宗方サンプル
新作です。
史実とサヨナラしますので好き勝手出来ます。
先史文明?の異物発見からますます変わっていく日本。
前振りの六話六日間連続投稿
それ以降は週三話程度更新予定
大正二年、それは見つかった。
正倉院に保管されていた文物の中から見つかった。
それは世界を変えてしまうにふさわしい発見であったが、極秘にされた。
まだ日本は弱かった。
そんなものを発表すれば途端に難癖を付けられ独占許さずと解放を迫られるだろう。
公表するには時期尚早であるという意見が大勢を占め、極秘研究が始まった。
各地の神社・仏閣で建立一千年以上を対象に資料の発掘が行われた。外部から見ればただの学術調査である。
その実、国の将来を左右する調査であった。
調査には三年掛かりヨーロッパで大戦争が行われているのに何事かと事情を知らない、知らせていない人達からひんしゅくを買う。
資料を詳細に分析した結果、一種の添加剤のような物が必要だということが分かった。
所在は地溝帯に分布するようだった。普通の断層には見つからない。
当時、千数百年前の日本にこのような技術が有る訳も無かった。不思議すぎる。伝説の邪馬台国だとしてもこんな技術開発が出来るのなら今頃世界は邪馬台国の物だろう。
やがて宗方という学者が突拍子も無い説を打ち出した。
彼曰く、古代先史文明の遺産では無いか?太平洋には色々不思議な文明の痕跡が有ると。
先史文明の名は「ムー」。
アトランティス・レムリア並の怪しさで有る。だが他に説が無い事も確かだった。
これでこの先史文明の遺物には[宗方サンプル]と言う名が付けられた。
発見されたのは、金属強化法と重力変換機関だった。
金属単体に添加剤を混ぜ込むことによって最大十倍まで強化出来るとなっている。更に合金の配合によっては上積みもある。夢の素材になる事は間違いなかった。
その添加剤の素となる特殊な鉱石と選別方法。添加剤にする手順。
添加剤を添加する金属の精錬。
問題は金属を6Nまで精錬しなければいけなかった事。
とても今の日本では無理だろうという方法だった。
だが金属にも寄るが五割増し程度なら2Nである。何とかなりそうだった。
合金ではまた結果が違ってくるという記載もあり、膨大な組み合わせが予想される。
もう一つは、重力を回転に変換出来る機関。
入力を最大八倍に増加させる機関だった。
理論など誰も理解不能だった。それ程までの従来の物理理論と根本から違っている。
これも今の日本の技術力では難しかった。
モーターのように導線をクルクルやるのであるが、一定の法則に従った巻き方というか取り付け方をしないと動作しないという面倒な奴だった。
また導線に使う金属や構造に使う金属には強化した金属が必要だったのである。
それもかなりの精密加工を必要とされた。
導線の素材だが、金が最良、次いで銀、三番目が銅となっている。アルミニウムが四番目であった。
金・銀は初めから適用外である。銀なら可能性もあったがそれでも高価に過ぎた。アルミニウムも実用化が始まったばかりの金属であり加工が難しい上に高価であった。
銅一本に絞って開発が進められることになる。
世は第一次世界大戦の最中である。
戦地から遠く離れた日本では南方と大陸のドイツ海軍を壊滅させれば安全圏であった。
とんでもないものを見つけてしまった!と、わざとらしく。
宗方サンプルと言っても、善通寺の腕の関節が二ヶ所のアレでは有りません。
アレナック
ダガル
イノソン
投入したい。でも元の元素が不明。
なので、通常素材を強化する方向に。
次回六月二日 05:00 予約済み