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始まりはいつでも唐突だ

2222年に、日本のとある町を震源とした震度1ほどの地震が起きた。震度こそ異常ではない地震だが、他は異常なことだらけだった。まず、地球全体を襲ったこと。そして、全ての地域で、震度が1だったこと。さらには、震源が地上だったということ。それらが原因なのかどうかは分からないが、その日に地球は今までの太陽系の軌道上から、数ミリずれた。地球がずれたことにより、地球の環境が少し変化したりもした。平均気温が数度上がったり、重力が少し増したり、自転が早くなったり。それらの環境の変化により、2222年以降に生まれた人間すべてに異能が芽生える。そのことに一番最初に気づいた日本政府は、全世界にそのことを発信。それと同時に能力の強さにランクを定めた。弱い方から、Cランク,Bランク,Aランク,Sランク,Gランク。そして、特別枠としてXランク。Cランクの能力者は、日本人口の3分の2をしめ、Cランクのサイコキネシスは、消しゴムを動かす程度の力。Bランクの能力者は、日本人口の5分の1をしめる。Bランクのサイコキネシスは、机を動かす程度の力を持つ。Aランクの能力者は、日本人口の30分の1をしめる。Aランクのサイコキネシスは、大きさにもよるが家を動かせる力を持つ。Sランクの能力者は、日本人口の300分の1程度をしめていて、Sランクのサイコキネシスは、ビルを宙に浮かせることができる。Gランクの能力者は、日本人口の、1000万分の1をしめている。Gランクのサイコキネシスは、試したものがいないのでわからないが、おそらく大陸をも動かせるだろう。そして、残ったものたちは、Xランクと呼ばれる他の人たちとは違う能力を持った人たちだ。全員が全員強い能力を持っているわけじゃないが、騙す能力や分解する能力などの特殊な異能を持っている。そんな中で、その異能を使って戦いたくなるのは必然で、異能が見つかって、最初世代が大きくなる頃には、街中で異能力が飛び交う光景が見られた。そのことを危険に思った日本政府は、2237年に異能規制法という、法律を作った。その法律は、異能による戦闘をバスケットボールのようなスポーツにするというものだった。競技の名は『異能戦闘』。チームに分かれて戦うその競技は、3842年の今もなお存在している。だが、10年前そんな異能戦闘中に、謎の男が乱入して大勢の人を殺した。そして今現在、その男に似た者達が現れる。その者達が現れると同時に、全国の高校でとある噂がたった。異能戦闘部がある高校全てに異能力を殺し合いに使う者達がいると。その者達は、『異能兵器部』というと。


























「ねえねえ、異能兵器部って知ってる?」


寝ていてもわかる。どうせ、クラスの端の方にたむろしている集団の中の一人の女子が話しているのだろう。おそらくネットか何かで拾ってきた噂を話しているのだろうが、あいにく俺は興味がない。だが、おそらくこの声の主は俺が寝ていても御構い無しに話題を振ってくるのだろうが。


「なんかね。スポーツ以外で能力使って戦ってる人たちがいるみたいなの。その人達が高校で集まってる集団が、異能兵器部っていうんだって。一宮いちみや君何か知ってる?」


そらきた。来ると想定して用意しておいた答えを、いつも通り返す。


「なんで俺に聞くんだ?」


と答えながら顔を上げる。顔を上げると、目と鼻の先に百井ももいの顔があった。どうやら、俺の頭の近くまで顔を下げていたらしい。気恥ずかしくて顔を背けると、百井はやや不機嫌そうな顔をして、下げていた頭を上げた。


「だって、一宮君物知りじゃん」


ニコッとしながら答える百井。物知り・・・ね。


「物知りっていうか、今までお前がしてきた質問、全部一般常識だっただろ」


多少かったるそうに言ったつもりだったが、百井は気にせずニコニコしながら答える。


「少なくとも私にとってはホログラムのプログラムは一般常識ではないけど。と・に・か・く!異能兵器部って知ってる?」


まあ、質問して来たのなら答えてやろう。まあ、急に起こされて若干イライラしていたので、少しばかりいじわるしたりするが・・・


「異能兵器部か。少なくともウチの学校にはそんな部活ないはずだが」

すると百井が

「もうっ!!そんなこと知ってるよ」


じゃあどんな答えを待っていたというんだ・・・。いや、まあわざととぼけた答えを返したわけだが。


「私が聞いてるのは、異能兵器部っていうのが、どういうものかってことだよ!」


百井がぷりぷりと怒っていると、戸隠とがが間に入って来て


「まあまあ百井ちゃん。一宮だって知らないことあるって。そろそろ許してやってよ」


と言い、百井を止めたかと思ったらそのまま俺に話しかけてきやがった。


「そういえば、この前異能戦闘中になんか仮面つけた変なやつ入って来て全員倒して行っただろ」

「ああ、そういえば校内放送でやってたな」


というと戸隠は、なにいってんだこいつと言うふうな呆れた顔をしながら


「お前テレビ見てねえのか?散々やってたぞ。まあいいや。とりあえず、その変なやつ多分お前と同じ種類の能力なんだけど、なんか知ってるか?」


お前もか、戸隠。


「まあ、映像を見て見ないとわからないが、俺は俺以外にエネルギー弾の能力を持ってるやつは知らないな」


そう答えると戸隠は笑いながら


「そうか、ならいいや」


と言い自分の席へと戻って行った。どうでもいいが、失礼なやつだ。













ここらで一つ、人物紹介と行こう。俺の名前は一宮いちみや 祐馬ゆうま。身長178cmの2年生。エネルギー弾という、手のひらから体力や生命エネルギーを砂つぶほどの大きさのエネルギー粒子として出して、それを一つにまとめビームのように打ち出す能力を持っている。他に何か書くことは、・・・・・特になにもないな。

次は、最初に俺に話しかけて来た、百井ももい 加奈かなの紹介をしよう。百井は、身長約160cm。小柄で、桃色の髪をまっすぐに肩甲骨のあたりまで下ろしている。Bランクの能力者で、幻覚という、最もXランクに近い能力の一つと言われている能力を持っている。容姿端麗で運動神経もそこそこだが、頭は普通で、いつもいろいろなことを聞いてくる。

次は戸隠とが 半蔵はんぞうの紹介だ。彼の能力は隠蔽。自分も含め、色々なものを隠すことができる。能力ランクはAランク。185cmで、この三人の中では1番運動能力が高い。その上身軽で体も柔らかいので、友達からは冗談半分で『忍者』などと呼ばれたりしている。

















昼休みが終わり、5時間目の授業も終わった。ちょうど眠くなってくる時間帯だ。だから6時間目が始まるまでの10分間の休み時間に、顔を洗いにトイレに行く。これはちょっとした日課になっていて、これをしておかないと6時間目以降の授業に集中できない。顔を洗って外に出ると、見慣れない格好の女の子が前から歩いて来た。銀髪に赤い目というなかなか見ないような見た目をしていたので、珍しいなと思いながら歩いていると、その女の子はすれ違いざまに


「秋の葉っぱは青白い」


それを聞いた瞬間俺の中で何かが切り替わった。


「ああ、今回・・はあんたがそうか。了解した。至急向かう」




























「まあまあ、気にすんなよ。あいつもけっこう鈍いとこあるし」


と、優しく声をかけてくれるのは戸隠君だ。私が一宮君にあしらわれるたびにフォローをしてくれる優しい友人で、いつも一宮君と絡んでいる。能力ランクは、クラスでたった一人のAランク。なので体育祭の時には、大活躍してくれることをクラスのみんなが期待している。


「う〜。それはそうかもしれないんだけど、私にも問題があるんだよね。一宮君と喋ると楽しくてついつい自分が言いたいこと忘れちゃうんだよ。直そうと思ってるんだけど・・・」


こう言うと戸隠君は少し考える仕草をしてからアドバイスをしてくれた。


「じゃあさ、恋文、今風に言うならラブレターってやつをさ、書いて渡してみれば?それなら別に言いたいこと忘れることないじゃん」


戸隠君の言葉に、自分の顔が真っ赤になって行くのがわかる。こ、恋文?それともラブレター?いや、そんなことどっちでもいいか。と、ともかく、私が、一宮君に?いやいや、恥ずかしすぎる。それに、


「一宮君ってラブレター受け取ってくれなさそうじゃん」

「あー確かにな。まあ、当たって砕けろ、だな」

「砕けちゃダメでしょ!」


ははは、と笑い合う。いつも通りの光景だ。私が戸隠君に恋の相談をして、戸隠君がそれに答える。いつも通りの日常。いつも通りの時間。今日もそうなるはずだった。

突如、ドゴン!という音がして、教室全体が震えた。最初は地震かと思ったが、音と振動が2ほ回3回と繰り返されるうちにクラス全体を不安が支配していった。そして5回目の振動でバゴン!!という音がして天井が崩れ落ちる 。そして、ガラガラと落ちてくる瓦礫と共に、なぜか顔に擦り傷がいくつも付いているガタイのいい男が入って来て


「ッァァァァアアア!!!!ったく、一発で入らないからって何度もガンガンしすぎなんだよ!!! 痛いったりゃありゃしねぇ!!・・・まぁ、いいか」


男はそう言うと、クラスを見渡した後、百井を見つけてニタァと笑った。そして百井に向かって歩を進めながら言う。


「お前でいいや。お前を人質にして、この高校の異能兵器部の本部を聞き出す。それに協力してもらうぞ」


男がズンズンとこちらに向かって歩いてくる。ぶんぶんと頭を振るが、男は構わず進んでくる。そして、私の目の前まで来ると右手を挙げた。多分その男の能力なのだろうが、上げた手の周りに、紫色のオーラがまとわりついていく。そのオーラは一瞬だけ光り、まるで巨大な手のような形になって固まった。そしてそのままその手を私に向かって伸ばし、私をつかもうとして・・・・・・・・・・・

つかめなかった。なぜか?私が一瞬で男の手が届かないところまで移動したからだ。どうやって?誰かに掴まれて移動したからだ。誰に?誰だろう。そう思い、助けてくれた人の顔を見る。その顔は


「緊急時以外に異能力を異能戦闘以外で使用するのは、異能規制法で制限されているはずだが」


先ほどまでどうしようもないほど想っていた、一宮君その人だった。


























ハァーとため息を吐きながら廊下を歩く。そのままなにも言わずに屋上まで行き、貯水タンクのパネルに手をピタッとつける。すると俺の体が貯水タンクへ吸い込まれ、そのまま地下へと落ちてゆく。いつも思うが、これはなかなかにすごい仕組みだだと思う。透過の異能と減速の異能を、科学の力で作っているのだから。仕組みを説明するだけならできるが、それ自体を思いつくのはできないだろう。そんなことを考えていると、いつの間にか目的地まで付いていた。全体的に薄暗い廊下を進み、いくつもあるドアのうちの一つに向かって手を伸ばす。そしてドアを開け、部屋の中でタブレット端末を触っている人物に向かって声をかける。


「お前さぁ、暗号はいいとしても伝達係いちいち変えるなよ。いつもドキッとするだろ」


そう言うと、その人物は


「変えなかったら伝達係が狙われるかもしれないから変えるって前に言ったわよね。それに、ドキッとするのは、あなたも騙せている証拠だからいいことじゃない」


と自慢げに言って来た。どう返しても言い負かされる気しかしないので、すぐに聞くべき事を聞く。


「ところで、どこに来た?」


そう聞くと、その人物はニヤリとしながら


「今回は来ただけじゃなくて奇襲。そして今2-3が襲われてます」


なるほど、奇襲か。そして今2-3が襲われていると。


「俺のクラスじゃねえか!!」


そう叫ぶと、その人物はニコリとしながら


「そうそう」

「つまりあれか、俺に処理しろと」


そう言うとその人物は、またもやニコリとしながら


「そゆこと〜」

「ったく。さっきの場所の方が近いじゃねぇか!!」


そう言うが早いか、俺は部屋を飛び出して地上へと向かった。その時、部屋の中にいた人物は


「いってらっしゃ〜い」


と言って俺を送り出した。



俺の学校は、コの字型になっている。一年生の校舎が上の一辺、三年生の校舎が真ん中の一辺、そして二年生の校舎が下の一辺だ。校舎は3階建てで、一階は職員室などの事務的な教室があり、2階には5〜8組、3階には1〜4組のクラスがある。そして貯水タンクは、二つの角にあり、俺がいるところは一年生の校舎と三年生の校舎の交差点の貯水タンクだった。これは地下への入り口と出口が別の貯水タンクだからだ。地上へ出た俺は、自分のクラスの天井が崩れているのを見つけた。予想よりも自体が悪化している事を確認し、屋上の手すりに向かって駆け出す。そして手すりに足をかけ、空へ向かって飛び出した。そしてそのまま重力に従い落ちる・・・・・・・ことはなく、手のひらから出したエネルギー粒子の推進力で宙に浮いた。その力を使い自分のクラスへ向かう。この時の速度は、俺が全力で走った時の約5倍ほどの速度だろう。100mほどの距離を3秒ほどかけてクラスの上までいくと、中で顔に大量の擦り傷がある俺が百井を襲っているのが見えた。それを見た俺は、瞬時にクラスの中まで入り百井を男の能力の範囲内から逃がした。そして、男を睨みながら


「緊急時以外に異能力を異能戦闘以外で使用するのは、異能規制法で制限されているはずだが」


男は、一瞬呆けたような顔をした後、俺を睨んで来る。お〜怖い怖い。睨んだ数秒後、男は狙いを俺に変えて襲いかかって来た。男の攻撃は、机を粉々にするほどの威力を持っているが、スピードはさほどない。唯一厄介なのが紫色のオーラのリーチだが、俺がいつも相手にしている人達と比べると、それを含めても全然厄介ではない。俺が全ての攻撃をひょいひょいと避けると、男はおどろいたような顔をしながら話しかけて来た。


「今まで俺が戦って来た中で俺の攻撃を避けることができたのは、おまえがはじめてだ。」

「そりゃどうも」


再び始まった男の攻撃を避けながら思う。要するにこいつは、ということだ。右の大振り、左からの裏拳、それも避けると上から叩き潰してくる。それさえも避けると、また右の大振りから始める。こんな単調な攻撃しかできないのはでしかない。そうでなくとも、この程度の攻撃も避けられない奴は雑魚ざこで、そいつらしか相手にしてないこいつはやっぱりだ。相手に本気を出して殺してしまうのも後味が悪いので、殺さない程度の技で決めよう。そう決心した俺は、後ろに大きく飛んで相手と距離を取り、右の拳を構えた。そして腕の肘に左手の甲を合わせて男に話しかける。


「お前みたいなが一人で来るわけないよな?誰と来た。それとそいつはどこにいる。答えれば、お前は見逃してやるよ」


すると男は激昂して正面から突っ込んで攻撃して来た。男の攻撃を避けて男の胸に拳を当てながら


「そうか。それがお前の答えだな」


そう言い、左手のひらからエネルギー粒子を放出。人を宙に浮かせるほどの推進力を持つそれの影響で、俺の拳は衝撃を発っし、男は教室の壁まで吹き飛んだ。そのまま壁を破壊して謎の襲撃者は地面まで落下し、気を失った。それを確認した俺は、廊下に出てもう一人の襲撃者を探した。

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