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第十六章 差出人は誰から?

  『第十六章 差出人は誰から?』


 ラブレターをもらったはいいものの、その手紙には肝心な相手の名前が書いていなかった。


 手紙には俺への想いに加えて、ただ今日の十六時、「体育館裏で待っています」とだけ。


 これではどう喜んでいいものかも正直わからない。


 相手がものすごい美少女なら嬉しいし、そこまでじゃなくても嬉しいのだが、俺に好意を持ってくれている相手のことくらいは知っておきたい。


 こうして誰かから好かれていると知ることができただけでも顔がにやけてしまうが、相手を知らない以上、返事のしようがないというのも事実だ。


 そんな風に考え事をしながら午後の授業も終わってしまうと、俺は今日約束していた生徒会長への答えを決める時間をすっかり失ってしまっていた。


 俺は帰りのホームルームの終了とともにあわてて廊下へと飛び出したものの、それを待っていたかのようにかの御仁がすでに俺の教室の前にて待ち構えていた。


「さあ、答えを聞かせてもらいましょうか、東條カイトさん!」


(はわぁあああんっ! 早く英雄様の答えが聞きたくて、ついついここまで来てしまいましたわ! 本当は生徒会室でどっしりと居を構えて待っていたほうが生徒会長らしい威厳が保てるというものですけれど、この如月きさら、もう待てません! 早く答えをお話しになって!)


 さあって、この毒舌生徒会長(内心変態生徒会長)さんにどんな答えを返そうかねえ。


 なあんて考えるまでもなく、実は由美が生徒会に入っている時点で、答えはすでに決まっていたのだけれども。


「生徒会長さんさえ良ければ、ぜひ俺を生徒会の末席に加えてもらえませんか? 俺にできることがあるなら、協力させてもらいます」


 そう言うや否や、如月先輩は一気にドヤ顔を披露して、


「おーっほっほっほっほっ! すばらしい答えですわね。あなたならきっとそう言ってくださると信じておりましたわ! まっ、せいぜいわたくしたちの補佐として、がんばっていただくことを許可しますわ!」


(ありがとうございますありがとうございます! これでわたくしも英雄様のお傍に……!)


 と、少し変な日本語になりながらも俺の入会を許可してくれたのだった。


 やれやれ、本当に二重人格なのか? この人は。


「わたしは認めません! 生徒会長、副会長の権限において、この男の生徒会入りを断固拒否します!」


 だがそこに、今日の朝も俺に宣戦布告をしてきた、氷堂みなみ先輩が現れた。


 氷堂先輩はテロリスト集団を撃破したとはいえ、まだFランクの俺の力を疑っているのだろう。


 ランクという数値は何よりも信頼に足るものであるというこの学校の慣習が、いまここにきて彼女を突き動かしてるに違いない。


「みなみ、あなたが口を出すことではないわ。わたくしはもうこの方を生徒会にお招きすると決めたのです。あなたに拒否する権限はありません」


「ですが! 昨日のあれはまぐれか何かである可能性も否定はできません! 第一Fランクであるこの男が、そもそも結界がある中で異能力を使えたこと自体おかしいのです!」


 まあ、氷堂みなみ先輩の言は正しいだろう。


 俺も昨日ようやく自分の異能力に目覚めたとはいえ、まだ半信半疑なところがある。


 自分の力が、どれほどのものなのかもまだわかってはいない。


「きさら先輩とみなみ先輩? それに兄貴も。こんなところで何を?」


 するとそこに、妹の由美まで加わってきた。


「由美こそなんで俺の教室に?」


 お弁当を持って来てくれることは助かるが、放課後に予定を設けた記憶はない。


「な……なんだっていいでしょ! ただ通りかかっただけよ!」


「まあ、それならいいんだが」


 なにかしらそれ以外の理由もありそうだが、あえて深くは突っ込むまい。


 俺は次に発たれた氷堂先輩の言葉を受け、由美の手前引こうにも引き下がれなくなった。


「あなたがわたしたちSランク集団『生徒会』に入るにふさわしいか、このわたしが直々にテストさせていただきます! 負ければ誰が何と言おうと、生徒会への入会は認めません! いいですね!?」


「兄貴……」


(おにいさまは最強です! 負けるはずありません!)


 ユミルの言うとおりだ。


 氷堂先輩がどんな異能力を持っていようとも、俺が負けるなんてことはあり得ない。


 なぜなら、最強の妹の最強の能力が、俺にはあるからだ。


「いいでしょう。受けて立ちます。その代わり、俺が勝ったら正式に生徒会への入会を認めていただきます」


「わかりました。SランクのわたしがFランクに負けるだなんてこと、あるはずがありませんが、もしもわたしが負けたらそのようにいたしましょう」


「それでは」


 俺と氷堂先輩の意見が一致すると、廊下にいた生徒会長・如月きさら先輩が溜め息を吐いた。


「みなみちゃんは一度こうなったら言っても聞かないからなあ……。仕方ない、東條くんの実力、この目でじっくりと見せてもらいましょうか」


(ふれっふれっ、英雄様! ふれっふれっ、英雄様! わたくし興奮してきましたわ!)


 俺にも見せてもらおうか。


 この学園最強の、Sランクの実力を。

あとがき


今日は8月締め切りのファンタジア大賞用の原稿を書き始めました。


ヤンデレタイムリープものですが、落ちて元々だと思っているので気軽にどんどん書いていきます。もちろん本気で。

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