党本部
日本の普通のリーマンの加納太郎。
世界と家族を守るため、1932年のドイツにアドルフ・ヒトラーとして現れて、いきなり大統領選出馬と
エヴァ・ブラウンとの結婚を決めたのであります。
さあ、これからどうなる?どうする?
加納太郎!
エヴァが抱きついたままなので、身動きが取れないので太郎は、近くの使用人を呼ぶ。
「すまんが、至急エヴァの荷物を準備をして、車に乗れるようにしてくれ」。
「かしこまりました」。
その使用人を見送ると、二階の角の廊下から何やら怪しい黒いオーラが噴き出している。
多分、異母妹だろう。
もし、エヴァを別荘に置いていくと❝橋田ドラマ❞を通り越して❝金田一シリーズ❞になりそうだ…。
しばらくすると、ヒトラーの荷物を使用人達が運び出し、車のトランクに載せる。
太郎は、エヴァの荷物も急がせた。
二階の黒いオーラが少しずつ強くなっている気がするからだ。
(お願いだから、そんな黒いオーラを出さないで…。
どうせ3年後には、良い人が出来るんだから…)
太郎は、そんな風に考えながら、車に乗ることにした。
エヴァの荷物を載せ終えると、車は党本部に向けて走りだした。
車内でエヴァは太郎に抱きついてくるかと、太郎は密かに期待をしていたが、
いざ車内のエヴァは緊張で顔を強張らせている。
太郎はエヴァに尋ねた。
「どうしたんだ?エヴァ。緊張しているのかい?」
「ええ、アドルフ。さっきまではとてもうれしくて気にならなかったんだけど、
車に乗って『いざ党本部』ってなったら、私どうすれば良いのか…?」
「心配しなくて大丈夫だよ。党本部では、私の執務室にいるだけで良いし、
エヴァの先生もすぐ手配するからね」。
「なんだか不安だわ…」。
不安がるエヴァに、太郎は質問をしてみた。
「では、エヴァ。1919年に戦争が終わってからのドイツの事を私に話してごらん」。
「そんな!私はそういうの苦手なのよ」。
「難しく考えないで良いよ。ドイツが戦争に負けてから、エヴァの周りの人達にもいろいろあっただろう?それを教えて欲しいんだ。ダメかな?」
「いいえ。でも、そのくらいのことで良いの?」
「そのくらい?ってところが、みんな思っているところだったりするんだよ」。
「分かったわ。少しでもアドルフの役に立つなら」。
太郎は、エヴァの話しの内容とヒトラーの記憶、そして自分の知識の擦り合わせを党本部に着くまで、じっくり行った。
何せ、今から自分が行くのは、あのナチスの本拠地なのだから…
党本部の前に車が止まると、一人の制服姿の男が待っていた。
四角い顔に激太眉毛のその男は、ヒトラーの記憶を頼りにしなくても分かった。
ルドルフヘスだ。
彼はナチス創立時に党員になったメンバーの一人で、ヒトラーの「我が闘争」を口述筆記をした人物だ。
一応、ミュンヘン大学で経済学、歴史、政治学、地政学を学んでいる。
太郎はヘスに尋ねた。
「ヘス、今党本部に誰か来ているか?」
「はい。先程、ゲッペルスとゲーリングが来たばかりです」。
「そうか。それと君に頼みがあるんだが、頼まれてくれないか?」
「それは構いませんが、一体頼みとは…?」
「実は私の手伝いをする為にエヴァを連れて来たんだが、エヴァの家庭教師的な役割を君の奥さんの
イルゼ夫人にお願いしたいと思ったんだが良いだろうか?」
「分かりました。イルゼをこちらに呼んでおきます」。
「それと、私の執務室をエヴァと二人で使えるようにして欲しい」。
「はい。そちらも用意します」。
「それとエヴァに党本部を案内した後、執務室に連れて行ってくれ」。
「はい。分かりました」。
「では、よろしく頼む」。
ここはエヴァをヘスに任せて、太郎は党本部の中のトイレに向かう。
そして、トイレに入った太郎は、自分のスマホを取り出した。
イオフィエルにメールを送る。
(ナチスドイツの党本部に潜入成功です。これから大統領選の選挙対策会議があります。何か指示がありますか?)
すぐに、イオフィエルからの返信があった。
(ナチス本部潜入お疲れ様!こちらからの指示は3つ。
ナチス党本部を“褐色の家”又は“褐色館”と呼ぶこと。
ヒンデンブルク大統領を批判しない大統領選の選挙対策を立て、決戦投票での勝利を目指す事。
現在、ナチス内に闇の者達は確認出来てないが、十分に気をつけること。 以上)
イオフィエルからの指示メールを読み終えた後、太郎は気合いを入れなおした。
「ここからが本当の闘いだ!日本の家族の為に、この時代で精一杯やって家族の所に帰ってやる!」
そう心に言い聞かせるように、太郎は会議室に向かった。
おはこんばんちは!
はっつあんです。
今回は資料集めで時間かかりました。
申し訳ありません。
その証拠に、この話で党本部と言う部分が多く出て来ました。
実は1932年の時点で、ナチス党員には褐色館又は褐色の家で名前が定着していたみたいなんですが、
エヴァはその事を知らないと仮定して書きました。
(知ってた資料があったら、どうしよう…)
そんなこんなで、これからどうなる?どうする?加納太郎!
では、またの機会をご贔屓にみなさんそれではさようなら!