未来のファーストレディ
現代の普通のおっさんリーマンの加納太郎!
いよいよ、アドルフヒトラーになってドイツ国籍を取得。
大統領選に乗り出す準備をするのでした。
さあ、これからどうする?どうなる?
加納太郎!
太郎は静かにヴィルヘルムに告げた。
「ありがとうヴィルヘルム君。
だか、これからが本当の闘いだ。
関係各所に通達を出して選挙戦に入ってくれたまえ」。
「承知致しました。
ゲッペルス君に連絡して、直ぐにでも選挙戦を開始致します。それでは、失礼致します」。
そう言うとヴィルヘルムは、書類を鞄にしまい客間を後にした。
「おい!誰かいないか?」
太郎は、客間から人を呼ぶ。
「はい。旦那様!」
使用人の女性が部屋に入る。
「これから、直ぐに党本部に行く。支度と車の用意を!」
「承知しました。旦那様!」
そう使用人の女性は答えると、支度の為に行ってしまった。
太郎は、客間を出るとエヴァを探した。
だが、ヒトラーの自室にも、エヴァの自室にもいなかった。
そこへ、40代後半の女性が声を掛けて来た。
「アドルフどうしたの?そんなに慌てて」。
ヒトラーの記憶によると、この女性は異母姉のアンゲラ・ヒトラー。
以前は夫とヒトラーの姪のゲリと3人で、この別荘の管理人をしていたが、ゲリの自殺後に離婚し、
現在は1人で管理人をしている。
「アンゲラ姉さん。私は今日、晴れてドイツ国籍を取得したよ!」
アンゲラは、口元に両手を当てて、喜びの表情を見せる。
「まあ、なんて素晴らしいの!
アドルフ、あなたの長年の夢が叶ったのね!私もとても嬉しいわ!
今日の夜はお祝いをしなくてはいけないわね」。
「ありがとうアンゲラ姉さん。
でも、お祝いはお預けだ。今から党本部に行って大統領選への準備をするから、今日から忙しくなる」。
「そう…それは残念ね。でも、それなら大統領になって今日の分もお祝いしましょう」。
「そうなるように努力するよ。アンゲラ姉さん。
じゃあ、準備が出来たら出掛けるよ」。
「行ってらっしゃい。アドルフ!」
そう言って、アンゲラとは別れた。
太郎は更にエヴァを探す。
エヴァを別荘に置いて行って、この別荘の中がどこぞの❝橋田ドラマ❞のようになってはたまらない。
それに、ヒトラーにタンカを切った手前、エヴァとの関係も深めていきたい。
そのため、党本部にエヴァを連れて行くつもりだ。
別荘中探して、見つからなかったエヴァは玄関で立っていた。
太郎が近づくと、エヴァの表情が暗い。
太郎は、そんなエヴァに問いかけた。
「エヴァ、何故そんなに暗い顔をしているんだ?これから出掛けるというのに」。
「アドルフ…ドイツ国籍が取れたのね⁉︎
おめでとう」。
「ありがとう。エヴァ」。
「アドルフ…これから党本部に行くんでしょう?」
「ああ、国籍が取れたから、大統領選への準備をする」。
「じゃあ、ここにはしばらく帰って来れないのね…」
「そうだな。大統領選が終わってからは、しばらく帰れないだろうなぁ」。
エヴァの表情が更に暗くなった。
太郎は、エヴァの考えが分かった。
しばらくの間、アンゲラと2人でこの別荘に置いて行かれると思っているのだ。
「エヴァも出掛けるぞ!ここには帰れないのだから、それなりに荷物も必要だからな!」
太郎は(これで、エヴァも一緒だと分かってくれるだろう)と笑顔でエヴァを見つめた。
しかし、エヴァの反応は、そんな太郎の考えの遥か斜め上を行っていた。
「そんな…アドルフ。私の何がいけないの?お願いだから家に帰すなんて言わないで!」
そう言って、エヴァは顔を両手で覆って泣き出してしまった。
太郎は慌てた。
エヴァの反応が予想外過ぎて、どうしたら良いのか思い浮かばない。
言葉では、エヴァは落ち着かないだろうと思った太郎は❝加納太郎❞が若かった頃の必殺技を使う。
太郎は、しゃがみ込んだエヴァを強く抱きしめた!
いきなり、強く抱きしめられたエヴァは、身をよじる。
そこで、太郎はトドメのディープキスをエヴァにしたのだ。
流石にエヴァの動きが止まった。
「酷いわ、アドルフ。こんな強引な事をして…」
エヴァはまだ、勘違いをしている。
太郎は、説明を続けた。
「エヴァ、一体誰がお前を家に帰すなんて言ったんだ?」
「でも…だって…」。
「私は、一緒に出掛ける言ったんだよ。お前に党本部に来て欲しいからね」。
エヴァは、落ち着きを取り戻し、涙をハンカチで拭きながら聞き返した。
「アドルフ、私も一緒に党本部に行くの?」
「そうだよ。エヴァ!」
「私、政治の話はよく分からないし、党本部にも行った事もないのに、私が行って良いの?」
「政治の話が分からないのは少し困るが、党本部で勉強すれば良いし、それなりの人を呼ぶから
心配しなくていい。
でも、エヴァが党本部に私と行くのは、エヴァに手伝って欲しい事がある。
それも、エヴァにしか出来ない事だ」。
エヴァは、不思議そうな顔をして、太郎に聞き返した。
「党本部で私にしか出来ない事って何かしら?全く見当がつかないわ?」
太郎は、微笑みを浮かべて答えた。
「それは、ファーストレディになるための準備だよ。エヴァ!」
やはり、エヴァには実感がないようだ。何を言われているのか、分からずポカンとした表情をしている。
本当は、太郎だって流石に恥ずかしい。
ヒトラーに対する当てつけの部分がないと言ったら嘘になる。
だが、人生で一度だけ日本の妻にしかしていない事を過去のドイツで、他人としてするのだ。
太郎は、少し自分の気持ちを落ち着けて決めた!
(ここで引いては日本男児の名折れ!これで、ヒトラーに男ってモノ見せてやる!)
太郎はエヴァを抱きしめて、エヴァの耳元で囁くように言った。
「エヴァ!今度の大統領選で大統領になったら、結婚しよう!」
「アドルフ!」
エヴァを抱きしめている肩が濡れている。
彼女の幸せの涙だ。
そして、この涙がエヴァブラウンという女性の歴史を変えた涙だった。
おはこんばんちは!
はっつあんです。
太郎ちゃんのプロポーズは、いかがでしたか?
いよいよ、次回はナチスの中心メンバーの登場!
一体、太郎は大統領選をどう闘うつもりなんでしょうか?
みなさん、ご期待下さい。
それでは、またの機会をご贔屓にみなさんそれではさようなら!