桜
思いついたのを片っ端から書き始めたけど完結させられるのかなぁ。
あっこれはギャグじゃなくてシリアスです!
他のはギャグ入ってます!良かったら他の作品も読んでみてください。
更新は気まぐれです。
桜の木下には死体が埋まっているだから桜は美しく咲くと有名な小説でも言っているのを思い出す。
あんなに綺麗な花のためならその下で果てる死体も本望だろう。
桜が散りかけの暖かな道を作野良子は一人下校する。
散った花びらが地面を淡い色にそめ、時々吹く風にヒラヒラと舞う。その風景を良子は眺める。
他のクラスメイトがまだ、だらだらと喋りながら教室で帰り支度をしているなか。静なこの道を通るため良子はサッサッと教室を出てきた。
「作野さん、まって、待ってください~」
サラサラの長い髪を揺らしながら同級生の大木桜が小走りで良子の後を追ってくる。
立ち止まり振り替えると桜は嬉しそうに駆け寄ってきた。
白い肌にうっすらと浮かぶ汗、肌に少し貼り付く髪。
乱れる息に肩を揺らす仕草が何となく官能的に見えるのは彼女が美しいからだろう。
良子は他の同級生が同じことをしたら見苦しい、近くに寄るなと眉を潜めるだろう。
桜はその名前に似合美しい。
それは桜の花に誰もが見とれるような美しさだ。
そのせいか桜のまわりには人が集まる。
だがそれはまた桜の花のように愛でられるだけで桜と深く親しくなるものは居ない。
「あの、作野さん、良かったら一緒に帰りませんか?」
やっと息の整った桜は不安そうに良子の顔色を伺う。
「良いよ大木さん、一緒に帰ろう。」
良子が微笑むと、嬉しそうにありがとうと言う。桜と並んで帰る。
「あの、作野さん昨日は何のテレビみました?」
良子と仲良くなりたかった桜は色々考えて質問をする
「昨日観たのはニュースぐらいかなぁ」
「そうなんですか、あまりテレビは観ないんですか?」
「そうだね、あんまり観ないかなぁ」
「そうなんですか」
話の選択を間違えたと桜は少し困る。
その顔を観察して楽しむ良子。
良子は人を観察するのが好きだ。人により違う行動や癖がありそれを見て楽しむ。
クラスでもそれは同じで特に親しい人を作らず本を読みながら回りの音を聴いて、今嘘をついた。今困っている。今わざと困る話題の話にしたな。今自慢話をしている。
色々な事を見るのが好きだ。
そして桜の事も観察している。
桜の回りには人が集まる。集まって楽しそうにしているけど桜を中心に集まるだけで皆桜を考えては居ない。桜はいつもうわべは笑っているけれど困っている。寂しそうにしている。
そして良子は知っていた。桜がよく良子を見ていることを。
回りには人が集まるけれど思うように動けない桜は、一人で行動し何事にも動じない。そんな良子に憧れ話しかけたいと思っている。だから良子はあえてその視線に気づかないふりをして桜に話しかける隙を与えなかった。
寂しそうな桜を眺めるのが好きだからだ。
だが最近良子はその姿に飽きてきて居た。
いつまでもただ咲いている花を美しく思わないからだろう。
桜の質問に良子は適度に冷たく桜の理想とする良子として答えた。
其々の家に向い別れる時桜はとても嬉しそうだった。
「作野さん、また一緒に帰ってくれますか?」
「ええ、もちろん。あっ、それから呼び方良子で良いよ?」
「えっ、いいんですか?」
桜は嬉しそうに照れて良子さんと呟く。
「あの、その、私も桜って読んでもらっても構いませんか?」
「いいの?それじゃ桜ちゃんまたね。」
笑顔で手を降って立ち去る良子を桜は嬉しそうに見送った。
いつも生徒がほとんど登校していない早いうちから登校する良子。
まだ肌寒い空気に深呼吸して朝の空気を堪能する。
誰も居ない教室の窓から少しずつ登校してくる生徒たちを眺める。
いつも大体同じ時間に登校してくるそれを眺めるのが日課だ。
いつもと同じ頭がぽつりぽつりと門を潜ってくる。
そこにいつもと違う顔がひとつ。桜だ。
いつもはもっと遅くクラスメイト数人と登校してくる彼女が一人登校しきた。
そしてまだ良子しか居ない教室に入ってきた。
「良子さん!」
嬉しそうな桜。
良子がいつも早くに登校しているのはクラスメイト達によって桜は知っていたようだ。
「おはよう桜ちゃん。」
「おはようございます良子さん。」
嬉しそうに良子の側によってくる桜。
「いつも一番に登校してくるって聞いていたので、一緒に登校できないかと思って早く来てみたんですけど…。良子さんとっても早くに来ているんですね。」
「うん、早めに来て外を眺めるのが好きなの。」
「そうなんですね、いつも何時ごろ登校してるんですか?」
「だいたい6時には学校に来てるかな。あんまり人混みは苦手だから。」
「そうなんですね、…あの、明日から一緒に登校しても良いですか?」
「構わないけど、はやいよ?」
「ありがとうございます!大丈夫です。」
昨日別れた場所で待ち合わせして登校することになった。
少しずつ同級生が登校してくるなか、桜と良子は適当に話をする。
そしていつも桜と登校してくるクラスの中心的なメンバー達が登校してきた。
「桜っち~おは~」
青葉恋乃羽が桜の後ろから抱きつく。
「おはよう恋乃羽ちゃん。」
二人で話して居たのに遮られ少し名残惜しそうな桜。
「作野ちゃんもおはよー!」
元気に明るい笑顔で良子の顔を覗き込む。
「おはよう青葉さん」
えへへと可愛らしく笑う恋乃羽。
「桜っち昨日も先に帰っちゃったし、今日も先に行くねって言うしどうしたの~?」
桜の顔をうるうると上目遣いで見上げる恋乃羽。
「えっと、良子さんとお話ししてみたくて。」
「そっかぁ~。僕嫌われちゃったかと思って焦ったわぁ~」
いたずらっぽく微笑む恋乃羽。
「こ~ら、もうすぐホームルーム始まるよ。席にお戻り恋乃羽!」
小柄な恋乃羽を桜からペシッとはがす佐良幹。
「ごめんね作野さんうるさくしちゃって。」
保護者のように謝る幹。
「うんん、大丈夫だよ。」
「ありがとう作野さん。ほら!二人とも席に着く!」
はーいと席に向かう恋乃羽。
桜はまた、小さく手を降り席に着く。幹も二人に習い席に着く。
午前の授業も終わり昼休み。
桜が恋乃羽達のグループをそっと抜けて良子の元にやって来た。
「良子さん、あの良かったらお昼二人で食べませんか?」
良子はいつも体育館裏の日当たりがよく静な場所で一人穏やかに昼食を食べる。
「いいよ。私外で日なたぼっこしながら食べるけど?」
「ありがとうございます。今お弁当持ってきます。」
恋乃羽達に今日は一緒に食べないことを伝えた桜は良子と一緒に教室を出た。
「こんな素敵な場所があるんですね~」
良子のいつもの場所で二人お弁当を広げた。
「ここ自然、って感じで好きなんだよね。」
「暖かくて鳥の声も聞こえて草花の臭いがして、ほんとに自然って感じですね~。」
嬉しそうな桜。
適当に話ながら昼食を食べた。
食べ終わった後も桜の望む良子として振る舞う。
「桜ちゃん、ずっと気になってたんだけど敬悟やめない?私たち友達でしょ?」
良子に言われとても驚き戸惑いだけど嬉しそうな桜。
「あの、えっと、その、…うん。敬悟やめる。」
「よかった、桜ちゃんっていつも無理してるから。」
「えっ?」
「桜ちゃんいつも皆に遠慮して皆に合わせて笑ってて、いつも何だか寂しそうだったから。」
「な、なんで?」
「何となくそんな感じがしたの。いつも桜ちゃんの回りって桜ちゃんの事あんまりみてないし恋乃羽ちゃんと幹ちゃんはすっごく二人とも信頼しあってて二人は特別で回りも何人かで固まっててでも桜ちゃんの回りに集まってて。何だか桜ちゃん息苦しそうだなって…勝手に思っただけだけどね。」
桜は泣きそうな顔をしていた。
「私ね、ずっと皆と一緒だけど皆は誰かと一緒で…皆と一緒に居るのに一人な気がして…。でもそんなの言えなくて…、お母さんも桜は皆と仲良しねって。先生も、友達も桜ちゃんはみんなの人気者だねって…。誰も私をみてくれないって思っちゃって、ダメだって思うけど思っちゃって…でも、ほんとにずっと寂しかった…」
桜はぽろぽろと涙を流した。
良子はその背中を優しくさすり続けた。
昼休みが終わる頃には桜の目は真赤、長いまつげは涙を吸い濡れていて瞳はまだ微かに涙を溜めていた。
「泣いたってばれちゃうね。保健室で休んでこう。先生には体調が悪いって言っとくから。」
「うん、ありがとう良子ちゃん」
ぐすんっと鼻を啜りながら桜は頷いた。
桜を保健室に送り届ける。保険医は明らかに泣いた後の桜に優しげに休んで行くように言った。
「じゃぁ桜ちゃん。私教室に戻るね。」
ベットに横たわる桜の頭を優しく撫でる。
「良子ちゃん、ありがとう。」
またポロリと涙を流す桜。
登下校に休み時間桜は良子にベッタリだった。
自分の事をみてくれる。わかってくれる。良子。昼休み二人だけで過ごす体育館裏は桜にとって特別な場所になった。
「良子ちゃん私良子ちゃんが大好き。」
良子の腕に抱きつき甘える桜。
「ありがとう桜。」
そろそろ良いかな…と思う良子。
二人で帰ろうとさっさと仕度を済ませた桜は良子の席に向かう。
珍しく良子はまだ仕度を終えてなかった。
いつもなら桜より先に仕度を終えて桜を待ってくれる良子。
少し話ながら良子はゆっくり仕度をする。
「恋乃羽ちゃん、この前言ってたクレープ皆で行かない?」
桜と話すようになってちょこちょこ話すようになった恋乃羽達に声をかける。
「いーね!いこいこ!でもいつも二人とも早く帰っちゃうのに良いの?」
「知らない人がいっぱいの中帰るのが嫌だっただけだから平気。恋乃羽ちゃん達が居るから。」
「わーい!うれしい!それじゃ皆でクレープだぁ~」
「あの、良子ちゃん…」
二人だけの時間なのに…。なんで?良子ちゃん?と不満げげな桜を尻目に微笑む良子。
「皆と一緒のが楽しいでしょ?」
「そっ、そうだね。」
複雑そうにぎこちなく笑う桜。
皆と何て良子には言われたくない。そんなことを良子が言うはずない。今日はたまたまだ。きっと今日だけだ。
桜は皆で帰った。
いつもの時間に待ち合わせ場所に来ると良子の姿がない。暫く待ってもまだ来ない。
スマホがなった。良子から遅れるごめんねとのメッセージが来た。
仕方ないと、暫く待つ。
続々と生徒達が登校してくる頃に良子はやって来た。
「遅いよ良子ちゃん~」
「ごめん、ごめん。ちょっと最近勉強してて朝辛くてさ。今度からこのくらいの時間に待ち合わせでも良い?」
まぁ良子と一緒に登校できるならいいかと桜は頷いた。
「いいよ。」
良子の腕にしがみつき歩き出す桜。
暫く歩くと見慣れた姿が目に入る。
「あっ、恋乃羽ちゃーん!幹ちゃーん!」
良子は声をかける手を降ると二人は立ち止まり嬉しそうに待っていてくれる。
二人に駆け寄る良子、それについていく桜。
「良子ちゃんめずらしーね、この時間に会うの!いつも私達より先に教室居るのに!」
「うん、ちょっと朝がきつくなってね、明日からこの時間に来ることにしたの。」
「そうなんだ~じゃぁ明日から一緒に行く?」
「ありがとう。皆で行こうね。」
「えっ…」
「ん?どうしたの桜ちゃん?」
「えっと…」
「久しぶりに皆と登校だから戸惑ってるんじない?ね!桜?」
「うん…」
寂しそうに微笑む桜に気づかないふりをする良子。
「こーら!そんなことよりそろそろ行かないと遅刻しちゃうよ!」
「は~い。」
「うん、ごめん幹ちゃん。行こう桜。」
「うん…」
四人で喋りながら登校しているとそのうちいつものメンバーが集まってくる。
何人かで楽しく喋りながら登校する。
誰にも気づかれないあの回りに合わせる寂しい笑顔で会話する桜を良子は横目で眺めていた。
昼休みいつものように二人で食べようとお弁当を持って良子の元に向かう桜。
良子や恋乃羽達が机をつけ始めていた。
「どーしたの桜っち?早くイスイス~!」
「えっ?」
「あれ?桜ちゃんに手紙回ってなかったっけ?」
「あれ?桜、昼休みは皆で食べようって手紙回ってきたよね?」
「うんん…」
「そっか。さっき手紙で皆で食べようってなったから。桜も早く椅子持ってきなよ?」
促されて椅子を持ってくる桜。
訳がわからない。昼休みはいつもの場所で良子ちゃんと二人特別な時間なのに。
桜は上の空で皆に合わせて笑い相づちを打った。
「それじゃこれからも皆でたべよ~ね~!」
「嫌だ。」
つい心の声が漏れてしまった桜。
「「えっ?」」
皆の視線が桜に集まる。
「桜?」
眉をひそめる良子。
「あっあの、次の期末テスト嫌だなぁって思ってたらつい口に出ちゃって!」
笑ってごまかした。
「うっわぁ~僕期末テストとか聞きたくなかったぁ~(T-T)」
「日頃から勉強してれば何て事ないじゃない。」
土屋沙はクールに答えた。
「沙ちーはいつも学年トップだからそんなこと言えるんだよ~!僕はガンバる一夜漬け!」
「あんたは毎回勉強なさい!」
「でもでも~僕いつも幹より順位上だし~(笑)」
「それならもう宿題見せなくて良いよね?やればちゃんとできるだから?」
「幹様ごめんなさい!」
「私今回自信あるなぁ沙ちゃん覚悟して!」
「あら、良子ちゃん。受けてたつわ!」
そんなやり取りを皆がしている中で桜は良子と二人になれない不満ばかりを思っていた。
だけど言えなかった。さっきの良子の眉を潜めた拒絶の顔が浮かんで。
皆で行動するようになった登下校も休み時間も移動教室も。
恋乃羽と家の方向が一緒の良子が二人で来てそこに桜が合流、学校に近い幹が来てそのうちに沙そして他の皆が合流する。
いつの間にか話を回す中心には良子が居てその隣には恋乃羽。沙、だんだん離れていった幹。
「良ちん!みて!良ちんが教えてくれたから順位20番も上がっちゃった!」
いつの間にか恋乃羽と二人だけで勉強をしていたようだ。
「ふっふっふっ~。私はなんと沙ちゃんを抜いてしまいました!学年1位です!」
「まさか抜かれるとはもわなかったわぁ」
心底悔しがりる沙。
「でもダイエットでは沙ちゃんに負けちゃってるよね~沙ちゃんすごくスレンダー美人。」
いつの間にか沙とダイエットを始めたようだった。
桜はなにも知らない。
一緒に居るのに桜はまたひとりぼっち。
何がいけなかったんだろう自分のどこが二人に足りなかったんだろうどうすれば自分をみてくれるんだろう。
桜の頭の中はそれでいっぱいだった。
「ねぇ、良子ちゃん…」
「ん?桜どうしたの?順位悪かった?」
「う、うん!だから私にも勉強教えて!」
「良いよ。皆で勉強しよう。」
「わっ、私もダイエットしようかな?」
「えー、桜がダイエットとか必要ない!今のままですごく痩せてるもん。」
「えっと、えっと…」
「桜、何か変だよ?」
良子に嫌そうな顔をされて怖くなる桜。
良子ちゃんが離れていっちゃう私がダメなんだもっと良子ちゃんに見てもらえるようになおさなきゃ。
桜はダイエットもした勉強もした。
良子に懸命に話しかけた。
だけど良子はいつも皆の良子だった。
どうしらたら、どうしたらどうしたらどうしたらどうしたらどうしたらどうしたらどうしたらどうしたらどうしたらどうしたらどうしたらどうしたらいいの?どこを治せば良いの?どうすれば良子は自分をみてくれるの?
「ねぇ!良子ちゃん!教えて!どうすればいいの?私のどこがいけないの?どこを治せば良子ちゃんは私をみてくれるのどうして?どうしてみてくれないの?私どうすればいいの?」
気づいた時には皆を押し退けて良子にすがっていた。
桜の叫びに桜の行動に皆は驚き引いた。
「なに?どうしたの桜?急に叫んで、怖いよ。」
桜を振り払う良子。
「あっ、あっの、ちがう!ちがうの!」
その日から桜は孤立した。誰も桜に近づかない。
良子の近くにいけないただただ良子を遠くから眺めた。
頭の中で架空の良子と会話し続けた。
萎れていく桜。
昼休み桜は以前の特別な場所体育館裏へと足を運んだ。近づくにつれ誰かの気配がする。
遠目から見た。
それは恋乃羽と良子。
寄り添い微笑む良子と楽しそうな恋乃羽。
嘘だここは良子と桜だけの場所のに。そうかこれは幻覚なんだ。
ふらふらと桜はその場所を離れた。
それはなんともないいつもの昼休みに起こった。佐良幹が突然良子の首を締め上げたのだ。
それをただただ見ていた桜。
何か呟きとても嬉しそうな美しい笑みを良子が一瞬浮かべたのに桜は気づいた。
良子が幹だけを見ている瞬間を…
良子から引き剥がされた幹。良子にかけよる恋乃羽。
幹は取り押さえてる人を凪ぎ払い窓から飛び懲りた。とてもすごい騒ぎになった。
幹の事はあんなにいとおしげに見てたのに桜はみてくれない。桜は何がいけないのか自分のどこが悪いのか考えて考えて考えた。
そうだね。
「そうだね治さなきゃ私をみてくれない良子ちゃんを…。」
桜が散りきり青葉のまぶしいかえり道、良子は一人帰っていた。
「良子ちゃん…」
木陰から桜がひょ、っこり美しい笑みを浮かべて現れた。
良子は微笑む。やっと来たかと。
桜は良子を抱きしめ地面に押し倒す。
「私をみてくれない良子ちゃんを治さなきゃ。」
桜は良子に包丁を振り翳す。
凶器に満ちて完成されたその姿を見て良子は恍惚とした表情で微笑む。
(やっぱり桜の花には死体(肥料)が必要ね。だって今桜はとても美しい。)
読んで下さりありがとうございます