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アンレイナーレ大革命~厄災から帝国を、そして世界を救うため~  作者: あーちゃん先生
第一章 幼少期のやり直し
6/8

05 ヘンテコ組の街探検 後編

GW終わってしまいましたね。あっという間です。

虹色の湖(レインボー・レイク)でおいしい昼食__ハワイアン料理?を食べた私たちは、引き続き見学をすることにした。


「とはいっても、他に行ってみたいところとかある?」

「うーーん。とくには....あっ!異世界にはあって、地球には無かったものがあるところとかありますか?あったらぜひぜひ行きたいです!」


せっかく異世界アンレイナーレに来たのだ。地球にはない、なんかこう、魔法とか魔術関係のなにかが見てみたいなあ、なんて思ったりもする。だって、異世界には魔術が付き物ではないか。

などと思っているところで、目の前に巨大な石像があり危うく頭をぶつけそうになっていたことに気づいた。


「この石像は誰ですか?....なんとなく、ソルベさんと同じ雰囲気がするんですけど....」

「え?ああ、これね。よく分かったね。これは天空界四天王の石像だよ。一番右がミルディア様」

「そ、そうなんですか!石像になるなんてすごいですね....あれ?でも、普通の人は、変異術使ったら見えなくなるって言ってませんでしたか?」


ソルベの場合は、変異術を使っていない真の姿(ちょっと派手)と、変異術を使ったあとの人々に見えるようになる姿(人並み。普通に回りに溶け込める)は微妙にちがう。

それに、四天王の神様たちが、変異術を使っていた人並みの姿だったとすれば、その石像は偽りの姿。変異術を使っていない、派手で真の姿については、そもそも民衆には見えないから論外だ。

私はよく分からないから、ソルベに聞いてみた。すると、ソルベから返ってきた言葉は....。


「この石像が造られたのは、400年前。当時は今の四天王はいなかったけど、....あ、詳しいところは言えないからとばすね。まあ、そんなこんながありまして。今の四天王の姿形が街の人にも分かって、今こうして石像が建ってるの。だからこれは、真の姿」


という、一番聞きたかったところの抜けた結論だけの答えだった!

要するに400年前に生きていた人は、神様の存在と、どういう姿形をしているのかを知っていたと言うことらしい。そういえば400年前といえば、ちょうど厄災が起こったときだった気がする。四天王の石像と厄災は、なにか関係があるのだろうか。


「この石像は、どういう意図で作られたんですか?」

「これは、厄災__反乱が終わり荒れ果てていた、今はもうない王国にあったものなの。反乱が起こってこの石像が崩れそうになったとき、街の人々が神様の像が崩れないようにと、アンレイナーレに持ってきたらしいよ」

「そうだったんですね....。」


裏を返せば、400年前の厄災は、この大きな石像をも壊してしまうほど災難だったということか。400年前の暗黒払いさん達は大変だったなあ。と、常々思ってしまう。


__エルも他人事ではない。呑気な考えをしていたら、2度目の(si)が待っているっ。


石像の前で話した後は、もう一度お店がたくさん並んでいるエリアの回りを見ていった。

石像の前で長く話しすぎたからだろうか、雑貨屋や仕立て屋を見て外に出る頃には、もう夕焼け空になっていた。家族を待たせておくのも何となく嫌だったから、これで終わりにすることになった。


「そろそろ日が暮れそうだね。街探検はこれくらいにしておこうか」

「今日はありがとうございました、ソルベさん」

「うんうん。こちらこそ街の中を詳しく見たのひさしぶりだよ。....あっ、そうそう。ミルディア様からこれを預かってたんだ。はい、あげる」


そういってソルベは、懐中時計のようなものを取り出してきた。


「これは?」

「これは、何か知らせたいことがあるときに先の方が光る仕組みになっている懐中時計。ほら、私もミルディア様も四六時中ずっとエルの近くにいるわけではないでしょ。だから、私からエルになにか知らせたいことがあったら、懐中時計を光らせることができるの。....君、モールス信号分かる?」

「モールス信号?それってたしか、私が今までいた世界の仕組みですよね?でも私、そんなのやったことありませんよ?」

「そっかあ。まあ、そりゃそうだよね。懐中時計の横にボタンがあるでしょ。そこでモールス信号みたいに文字を送ることができるの」

「そうなんですね。でも、さっきも言いましたけど、私モールス信号分かりませんよ」

「大丈夫。そんなときのために用意してたんだ」


そういって、ソルベは分厚い本を取り出した。....そう、モールス信号入門書という名の本を!

どうやらソルベは私にモールス信号を覚えさせたいそうだ。入門書を片手に持って、最上級のドヤ顔をしている姿が見える。


「ていうことで、これもセットで。できるだけはやく覚えといてねえ。じゃ、もう家についたし、ばいばーーい!」

「え、ちょっちょっと!?ソルベさん!明日からどうすれば....」


私が問いかけている間に周りに人がいないことを確認したソルベは、くるりと1回転して瞬間移動か何かで消えてしまった。残されたものは、モールス信号機能付きの懐中時計と、入門書だけだ。


....ここでぼーっとしててもどうにもならないからなあ。家に入ろう。


私は懐中時計と本を持っていたバッグに隠して、家の中に入った。


「おかえりー、エル。何してきたの?」

「ただいま、フリア。友達....?と、街探検してきたの」


疑問形になってしまった。失敗、失敗。


「おー、エル。おかえり。楽しかったか?」

「あぁー、えーーっと、父さん。楽しかったよ」


....この人が父さんのライヌか。確か、科学者だった気が?なんか、ソルベさんと気が合いそうな顔してる。


父さん初登場だ。なんというか、THE・科学者っていう顔してる。実際に科学者(サイエンティスト)同士語り合う様子が想像できてしまう。

父さんとの顔合わせも済んで夕食も食べたあと、私は自分の部屋に行って懐中時計を詳しく見てみることにした。


「えーっと。このボタンを押したらソルベさんに伝わるのか。一回押してみよう」


そう言って私は辞書のような()()()で書かれてあるモールス信号入門書を開いた。


....ソルベさん、日本語分かるんですね。


なかなか自由な女神の従者である。

本を片手に私は勉強をしようとすると、不意に懐中時計が振動した。そして、振動した直後に懐中時計の先端が光った。


「え、ちょ、ちょっと待ってよ。何て言ってるの!?」


私は慌てて本を開いて解読してみると、ソルベは"見える?"と打っていた。


なるほど。光る前に振動で知らせてくれるらしい。なかなか便利な物だ。

私が"見えます"と知らせると、すぐにソルベから返事が来た。

"私、エルの手助けとして「虹色の湖(レインボー・レイク)~R&L~」に弟子入りすることになったから。何かあったら懐中時計で知らせるか直接お店に来てね。"


「え、えぇ!?急に弟子入りするの?さっきまでそんな話してなかったよね!?」


初耳だ。つい誰もいない部屋で叫んでしまった。でも確かに、ソルベにはできるだけ近くに居てもらった方がこちらとしても都合が良い。

そんなわけで、どうしてそうなったのかは追求せずに了解と返事をした。


....もう夜遅いなあ。そろそろ寝よっかな。


モールス信号の勉強は明日することにして、もう寝ることにした。


今日一日いろんなことが起こった。証明が落ちてきて死んでしまったのに、気がついたら自称女神様の従者が侵入してきて、ここは異世界だと言い出すのだ。それに、成り行きで街探検もしてしまった。....今さらだが、過去の自分はソルベなる者がやってきて、よくも疑わずにホイホイ街探検をしたものだ。いい人そうなことは雰囲気で分かったけど、本当に不審者だったら今ごろ頭の上に輪っかができて、体に翼が生えている。天使エルの完成形だ。....そんなことはおいといて。


本当にこれは現実なのだろうか。今日寝て明日起きたら、また別の場所にいるなんてことはないのだろうか。

異世界(ここ)での生活もしてみたいなどと思いながら、私は夢の中へと落ちていった。






















__などと格好つけているエルはこのとき、厄災についてまるっきり忘れていた。ただ異世界生活を楽しみたいだけの人の顔になっていた。めでたし、めでた.........し....?



___転生小説に、転生させた張本人であるソルベ&(ミルディア)が登場するって、なかなかの反則ですね...。


実は、エルは近くに頼れる人がいないと分かったら知らない人でもホイホイついていく、単純....あ、言い間違えた。素直な人なんです。

読んでいただきありがとうございました。次回はエルのお友達が登場する予定です。お楽しみに!

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