嫌がらせの内容
日本の普通のリーマン、加納太郎!
家族と世界を守るため、ヒトラーになってルドルフ ヘスの用意した店で、転生して最初の食事が出てきたけれど…
これから、どうなる?どうする?
加納太郎!
太郎達のテーブルには、ワイングラスに入った水が人数分用意されていた。
本来なら、ワイングラスの中身はテーブルワインが入っていただろう。
しかし、ヒトラーはワインを晩年に少々飲む程度で、この時期には飲んでいない。
(仕方がない…)と、太郎もそこは諦めていた。
しかし、厨房から料理が運ばれてくると、ようやくヒトラーが「ヘスのお気に入りのドイツ料理の店の料理を堪能すればいい」。と言って簡単に引き下がった意味が分かった。
(しまった!)と思っても“後悔先に立たず”だ。
出て来た料理…それはドイツ語圏ではポピュラー過ぎるポピュラーな料理。
ザワークラウトだ!
このザワークラウトという料理、日本的に簡単に言うと“キャベツの漬け物”だ。
ただ、日本の漬け物と違うのは、キャベツを乳酸発酵させてサラダのように食べたり、他の野菜と一緒に炒めて“野菜炒め”のようにして食べたりする。
また、アイスバインの付け合わせにしたりする脇役料理なのだが…
しかし、問題は“量”だ。
女将さんが料理を持ってくるのに、新幹線の車内販売で使うようなカートの様な物に、
4つのサラダボールに入れられたザワークラウトの山が聳え立ち、最後まで太郎とエヴァに
隠す様に持って来られた“それ”は、太郎とエヴァの2人を追い込んだのだ!
配膳された時点で、エヴァの目は点になっている。
太郎の方も…
“あなた人間やめますか?
それともニンニク入れますか?”
…と、子供の頃に放送されていた薬物撲滅CMと某爆盛りラーメン店のキャッチコピーが頭の中で
混ざってしまうほど、驚いていた。
そんな二人にイルゼ夫人が、まるで追い打ちをかけるように、太郎とエヴァに話し掛けてきた。
「党首。党首が菜食を始められてから、我が家でも、菜食を始めました。
最初は、物足りない感じがしましたが、最近では夫も私も体調が良く、食欲がないという事も
ありません。
とても、ありがたい事でございます」。
まるで、透き通った水晶や価値の高いダイヤモンドのような美しい微笑みを浮かべて、
実は真綿で首を絞められているような感覚に襲われながら、太郎もなんとか体制を立て直そうとする。
「いや、大したことはないですよイルゼ夫人。私も菜食を始めてから、もうしばらく経ちますが、
好物の“レバー”はどうしても食べたくなってしまいますよ」。
「大丈夫ですわ!
私達もたまには“肉食”を致します。
ですが、今夜は我が家の成果も見て頂き、お言葉を頂きたいのです」。
流石に(成果を見て欲しい!)と副党首夫人から言われては逃げ道などない。
(何の成果だよ!)とツッコミたいのはヤマヤマだが、水晶やダイヤモンドのような微笑みを
前にしては、いくら部下の副党首の夫人にする訳にもいかず、これで太郎は詰んでしまった。
エヴァも流石になんとかしようとする。
「イルゼ夫人、流石にこの量では私もアドルフも次の料理を楽しめませんわ」。
しかし、イルゼ夫人はエヴァも逃さない。
「問題ありませんわエヴァさん。
このザワークラウトが、前菜であり、主菜なのですから!」
「…」
これで、エヴァも詰んだ。
太郎は、一縷の望みをエヴァ託したものの、イルゼ夫人の方が何枚も上手だった。
(分かっていたさ!
ええ。分かっていましたよ…)
こうして、イルゼ夫人の満面の笑みを見ながら、大量のザワークラウトを4人でひたすらに、ただひたすらに戦うように片付けていくフードファイト!
これが、ヒトラーの嫌がらせの内容だった!
みなさん!
おはこんばんちは!
はっつあんです!
GW直後から入院しておりました。
鎮静剤等を結構使っていたので、考えるたびに内容が変わるグチャグチャな思考のまま、執筆を続けております。
早く体調を戻して、執筆ペースを上げていきたいです。
それでは…
またの機会をご贔屓に、それではみなさんさようなら。