3話 天使
守護「初めまして、天界からの使いで参りました イヴと申します。どうぞよろしくお願いたします。」
自称神と名乗る人物が消えてから程なくしてその人物は現れた。
金髪で大人びた雰囲気を醸しながらもその顔には幼さを残しており、そしてなによりその綺麗な青い瞳に見惚れてしまった。
「? 私の顔に何かついていますか?」
「ーーッ! すっ すいません!私は拓也と申します! よ、よろしくお願いします!」
「はい!よろしくお願いしますね、拓也さん。」
今まで女性と会話した経験が少なく、何より目の前の女性に見惚れててしまい返答が遅れてしまった。イヴさんは見た感じ気にしてなさそうだけど返事もせずに顔をジロジロ見られたら嫌だよなぁ…… 。そして気になるのが
「あ、あの それで天界からの使いと言うのは?」
「その説明がまだでしたね! これから拓也さんが活動していく際のお手伝いとしてここに迎えと神様からの命令でやって参りました。まあ私も正直どんな事をお手伝いすればいいかあまり分かりませんが精一杯頑張りますね!」
そう言って両手をギュッと握りしめて微笑みかけてくる。とても張り切っておりこの姿を見ているととても安心できる。正直これからの生活が不安であったが何とかやっていけそうな気がしてくる。
「自分も正直これからの生活が不安でしたがイヴさんのお陰で何とかやっていけそうな気がしてきました! でも何故神様は自分みたいなのにお手伝いをイヴさんみたいないい方に頼んだんでしょうね?」
正直自称神が自分みたいな奴にこんないい使いを頼むとは思えず疑問に残る
「……正直ここに来るまでは天界でお仕事をしていましたが、ミスなどが多く皆んなは気にしなくていいと言ってくれてたけどはっきりいって厄介者扱いをされていたと思います……。」
辛い事を思い出したらしくとてもしょんぼりしている。
「けど神様が「「ここでならイヴでも頑張れるはずだ」」と言ってくれました! 恐らく神様が名誉を挽回するチャンスを与えて下さったと思います。 私は神様が与えてくれたチャンスを無駄にしたくありません。ですので拓也さん 私精一杯頑張るんで何卒よろしくお願いします!」
そう言って彼女は深々とお辞儀をした。
「あ、頭を上げてください! 自分は此処での生活が不安で仕方ありませんでしたが、イヴさんのお陰でとても救われました。ですので自分何かに頭を下げる必要は無いです! 後自分何かが手助け出来ると思いませんがイヴさんの名誉挽回をするお手伝いさせて下さい。」
イヴさんに比べて不恰好だが俺も深いお辞儀を返す。
「! ありがとうございます。私とっても嬉しいです!これから2人で協力していきましょうね!」
その後2人は互いにお礼を言う度にお辞儀する動作を数十回は繰り返していた。
「早速ですが、私は何をお手伝いすればよろしいでしょうか?」
彼女は質問を投げて来るが、まだどういった動画を作るか決めてないしキャラさえも出来ておらず正直やる事は今のところ何もない。
「と、とりあえず部屋の掃除を頼んでもいいかな?」
「はい!お任せください!」
頼られた事が嬉しかったのか彼女は嬉々と部屋の掃除を始めた。
正直この空間で掃除が必要なのかは分からないが。自分はさっさと活動の内容を考えないといけないが、、、
イヴという女性が気になる。いや、気になるという別の感情に近い。文字通り天使のような心を持っており、あれほど頑張れっている女性をみて応援しない人はいないだろう。俺が守護なればならぬ。
(何様だお前)
「うおォン!?」
「どうかなさいましたか!?」
とイヴさんが慌てて問いかけてくるが
「だ、大丈夫ですよ!発作みたいなものですから」
(え、そんな発作あんの。怖っ)
(お前が急に話しかけてくるからだろ!)
急に自称神が話しかけてせいでイヴさんに変な発作持ちだと思われしまった。悲しい。
(それで急に話しかけてきて何ですか?)
(ちょっとイヴについてどう印象を持ったか聞きたくてね)
(……今まで生きてきてあんないい人見た事なかったし自分みたいな人間がゴミクズかと錯覚してしまいましたね。)
(ゴミクズなのは錯覚じゃなくて事実でしょ。)
こいつ本当煽ってくるな。しかも煽ってるんじゃなくて事実を口にしてるだけのような口調で言ってくんのが腹立つ。
(まあ君が少しでも彼女のような綺麗な心を持てるように使いとして送ったんだけどね。)
(まぁ確かに見習っていきたいとは思いますね。)
その後数回お互い言葉を交わし
(そろそろやらなくてはいけない事があるので会話は終わりにしよう。……イヴには手を出すなよ?)
(俺は推しにはそういう感情持たないようにしてるから安心しな)
「ならいい」とだけ言い残した後奴の声は聞こえなくなった。
俺もそろそろ本腰入れて取り掛からないといけないな。今はイヴという強力な助っ人もいるし頑張ってやっていけそうな気がしてきた。
「イヴさん、これから頑張っていきましょうね!」
「はい!頑張っていきましょう!」
これはVR空間でその名を世界に轟かすある2人組みの物語の幕開けであった。
と、心の中でそう思っとけば成功するフラグが立つはずだ。うん。