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アンレイナーレ大革命~厄災から帝国を、そして世界を救うため~  作者: あーちゃん先生
第一章 幼少期のやり直し
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03 世界の仕組みとエルの使命

「ソルベさん、この世界について教えてください」

「うん、知識があるのとないのとでは違いが結構あるからね。君はまず、なぜこのようなところにいるのかが知りたいでしょ。君にはこれから華怜としてではなく、ここ、アンレイナーレ帝国の帝国民、「エルナージュ」として生きてほしいの」

「....まあ、そうですよね。分かりました」


まあ、ここが異世界と呼ばれている時点で、ある程度予想はしていた。そして、今さらになって気づいたが、自分の体もちがう。ついさっきまで普通に高校生の身長や手足だったはずなのに、急に幼くなってしまった。みたところ7、8歳くらいではなかろうか。暗い茶髪だった髪色は、薄いエメラルドグリーンになっていた。....いくらなんでも派手すぎる。(ちなみにソルベは、17~20歳くらいだと思う。ウェーブのかかった長くて白銀色の髪の上半分を三編みにするという、私からするとなんとも器用な髪型だった。ついでに顔の形も異常なほどに整っていた。)すでに見た目からして華怜ではない。中身は変わっていないけど。


「了解です。ここで普通に暮らしていいんですよね。だったら大歓迎ですよ」

「...."普通に"か....」

「えっ、どうかしたんですか?」

「いや、普通にっていうわけにはいかないかも。実は、君にはとある邪悪な団体から、アンレイナーレを救ってもらうことになるかもしれないの」

「邪悪な団体から、アンレイナーレを、救う....?」


....いったい何を言っているのだろう。邪悪な団体?ここはそんなに危ないところだったの?


普通に暮らせたら、案外日本みたいでいいかもと思っていたが、そうではないらしい。


「そう、救ってほしいの。実は、ミルディア様を含む天空界の四天王は、国や世界に関わることを予言できるの。そして最近、アンレイナーレ帝国で、世界にも影響を及ぼしそうななにかの厄災が2、3年以内に起こるということを予言してしまったの」

「厄災....でも、そしたら四天王の神様や女神様がその厄災を止めたらいいのでは?」

「そう簡単には止められない。人は自分にとって都合の悪いことが起こったら、すぐ神様や女神様に助けを求めるけど、この世界では、神は人々が色んなことをする様子を静かに見守ってるだけだから。神々の助け方は、なにか問題が起こることをあらかじめ予言して、厄災が起こったときに人々を助けてくれそうな人、あるいはその厄災自体を消す力がある人をこの世界に呼び出すことができるの。そう、君みたいな人をね!」

「不幸なことも幸運なことも、すべて神様が決めているわけではないんですね」


....というか、人々を助けることも厄災自体を消すことも、私に出来るわけがないでしょっ!!なんで、「そう、君みたいな人をね!」になるの?!


それに、まだ何が起こるかすら分かっていない状況で助っ人を頼まれても、なにもできない。その結果、死んでしまう可能性もある。異世界転生という貴重な体験までして手に入れた2つ目の命を無駄にはできない。


「もし、その厄災が大地震とか、噴火とかだったらどうするんですか?」

「それはない。厄災は、すべて人が関係しているから、地震でも噴火でもないよ。まあ、噴火はそもそも無いかな。アンレイナーレと周辺諸国には火山がないから」


なんと。アンレイナーレには火山がないらしい。それはつまり....


....お、お、温泉が使えないいいい!


ーーそもそも温泉大国の日本にいたときから温泉にはあまり行っていなかったからそこまで悲しんではいないエルだった....多分。


とりあえず厄災に話をもどして。

私が「厄災を止めるとか、そんなのできませんっ。お断りさせていただきます」というような目で見たら、ソルベはすべてを察したような表情をした。


....よかったあ!分かってくれたんだ。やっぱりこういう大変で責任重大なことは、もっとふさわしい人にやってもらった方がいいんだよ。さすがソルベさん、分かってるう!!


「と、いうことで、華怜さん....ではなく、エルナージュ。私はここに、アンレイナーレと他の国をも巻き込もうとしている厄災を止めることを要請します!」

「....え、あれ、なんで?どうしてこうなったの?さっき、ソルベさん、「そんなに言うんだったら、他の人にまかせるよ。君は自由に過ごせるよ」的な顔してたじゃないですか!?」

「はぁ、そんなことは1つも思ったことないよ。それより、厄災を止めることを要請します」

「おかしいですよ。絶対そのような顔してましたって。そのせいで死んでしまったらどうするんですか!?」

「君ならどうにかなるよ。1回死んでるし」

「メタイこと言わないでください....」

「厄災を止めることを要請します!」

「いや、それHa....」

「よ・う・せ・い・し・ま・す!!」

「....はい」


私は強制的に参加することになってしまった。

よく考えたら分かる話だが、そもそもその「厄災」をどうにかしたくて呼んだのだ。そんな人に、「自由に暮らしていい」などと言うわけがない。何のために呼んだんだってことになる。


....世の中美味しい話なんか滅多にないんだなあ。


私は世の中甘くないということを改めて実感した。


そのあとは、ソルベから厄災のことや、そもそものアンレイナーレ帝国はどういうところなのかということを教えてもらった。やけに細かい事まであって(例えばエルのとなりの家のおじさんは酔ったら警察沙汰になる、等)そのままだとややこしくなるからまとめると、


○私のような人のことは、「暗黒払い(あんこくばらい)」と呼ぶ。ちなみに意味は、世界から暗黒(やくさい)払う(なくす)という感じらしい。


○神々は、今まで何回か私のような人を呼び出して厄災が起こるのを防いだ


○天空界四天王1人につき暗黒払い1人で対策をしている。そして、私はミルディアとソルベの2人と行動するらしい。


という感じだ。


ただ、厄災は極めて稀なため、情報が少ないらしい。そして、ソルベはこのような事態ははじめてだと言っていた。なんでも、最後の厄災は400年も前なんだとか。今の時点で分かるのは、最後の厄災では当時一番権力を持っていた国の皇帝が自分勝手で傲慢な命令をしまくった結果、普段従うだけの立場の一般の民衆が反乱を起こしたらしい。その影響でたくさんの人々が亡くなり、国は崩壊。世界にも大きな影響を及ぼした。


その厄災は、私たちと同じ暗黒払いが止めるはずだった。しかし、異常なほどに反乱の流れは速く、終いには中立的な立場をとる、または、皇帝の味方を少しでもするだけで、そのものは捕らえられた。このような民衆の怒りと皇帝の傲慢かつ理不尽な態度。それをどう相手にするかを考えている間にすでに手遅れとなってしまった。

ちなみに、反乱を止めようとして中立的な立場をとった暗黒払いたちは、全員処刑されたらしい。


....へぇー、そうなんだ。400年前は大変だったんだなぁ....じゃなあい!全員処刑されたって、どういうことよっ!しかも国は崩壊ってもう終わってんじゃん!もし、これと同じことが起こったらどうにもできないよ、私!!


ーーエルはいじけた。


「んま、そんな感じなわけよ。てことで、厄災が起こるまでの間に私たちといっしょにどうにかするってことでおっけー!....あ、でも、せっかく生まれ変わったんだし、アンレイナーレの生活も楽しんでねっ」

「分かりました。では、とりあえずここの生活を楽しむことにします」


前半の言葉はともかく、後半は朗報だ。実際、もうすでに異世界にいるはずなのに、まだ1度も外に出ていない。この話が終わったら、街探検をしよう。


「じゃあ、堅苦しい話はこれで終わり。やっとこの話ができるよお!」

「....ん?「この話」とは....」


なにか嫌な予感がする。この予兆はいったい......


「決まってるよ。もちろんフランス菓子について!マカロンの他にはどんなスイーツがあるの?私、仕事が忙しくてあんまりあっち(地球)にいけないんだよね。行ったところで人にならないと買えないし。あっち(地球)出身なら、分かるでしょ!?」

「お、お、お願いだから、そのフランス菓子に対する情熱をこっちに向けないでくださいいいい!!」


....のおおお!てっきりその話忘れてると思ってたのに、まさか覚えていたとはああ!


ーーこうしてエルはソルベの迫力に負けて、ありったけの知識を使い、たいして興味のないフランス菓子の話をするのであった。

そして、ソルベが「仕事が忙しくて....」などと言っているにも関わらず、転生者と趣味の話をしていることに気づく者はこの場に1人もいなかった。


めでたし、めでたし。


暗黒払い....かなりネーミングセンスが危ういと思いますが、あたたかく見守ってください。

今回は、ソルベ先生が歴史の授業をしてくれました。そして、序盤で忘れられていたフランス菓子も最後に登場。ああみえて、仕事と趣味は分けるしっかり者なんです。

次は、人になったソルベとエルで街探検をします。エルの家族が出てきたり出てこなかったり....お楽しみにっ!

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