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選挙戦出陣式②

日本の普通のリーマン、加納太郎


大統領選のため泊まれる食堂から褐色館での出陣式へ


はてさて、一体これから どうなる? どうする? 加納太郎!

太郎は、広間の扉のゲッペルスに止められる。


「党首、まずはゲーリング氏に席について頂いて、まず私が出陣式開催の宣誓を行います。

それまでは、このまま扉の前でお待ちください」。


正直言って、太郎は堅苦しいのは苦手だ!

だが、ヒトラーの記憶を引っ張てくると、出陣式自体はドイツ市民権取得と同時に行える様、

ゲッペルスに依頼している。


(まあ、〝現代日本の選挙”でも出陣式はやっているし、「しょうがない」としか言いようがないな。)


広間の扉の前で、ゲッペルスの出陣式開催の宣誓を太郎は待った。

広間内のざわめきが消えるとゲッペルスが出陣式開催の宣誓を始めたようだ。


その間に太郎は出陣式のスピーチを考える。

褐色館に来る前のエヴァとの話しを、〝アドルフ・ヒトラー”の記憶を、〝加納太郎”の知る歴史を思い出しながら。


広間の扉が開かれた。

ゲッペルスが太郎を中へ誘う。


太郎が広間内に入ると、ヘスら側近幹部達が最前列に並び、それに続くベルリン大管区をはじめとする各大管区や各州の幹部達が、扇型になって、ホールのようになっている広間を埋めている。

そして、エヴァとイルゼ夫人も二階の狭いテラスから出陣式を見ていた。


そんな中、太郎は世界恐慌について話すために、頭の中で(すべてに注意が必要だ。

政治的には、どこかひとつの国の問題ではないから、より一層の注意が必要だ。

問題は世界規模で起こっており、“ある者たち”はすでに考えているはずだ。

最も豊かで強い敵たちが、それを武器としてさらに力を得ようとしている。

この災禍を武器のように考えて、力を拡大しようとしているはずだ。)と文章を考えていた。


式自体は、そのまま進んでいく。

最初にヴィルヘルム・フリッツから、ドイツ国籍取得証と大統領選挙立候補証明書の授与があった。


次にゲッペルスから、大統領選挙の街頭ポスターを3枚程見せられる。


1枚目のポスターは、

「ヒンデンブルグに敬意を、ヒトラーに投票を!」と書かれたポスター。

先日の会議のスローガンが、まんま使われている。


(確かにそう言ったけど、何の捻りも無しで出したな…)


2枚目のポスターは、まるで街頭ビラの様に文章が書かれている。

内容はこうだ。


「ドイツの妻達よ!

夫は工事の前で何か月も立ち尽くし、子供達はお腹を空かしている。

だが、お金は無い。パンすら無い。運が変わって良くなる兆しも無い。

ドイツの妻達よ!

この状況を変えたければ、大統領選挙ではこの名前を書けば良い。

"アドルフ・ヒトラー”と!」


(このポスターは主婦層へのアピールか…

大体事実だけど、アピール長くないか?)


一枚目、二枚目のポスターを見ながら、太郎はそんな事を考えていたのだか…


三枚目のポスターを見て衝撃を受けた。

このポスターには、スローガンやアピールの言葉が無い。

イラストのインパクトで勝負したポスターだ。


そのイラストは、右上にドイツ式敬礼をしたヒトラー。

左上には赤地に白丸の中に書かれたハーケンクロイツ。

下半分にドイツの民衆と〝アドルフ・ヒトラー”の名前。


太郎には美術センスは無い。

義務教育の段階で評価は普通で、高校以降は美術を選択しなかった。

にもかかわらず、このポスターからは〝ハーケンクロイツ”に〝ドイツ式敬礼をしたヒトラー”が、"ドイツの民衆”を力強く導く様子を表現している。

その写真とは違うイラストから伝わる迫力に息を飲み、言葉を失って立ち尽くしているだけになってしまった。


「素晴らしいわ!力強くて、勇ましくて」。


一瞬、褐色館の広間に広がった静寂が広がった。

しかし、エヴァの声で太郎は正気を取り戻すと、彼女に答えた。


「私もそう思う!」


すると、広間に拍手が広がった後、誰からともなく始まった

「ジーク・ハイル!ハイル・ヒトラー!」の声が響き渡った。





おはこんばんちわ!

やっとこさ新しい話に入りました。

お待ち頂いている読者の皆様サーセン!


しかし、次回からは当時のドイツの選挙戦がどんな様子だったのか?

それを中心にやっていきたいと思います。


では、またの機会をご贔屓に、それでは皆さんさようなら。

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