慣れてきたしモンスターで実験よろしく」

「即行で出しやがったな……。分身にやらせるのは解かるけど、自分で自分を殴りたい気分になるな……」

「俺だって思うところはあるけど、解かるだろ……?」


 結局のところ、意味がないから自分を攻撃はしない。

 そしてその日。

 捨て身特攻作戦によりSPを振るまでもなく、ドレイン系スキル二種類を修得できた。



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