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107/108

101体目 分断

 1階は3フロアあり、数字を使った3つの謎解きで終わった。

 長い階段を昇ると、先ほどと同じぐらいの広さがあるフロアに直接出る。

 最上階層なのが関係しているのか、未だに宝箱は見つからない。

 出た部屋には、地面を埋め尽くす量のスイッチが点在していた。


 まずは奥の扉横に刻まれている文を確認。

 全てのスイッチを光らせれば開くということだった。

 スイッチはそれぞれ連動していて、踏むスイッチによって点いたり消えたり。

 法則は特になく、すぐ隣のも一緒に作動するスイッチもあれば、逆に遠くに点いていた明かりが消えてしまうのもあった。


「……全然解からん」

「塔也でも解けないか……」

「できないことはないけど、量が多すぎて何時間掛かるかって感じだな」

「…………ご主人様。わたしがやってみてもいいですか?」

「ああ、いいよ」



 1人で挑戦したモモカだが、まるで確信を持っているかのように次々と地面のスイッチを押している。

 以前ティファナの森を案内してもらった時もそうだったが、モモカは記憶力が高い。

 こういうのを覚えることに関しては、忘れっぽい俺よりも向いているようだ。


「あっ、ここじゃなかった……。えーと……」


 覚え方に大雑把なところはあるが、次々と部屋中のスイッチの明かりが点いてゆく。

 何分も掛けずに2つ目部屋へ突入すると、今度は2倍近く広く、透明な壁で区切られた複雑な迷宮だった。

 ところどころにスイッチがあり、昇ったり降りたり、壁が開いたり。

 きっかり4人で別々に進まないと突破できない仕組みになっていた。


 そして2階の最後の部屋は単純明快。

 1人がスイッチを押し続けることで、残りの3人が次の階へ行ける仕組みだ。


「人が押さないと反応しないみたいだな……」

「なら俺が残る。戦闘はなさそうだし、みんなが通ったら非常口から出て待ってる」

「じゃあ任せるな」


 錬斗は謎解きが苦手なようで、真っ先に名乗りを上げた。

 こういう形式の主柱は他の層にも存在していて、進行不能になった場合は部屋にある脱出用のワープポイントから出られる。

 そしてボス前には大抵、入り口と繋がるワープゾーンが作成されて仲間と共に挑戦できるというのが通例だ。



 そして3階の水車やらハンドルやらを利用した謎解きだが、前世の記憶に覚えがあった。

 あの時は、レイナが答えを知っているかのような速さで謎を解き明かしていた。

 今にして思えば、現在の俺のように何かしらの事情であらかじめ知っていたのやも……。


 だが最後の部分だけが記憶と違い、またしてもパーティーの1人が分断される仕組みが施されていた。

 配置の都合上、モモカがその階に残ることになる。

 ここまでくると、作為的に分断していると確信を持てる。

 俺1人を最上階にこさせるつもりなのだろう。


「2人だけになっちゃいましたね……」

「最後は1人になるとして、5階が最上階か?」

「なら残る役目はあたしですね!」

「まあ……その時は頼んだ」

「はい!」


 若干騙しているようで引け目を感じる。

 実際最上階まで行ったとして、その後どうなるかは俺にも分からない。

 とりあえず天使が居るのは確定として、レイナと和樹がどう出てくるか。

 不意打ちされる可能性も考慮せねばなるまい。


 塔のシステムを酷使されたら手の打ちようはない。

 しかし、無制限に使えるわけでもなさそうだ。

 隙があるとしたら、そこだろう。

 そして意外なことに、4階は何もない空洞だった……。


 一応軽く探ってから5階へ昇ると、大きな扉があった。

 手を触れると、この壁の向こう側に居るであろう人物からの声が聞こえてくる。



『資格を持つ者の到達を確認しました。先へ進む1名を決定してください』

「……レイナなんだろ? 訊きたいことが山ほどあるんだ。出てきてくれないか」

「塔也さん?」

『…………先へ進む1名を決定してください』

「だんまりか。ムギ。1度帰ろう」

「えっと。いいんですか?」

「ああ」


 相手の思い通りに進んでいるようで、いい気がしない。

 家に帰って事情を話し、俺以外に先へ進ませようと思う。

 多少のリスクはあるが、相手の予定を狂わせる算段だ。


 都合が悪ければ、レイナたちのほうから現れるはず。

 そう思った時、間も空けず強行手段に打って出てきた。


『到達者の強制転移を申請します……成功しました』


 既に到達しているのだから、申請が許可されるということか。

 しかしこれはチャンスだ。

 強引に事を進めようとすれば穴もできる。

 俺は転移に抗い、身が千切れんがばかりに座標をずらした。


 とてつもなく危険な行為だが、幸い全身の筋肉が悲鳴をあげ、左腕がひしゃげて骨が粉々に砕けるだけで済んだ。

 ミョゾティス氏に転移について教わっていなければ、おそらく死んでいた。

 逆算してみると、本来転移する場所は何やら透明な液体が入っている機材の中だ。

 もし抵抗しなければ、無力化されていたのだろう。

 血が床に勢いよく垂れ指の本数も足りない気もするが、この程度は必要経費だと考えることにする。


「な、何してるんだ塔也!?」

「痛っ……。お前らが出てこないからだろうが。和樹。レイナ」

「塔也さん……」


 そこには、前世で友に歩んだ仲間達が居た……。

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