表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/108

11体目 同意なし

 俺は割り出したゲートの方角を臨時パーティーの2人にも伝えた。


「魔物の移動方向と数的にあっちの方角だな」

「ここから避難するなら近くを通りそうだ。時間が掛かるけど迂回するか」

「確認しないの?」

「ゲート付近は俺レベルなら平気だけど、ムギや塔也じゃ厳しいだろうからな」


 初の名前呼びだ。

 錬斗もそれなりに経験があるだけに、真剣にならねばいけない場は(わきま)えているようだ。

 個人的には迂回でなく突っ切りたいところだが、反対して亀裂を入れるよりはマシだろう。


「ムギに経験値は入らなくなるが、俺たちで倒して進むぞ。ムギは後方注意」

「オーケー」

「うん。分かった」


 真剣そうな顔をしている2人とは裏腹に、俺は軽い返事で返しておいた。






 ゲートとは逆の方角に進んでいるはずなのに、敵の数が増えてきた。

 その数は1度の戦闘で10体を超える。


「くっ……。ゲートの方角間違えてんじゃないか!?」

「いや。あちこちから来てる。溢れてから相当時間が経ってるのか、同時発生って可能性もあるな」

「それこそ年に1回もないだろ!?」

「逆に言えば毎年のようにあるってことだぞ」


 同時発生は全階層を合わせて年1回だから、通常は一生遭遇しない人も多いだろう。

 だが雑魚は増えやすいから下層のほうが発生頻度は多いし、他に思い当たる節もある。

 原因は俺自身。


 毎日最低50匹をノルマに、高校を卒業してからは100をノルマに200匹を倒す日もあった。

 3年間続けていたから、塔がそれに合わせてこの階層にモンスターを出現させていた可能性がある。

 人気モンスターというわけでもないのも原因の一旦か。

 しばらくして追加は止まっても、放置されていた可能性が高い。


「突っ切るか……? 囲まれるのが一番やばい」

「そうだな。こんな雑魚にいつまでも――」


 錬斗が方針を変えようとしたところで≪インプ≫が接近。

 俺は咄嗟に軽く横斬りして退治すると、そこで塔からのシステム音が響いた。


『同種族の魔物10万匹討伐を確認しました』

「「え?」」


 錬斗と同時に疑問の声を上げた。

 確かに、平均1日100匹だと3年で10万近くいくかなぁとは考えていた。

 しかし、他人がいるこのタイミングは最悪だ。


『戦歴を確認します……。吸収系能力を複数を確認しました。階層にゲートの発生を確認。≪食い荒らす者≫を作成――失敗しました……。≪死を恐れ挑む者≫の達成を確認。条件変更……≪死すら食らう者≫を作成しました。各階層からのゲートを開きます』

「同意なしかよ……!」


 同意なしは噂にしか聞いたことがないが、緊急クエストが突如開始した……。

 視界の20メートル先に、大きく螺旋を(えが)いている球状の巨大なゲートが出現。

 そして出てきたのは、60階層到達者が戦うようなモンスター群。


「やばい……! こいつ等は俺でも同時に数匹が限度だ! 2人とも逃げ……」

「俺の責任だ……。2人は逃げてくれ」


 分身を3体出すと、錬斗は言葉を失った。

 無防備なところに近づいてくる数十もの敵は、レベル差もあり即座に打ち倒す。


「バカな……。同時に3体なんて……」

「塔也さんが増えた……?」

「あっち側からなら……逃がしてくれないか」


 60階層のモンスター程度ならいくら集まろうと問題はない。

 しかしゲートは他の場にも開いていた。

 確認できるゲートは東西南北に合計4個

 出てきたモンスターは、最近多く倒していた覚えがある。


「なんだこいつら。見たことがない!」

「90階層からの魔物だな。左右は70と80……」


 分身3体では対応不能と判断し、9体にまで数を増やす。


「下から1・2・3・3で対応!」

「60階層代はやる! 俺が出した奴は80に!」

「んじゃ俺は70に2人と1人は90代だな」

「80に1人回して2人で90か。なんか俺の負担多くね?」

「感覚共有あるから変わんないだろ」


 分身たちは俺の考えを読み取り行動を開始。

 お試しパーティーの兄弟を守るように囲み、戦闘を始めた。


「実体を出せるだけじゃなくここまでの数を……。お前実力を隠してたな!」

「最初から黙秘してただろ。それを知った上で組んだんだから、そこに俺の責任はないな」

「いや……別に責めようってわけじゃ」

「そ、そんなことより、ここからどうすれば!」


 ムギの問い掛けで考え始めるが、どうしたものか。

 通常のゲートは数日間は魔物が出続ける。

 しかし特殊なゲートのようだから長く続かない気もする。

 耐えてればその内終わるのか、危険を承知で強行突破するべきなのか……。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!

執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ