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大統領選選挙対策会議

日本の普通のリーマン、加納太郎!


家族と世界を救うため、これからナチスの主要メンバーと大統領選の選挙対策。


これからどうなる?どうする?

加納太郎!

太郎は、トイレから出ると会議室に向かった。

会議室の扉の前に立つと、車の中でやった擦り合わせ作業とイオフィエルのメールを思い出しながら、

深呼吸した後に急に後ろから声を掛けられた。


「党首どうなさいました」。


振り向くと恰幅の良い男が立っている。

この男の名前は…


ヘルマン・ゲーリング


第1次世界大戦のドイツ空軍のエースで、空軍関係者でなくても“栄光のパイロット”と言って、この男を思い浮かべない軍人はいないと言ってはばからない人物だ。

さらに、資産家などの富裕層に人気があり、前回の国家議員選挙で、富裕層から集めた資金の殆どが、

この男が集めたと言っても良い。

そんな彼だがミュンヘン一揆で重傷を負い、その鎮痛剤として使ったモルヒネで依存症になってしまっていた。


太郎は「いや何でもない」。

…と答えて2人で会議室に入った。


会議室の中には、2人の男達がいた。

太郎は、部屋の奥の上座にあたる席の横に立って、左奥の男に声をかける。


「ゲッペルス、褐色館に集まったのは、この3人だけか?」

「いいえ。後はヘス副党首だけですが、副党首はよろしいのでは…」


太郎が声をかけた人物は…


ヨーゼフ・ゲッペルス


元はドレスナ銀行という銀行の銀行員だったが、入社9か月でリストラにあって劇作家となるが、

ユダヤ系スポンサーの受けが悪く、本人も自分の作品をユダヤ系スポンサーが潰していると感じて、

ナチス左派のシュトラッサー派に入党し、1925年にシュトラッサー派からヒトラーが引き抜いた。


このゲッペルスの発言に噛み付いた人物がいた。


「ゲッペルス!貴様、副党首のヘスはいなくても良いとはどういうことだ!

貴様は、この中でも末席だ。 それを忘れるな!」


ゲッペルスを怒鳴りつけたこの男は、顔に大きな傷があり、まるで893のような風貌だ。

そんな彼に


ゆっくりしていってね!


と声を掛ける人は、いないだろう。

この男の名前は、


エルンスト レーム


ミュンヘン一揆の後に時に国外に脱出してボリビアで軍事顧問をしていたが、1930年に突撃隊の統制が

取れない事態が発生して、ヒトラーが呼び戻した古株の党友だ。


ゲッペルスは頭を下げ

「申し訳ありませんでした。

しかし、今副党首はエヴァさん達と褐色館の見学に行かれていますので…」と答えると…


レームは、

「何⁈ アドルフ、お前はまだ、あの似非モデルの姉ちゃんと付き合っているのか?」

驚いた顔をして、太郎の方を見る。


太郎も、

「大統領になれば、大統領夫人も必要なる。今、ヘスに頼んで褐色館の見学させている。

この後、ヘス夫人のイルゼ夫人に教育などをお願いするつもりだ」。


そう答えると、レームが…

「ハッハハ!アドルフ、貴様もいろいろあったがこれで“年貢の納め時”だな!」と太郎をからかい

太郎は

「いろいろあって悪かったな!」

と返した。


「それでは、副党首が来るまで待ちましょう」。


ゲーリングがそう提案し、3人共に同意して席につく。


すると…


コンコンとノックがあり、太郎が「入りたまえ」と声を掛けるとヘスが入ってきた。


ヘスは太郎に

「エヴァさんの案内は終わりました。丁度、イルゼも褐色館に着きましたので、

今は執務室でお茶を飲んでらっしゃいます」。と耳打ちして報告した。


太郎はヘスに

「イルゼ夫人が一緒なら問題ないだろう。女性同士楽しくお茶を飲んでいてくれれば良い。

それより、すぐに会議を始めるから席についてくれ」。と話す。

ヘスは、頷くと席についた。


太郎は、一息つくと静かに話しを始めた。

「既に話はヴィルヘルム・フリッツからの連絡で皆知っていると思うが、私のドイツ国籍取得が完了したので、大統領選挙に出馬する。

既に準備は進んでいるが、現時点の大統領選の選挙対策を考えていきたいと思う。

ゲッペルス、現状を説明してくれ」。


太郎は、ゲッペルスに説明を求める。

ゲッペルスは、テーブルの上の書類を取り説明を始めた。


「はい。それでは皆様に説明されて頂きます。

今回の大統領選挙には5人の立候補者がおりますので、順に申し上げます。


まず、1人目は、

グスタフ・ユンターです。

❝インフレーション被害者同盟❞とかいうミニ政党からの立候補で、元々有機農業運動家で作者という

経歴の持ち主です。


2人目は、

テオドール・デュスターベルクです。

退役軍人政党の鉄兜団の代表で、元国家人民党の書記です。

今回は、国家人民党の支持を受けの出馬です。


3人目は、

エルンスト・テールマンです。

ドイツ共産党の党首です。


4人目は、

パウル・フォン・ヒンデンブルクです。

前回は、右派の国家人民党などの支持を受けての選挙でしたが、

今回は社民党、中央党、国家党などのヴァイマル連合が支持しております。


そして、5人目が我が党首となります」。


ここでレームが口を開いた。

「あの忌々しい老人がまた出てくるのか?だが、もう84だったはずだ」。


続けて、ゲーリングが口を開く。

「そうですな。どう考えても7年の任期が勤まるとは、到底思えないが…」


ゲッペルスも続く

「私もそう思います。

先日も執務中に意識不明になったとか…

しかし、ヴァイマル連合が我が党首に対抗できる候補を擁立することが出来ず、

仕方なくヒンデンブルク支持に回って、発言力を持とうということなのだと思います」。


「全くもって忌々しい奴等だ!」

とレームは憤るが…

太郎は、どこぞの特務機関の司令のように両手で口元を隠して答える。


「それだけ、右派、中道、左派のいずれにも、私を大統領にしたくない連中が多いということだろう」。


太郎が見せるヒトラーの姿は、他の4人は見た事がない姿だ。

両手で口元が見えないので、機嫌が良いのか、それとも怒りを抑えているのか分からず、息を呑んでいる。


そんな空気の中、太郎は話しを続けた。

「今から、愚痴を言っても仕方ない。問題は“どう選挙戦を戦い勝つか⁉︎”だ。

それについてヘスはどう考えている」。


ヘスは難しい顔をしながら、太郎の質問に答えた。

「はい。準備期間が少ないので、とにかく分かりやすいスローガンとマニュフェストを決めて、

最低でも第1回投票に備えませんと…」


ここで太郎がヘスの言葉を遮る。

「それはいい。皆も分かっている事だ。私が言いたいのは、どうしたら私が大統領になるか?

ということだ」。


ヘスは難しい顔を更に歪めて、太郎に答えた。

「私の考えでは、ヒンデンブルクがいる以上、第1回投票での過半数獲得は難しいでしょう。

ですから、早く選挙戦に入り、第2回投票での大統領選に勝利するしかないと思います」。


「レームは、どうしたら良いと思う?」

太郎はレームに聞いた。


「そんなもの、貴様が落選したら武装蜂起しかないだろう!」


(それじゃ答えになってないだろうが!)

…とツッコミを入れたいところだが、脳筋のレームに言ってもダメそうなのでやめておく。


今度は、ゲーリングに質問する。


「ゲーリングは、どう思う?」


やはり、ゲーリングも難しい顔をして答えた。

「やはり、ヒンデンブルクが出てきたのは、選挙戦を闘う上で不利です。

ここは、副党首のプランを元に第1回投票でヒンデンブルクを過半数割れにし、

第2回投票でヒンデンブルクの票を奪うしか手はないかと…」


太郎は、ゲーリングの意見にも口元を両手で隠したままで、ゲッペルスに質問した。


「ゲッペルスはどう思う?」


ゲッペルスは、ヘスやゲーリングの様に難しい顔をしておらず、レームの様に“脳筋一直線”といった様子もなく、太郎の質問に答えた。


「私は、皆さんとは違い、この大統領選挙は大統領選挙ではないと考えております」。


「ほう」。

3人とは違う目線でのゲッペルスの視点に、太郎は思わず声が漏れた。


ゲッペルスは続ける。

「ヒンデンブルクが担ぎ出された以上、この短い期間では勝つのは難しいでしょう。

しかし、この選挙で最低でも第1回投票、第2日投票共に2位での落選ならば、今度は党の力で首相を狙い、ヒンデンブルクが大統領の激務に倒れた時こそ、党首が大統領になるのです」。


「なるほどな…」。

太郎は頷きながらも、姿勢を崩さない。

何故なら、太郎の知っているヒトラーでは勝って権力を握る事しか考えてないはず、目の前の大統領の椅子に座る事が大前提のヒトラーが、ゲッペルスの現実的な意見を素直に聞くとは思えない。

そこで太郎は(あくまでも大統領を狙う姿勢を見せなくては怪しまれる)と考えて、4人の案を纏めた物を出す事にした。


「4人の考えは分かった。

私は、この大統領はヘスとゲーリングのプランをベースに闘おうと思う。

第1回投票はヒンデンブルクの過半数割れが目標だ。

私が思うに、テオドール・デュスターベルク、エルンスト・テールマンと私の票を合わせれば、目標達成出来ると思う。

問題は第2回投票だ。

第1回投票でヒンデンブルクは過半数割れしても、まだ奴との得票差が埋まらない。

そこで、ヒンデンブルクの支持に回っているヴァイマル連合に私の支持に回るように説得して、僅差での勝利を目指すのだ」。


ここで、ゲーリングが質問した。

「ヴァイマル連合の切り崩し工作という事ですが、どのようにすれば良いでしょう」。


「狙い目は中央党だな。奴等はカトリックが政治の中心になっていれば良い連中だ。そこに揺さぶりを掛ければ、ヴァイマル連合は崩れるはずだ。頼んだぞゲーリング!」


太郎は、上手くゲーリングに地雷を踏ませた。

地雷を踏まされたゲーリングは、一層表情が険しくなった。


「次にスローガンとマニフェストだが…」


会議が進めば進むほど、太郎とレーム意外の3人の顔は険しくなり、会議が終わる頃には、シワが溝のようになっていた。


おはこんばんちは!


はっつあんです。


第9話大変遅くなりまして、申し訳ありませんでした。


本当は、元旦投稿といきたかったのですが、不注意でデータを全部ブッ飛ばしてしまい書き直しと相成りました。


さて、物語の方では太郎の無茶振りにレーム意外はゲッソリといった様子。

これで、太郎は大統領になれるのでしょうか⁈

これでどうなる?どうする?加納太郎!


それでは、またの機会をご贔屓に皆さんそれではさようなら!

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