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党首の計算

日本の普通のリーマン、加納太郎!

家族と世界を守るため、ドイツ大統領選への大博打‼︎


これからどうなる?どうする?

加納太郎!

大統領選対策会議は終了し、ゲーリングとゲッペルスは重い足取りで、レームは2人と対処的に軽い足取りで党本部“褐色館”を後にした。


無理もないだろう。

ゲーリングは、富裕層を中心に政治献金パーティを開催しまくって大口献金を集める上に、ヴァイマル連合の切り崩しで中央党を取り込み工作。


ゲッペルスは、選挙ポスターやプラカードの手配、労働者や農民の階級からの献金集め、シュトラッサー派との調整等。


おまけに選挙スローガンは…


(ヒンデンブルクに敬意を。ヒトラーに投票を!)


という物で、下手をしたらまともに選挙が出来るか…と思われても仕方ない。


太郎からは「中央党取り込みのためには、表立ってヒンデンブルクを批判出来ない」。と言われて一応納得はしたのだが、やはり表情には出てしまっている。

それに、太郎はレームに爆弾を持たせるような事を許可しているので、尚更のことだった。


一方で、レームは条件付きとはいえ突撃隊にとっては満足出来る指示が太郎から出た。


今回の選挙戦で、表向き突撃隊は選挙活動の警備が仕事だが、裏では「第1回投票でヒトラーが3位以下の場合には武装蜂起の準備をする事」が指示されたのだ。

武装蜂起派が殆どの突撃隊にとっては、自分達の存在意義を内外にアピールする可能性が出来たのだ。

突撃隊のトップとしては、突撃隊を纏める上で必要な指示が出たので、足取りが軽くなったのだ。


そんな3人を太郎とヘスが窓から見ていた。

とりあえず、太郎は会議を乗り切って安心したのか、早く執務室のエヴァ達に会いたい気持ちが強い。

反対にヘスは、レームに与えた爆弾の事が気になるのか、太郎に声を掛けようタイミングを伺いながら太郎についていた。


太郎は執務室のドアをノックする。

すると「どうぞ」。とエヴァの返事が返ってきたので、太郎とヘスは執務室に入た。


執務室の応接セットの上に、お茶とお菓子があり、エヴァとイルゼ夫人が会話を楽しんでいた。


「会議は終わったの?」

エヴァは、笑顔で迎えてくれた。


「ああ、終わった。すまなかったね、

イルゼ夫人。急に無理なお願いを聞いてもらって」。

太郎は、エヴァとイルゼ夫人に笑顔を見せた。


「いいえ。無理なお願いだなんてとんでもない。とても光栄なことです。

しかし、私でよかったのでしょうか?」

イルゼ夫人は返って恐縮した様子で、太郎に問いかけた。


太郎は素直に答えた。

「私がイルゼ夫人を指名して、ヘスに我儘を聞いてもらった事なんですよ。

これからも、エヴァをよろしく」。


「我儘なんて…こちらこそ、よろしくお願いします」。

イルゼ夫人は、かしこまりながら答えた。


そんなイルゼ夫人に、太郎は笑顔を崩さずに

「会議で遅くなってしまったな。どうだろう、これから4人で夕食でもいかがかな?」と誘った。


これには、エヴァも同調して

「ヘスさん、イルゼ夫人。一緒に行きましょうよ」。と誘った。

流石にこの2人に食事に誘われては、ヘス夫婦は断れない。


そこでヘスが

「では、店と車の準備をさせますので、しばらくお待ち下さい」。と言って部屋から出ようとしたところで、太郎はヘスに聞いた。

「まだ、褐色館で仕事をしている者はいるか?」

「はい。事務室でボルマンが仕事をしていたはずです」。

「そうか。では彼も誘ってみよう」。

そう言って、ヘスと執務室を出た。


執務室から事務室への間で、太郎はヘスに聞いた。

「会議でレームに条件付きで武装蜂起を許したのが気になるか?」

「はい。何故このような時期に、何故あのような事を?」

「正直言って、あの言葉が無ければ突撃隊をコントロールすることが難しくなるし、基本的に選挙活動の下支えをしているのは突撃隊だ」。

「しかし…」。ヘスは抗議するような強い口調だったが、太郎はその声を右手を軽く挙げて制すると…


「大丈夫だ。そのために、あの条件を付けたのだ。

それに、“ルドルフ・ヘス”という男には、“アドルフ・ヒトラー”という男が、あの条件を満たす事が出来ずに、大統領選から手を引くような男に見えるのかね?」

そう太郎が言うと、ヘスは目を瞑って顔を横に振る。

これで、もうこの件で話す事は無かった。


二人は無言で事務室に向かう。

事務室に入ると、奥の机に向かう一人の男の姿があった。


その男の名は…

マルティン・ボルマン


ナチス救済基金部門の部長で、この時もう既にナチスの事務方の実力者だ。

今の日本の企業に例えると…


“恐怖の総務部係長兼経理部係長”と言った方が分かりやすいだろうか?


部下には非情な態度で接し、幹部達からは嫌われ、エヴァ達女性たちには「目付きが嫌‼︎」と言われて嫌悪の対象になっている。

しかし、実務能力でボルマンの右に出る者は無く、ヒトラーからは可愛がられ、彼の結婚式にはヒトラー直々に立会人をする程だ。


そのボルマンに太郎とヘスが近寄って行くとボルマンは驚いた表情で、こちらに話し掛けて来た。


「副党首。党首⁈

いったいどうなさいました?」


太郎はヘスより早く、ボルマンに話しを始めた。


「ボルマン。今日、エヴァが褐色館に来たのは知っているな。

これから、私とエヴァは執務室でしばらく過ごす。

それは、エヴァにファーストレディの教育を受けさせる為だ。

その教育係にヘスのところのイルゼ夫人に協力してもらう事にした。

そんな訳で、これから私、エヴァとヘス夫妻で夕食を取りに行こうと思ったのだが、

ヘスに残務整理が必要らしいのだ。

悪いが、ヘスから仕事を引き継いで処理して欲しいが大丈夫か?」


「私の今日分の仕事は終わったので、問題ありません」。


「そうか…では頼む。

ヘスは、残務の引継ぎが終わったら、店の手配と車を頼む」。


「承知しました」。


「では、私は執務室で御婦人方とゆっくり待つ事にしよう」。

太郎は、話しを済ませると執務室に戻って行くのだった。

おはこんばんちは!

はっつあんです。


大変遅くなりましたが、やっと10話まで参りました。

これも、飽きずに読んで下さる読者の皆さんのお陰です!


さて、本編の方ですが、これから4人で夕食です。

ごはん…お風呂…

これからどうなる?どうする?

加納太郎!


それでは、またの機会をご贔屓に、それでは皆さんさようなら!

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