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これからがんばるので感想ください

 荷物をすべて積み終えた。この荷物は町の領主に頼まれたもので必ず目的地の王都まで届けなければならない。

「カイン、この仕事は一世一代の大仕事だ。絶対にしくじってはダメだ。」

今回の仕事は領主に直接頼まれた依頼だ。普段俺たちのキャラバンは商人に依頼を受けて荷物を運ぶ仕事をしているが、今回は特別な仕事なのだ。

「でも、そんなに厳しい仕事でもなさそうだぜ。だって領主様が護衛の兵を貸してくれるんだろ?俺らは荷物を運ぶだけなんだから、楽な仕事じゃないのか」

 親父からの拳骨が飛んできた。

「バカ野郎!それだけやばい仕事ってことだろうがよ。普段から仕事を選ぶときは依頼者の裏を読めって言ってるだろうが!今回の仕事はこれまでで一番激しい仕事になると思っておけ。」

「だったらそんな仕事受けなきゃよかったのに」

「バカ野郎!報酬が格別に良いんだよ。こんないい仕事よそに回してたまるか。王都まで荷物を届けるだけで300万Gだぞ。受けねえ奴はいねえよ」

「ええー!そんなに貰えるのかよ」

「しかも今回、護衛は依頼主が用意してくれるし、馬車なんかも自分たちで用意するらしい。俺たちは300万の丸儲けってわけだ」

 普段の仕事だったら俺たちは、自分たちの他に護衛の冒険者を雇っている。それに雇った冒険者の分の食料や馬車を用意しなければならない。ここにケチると信用をなくすから、いつも報酬の半分は護衛のために消えていくのだ。

「だったら何で領主様は俺たちなんかを雇うんだよ。全部自分の兵にやらせればいいじゃないか」

 そんなに兵がいるのだったら、領主には俺たちを雇う理由がないように見える。

「お前はバカだなあ。素人だけで簡単に輸送できるんだったら俺たちの仕事なんて無くなってるさ。俺たちの強みは経験と情報さ。多少のトラブルがあっても俺たちなら十分対応できる。いざというときには囮にでもするつもりだろうけどな。だから領主様も俺たちを雇ってんのさ」

「ふーん。そんなもんか」


 荷物は積み終えたが、俺たちが積んだ荷物は二週間分の食料や水、消耗品だけだ。領主はなるべく自分の荷物を人に預けたくないように見える。

 今回、俺たちの仕事は道案内でしかないのだ。しかし、それを他人に悟られてはならない。これが領主からの特別な依頼だと周りに知られたら余計な敵を作ることになるかもしれないからだ。

 「今回は大仕事だから、前金を結構もらってる。お前にも1万Gの取り分がある。これで装備でも整えておけ。」

危険な仕事なのは確かだ。俺も自分の身を守れる装備を用意したほうがいいかもしれない。


 俺は雑貨屋を訪れた。雑貨屋といってもただの雑貨屋ではなく、冒険者用の必需品なんかを扱う専門店だ。

 俺はここにショートソードと魔物除けの香、そしてポーションを買いに来たのだ。

 普段の俺の装備は短剣と皮の鎧だけだ。俺は普段の仕事では馬を操る役割をしている。荷運び屋には基本的には戦うことは求められていないから、動きやすさが重要視されるのだ。

 だが今回は危険な仕事というので、俺もある程度の装備は整えておきたかった。幸い、報酬の前金をもらっているため金はある。

 「俺でも扱いやすい、軽い剣は無いか?あと、魔物除けの香とポーションが3つずつ欲しい」

店主に話しかけた。

 「なんだ兄ちゃん。駆け出しの冒険者か?ちょっとまってな」

 そう言って店主は店のショートソードを持ってきた。

「兄ちゃんの体力で扱えそうなのはこの刃渡り30cmのこのショートソードかな、ポーションと香で合わせて金貨一枚だな。」

「1万Gだと!?高すぎる。俺の三か月分の稼ぎ程じゃないか!俺はこれでもキャラバンで働いてるんだ!この値段が高すぎることぐらいはわかるぞ。本来なら半分の値で買えるはずだ!」

店主は気まずそうな顔をしていった。

「それが、ちょっと前に領主様の部下がきて、ポーションや武器を大量に買っていってな。今は品薄なんだ。今はどこの店に行っても価値が高騰してるんだ。」

 そういうことなら背に腹は代えられない。俺は領主が武器やポーションを大量に購入する理由を知っているから、この店主が本当のことを言っていることが分かった。

「わかったよ、いい商売してるね」

「すまねえな。サービスにちっちゃいが魔石をつけておくよ。ランプの燃料くらいにはなるさ」

「それはどうも」


 しかし、大損だな。普段なら絶対にこの値段で買い物はしない。それにしても嫌な予感がするな。領主がポーションや武器を品薄になるまで買い取るとは、今回の仕事は相当危険に違いない。そう思えば1万Gの買い物も安く感じる。


 旅の安全を祈願しに協会に立ち寄ってキャラバンに戻る帰り道、薄汚い小物商が目についた。正確にはその商品だが。

 彼らは旅の途中で魔物に襲われ、野ざらしにされた旅人やキャラバンの遺品を集めて売りさばいている。どれも正規の商品としては売れないので、安い値段で買うことができるのだ。

 普段なら立ち寄ることはないが、魔法道具が安い値段で売ってあるかもしれないと、商品を確認することにした。

 ショートソードにロングソード、汚れた鎧、魔石で作動するランプ、アクセサリーなどが置いてある。アクセサリーは腕輪や指輪、ネックレスなどが、複数あった。

 ランプは購入したいと思ったが、アクセサリーにも興味がわいた。

「そのアクセサリーは魔法道具か何かなのか?」

「さあね、俺は遺品なんかを集めて売っているだけだから本当の価値はわからねえよ。だから、この中にも魔法道具が眠っているかもしれないな。」

「鑑定はしてないのか?」

「そんな技術があれば、鑑定士になってるさ」

「なら呪われた品もあるかもしれないということか」

「さあな、そうかもしれんな」

そう店主はニタリと笑った。

魔法道具には一目でそうだとわかるものとそうでないものがある。アクセサリー型の魔法道具は見た目では判断できないことが多い。また使用した際の効果も見ただけではわからないため、それが使用者に害を及ぼすような魔法道具である可能性もある。使用者に害を及ぼすような魔法道具を呪われているといい、遺留品なんかには多く紛れていたりする。たちの悪いことに呪われた魔法道具は装着するだけで害を及ぼすような効果が多く、みだりに装着すればそれだけで命にかかわることになるのだ。

商品の中に気になるリングを見つけた。

「おっ、教会の印が入ったリングもあるじゃないか。」

「ああ、それなら安くしとくよ。教会で普通に売られているリングだ。宝石もついてないしな。」

このリングは俺も教会で売られているのを見たことがある。教会の祝福を受けているから持ち主に幸運をもたらすなんて言って売られてるが、それも眉唾ものだ。

だが、俺はそれでもその指輪が欲しくなった。

「その指輪と魔石ランプ、合わせていくらだ?」

「そうだな、教会でこの指輪は5000Gで売っているからな。まけて1000Gだな魔石ランプは800Gだから合わせて1800Gだな」

「高いな。1000Gでどうだ?」

「おいおい、いくら何でもその値段はむりだぜ」

「だがあんたも、ここで教会の指輪を売ってるなんて、知られたらまずいだろ?早めに処分したいはずだ。」

「ああわかったよ、1000Gでいい。教会の話はなしだ。」

「どうもありがとう」

俺は金を払うとさっそく指輪をつけて、キャラバンへと戻った。


キャラバンへ戻り出発を控えた前夜、俺はあることに気が付いた。今日買った指輪が外れないのだ。付けたときに違和感はなかったし、魔力をこめても何も起きなかったのでただの指輪だと思ったが、呪われていたのだ。

「うーん、外れないだけで特に、害はないから放っておいても大丈夫か。明日は早いしもう寝よう。」

そして出発の前夜、カインは眠りについた。


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