一日目(8) ロリコンは紳士であるべきですか?
短めです。今回は(?)狂ってます。
――嘘だ‥‥‥夢だろ‥‥これ‥‥夢に決まってる‥‥‥‥‥!
ところがどっこい・・・夢じゃありません・・・!現実です・・・!これが現実・・・!
そんな台詞が聞こえそうな、グレゴリオ暦の年始から202日目のこの夏の夜。
裸の幼女が男の頭を揺さぶる中。
溜まりに溜まった浴槽の中に水滴が落ち波紋を作る。
――水の音が小さく空間に響き渡った。
「なぁ……? 夏之目……一緒に入れと言っただろうが……!」
ここは脱衣場。
扉越しに幼女の影と声。
自分は引き戸タイプの扉に背を付けて座ってる状態。
タオル一枚なので寒い。
「……。」
俺はずっと無言で押し通している。あの褐色少女みたいに無表情で……いや、鼻の下に赤い滴がたらりたらりと垂れている。扉の向こうに裸の幼女がいる……鼻血を垂らさずにはいられないよな!
でもさ? 一緒に入るって言われたって無理ですやん! さすがにアウトですやん! 麻衣ねぇに怒られますやんなぁ!?
「吾輩は一人で体すら洗えないぞ! 前も夏之目が洗っただろうが! さぁ入ってこい!」
なんだそりゃ、そんなことで俺が入ってくるとでも? わ、か、め! ……でもそのままにして、幼女が風邪引いちゃったらまずいよな? 風邪を引いたら引いたで麻衣ねぇに怒られてしまう……。うん……風邪は引いたらダメ、ダメなんだよ。
なので俺は……一緒に入りまぁ~す!!
勢いを付けて右手で扉を横にスライド! そして左手は鼻血を拭く!
――さぁ行こうではないか……魅惑の桃源郷へ……!!
風呂椅子に腰かけた幼女……。背中からお尻にかけての曲線美に添うように伸びた長い黒髪。その流れを変えるように生えた二本の尻尾。片方には赤いリボン。
俺の目にはそれしか写っていない。
――綺麗だ……。
今日、三度目の裸。見慣れたかと聞かれても、否としか答えられない。でも毎回思う ――綺麗だ……と。
性的な感情では無く、素直な気持ち。愛でる、守る、といった父性のような感情。
本性より理性が大きく上回り手が出せない、これもまたチキンと呼べる……。
俺は今、仏。 俺は今、神。 俺は今――
「ほら! なに呆けておる。洗うのだ夏之目! 吾輩はキレイ好きだ! ……だが――痛くするなよ?」
顔だけこちらへと向き傾げる幼女。
あ、無理そう……可愛すぎる。
む……無理に決まっておるだろぉおがぁあ~!!
は? 本性が理性を大きく上回る? たわけっ! そんなの昔のことだ!
手に持ったスポンジをわしゃわしゃと泡立てる。ふへへへぇへぇ!!
「んにゃッ!? 夏之目! やっ、やめろぉぉぉお!!」
俺は幼女の腹、胸、足、尻尾、耳、体という体を洗う。洗うのだ! 洗え! 洗う! 洗ええぇぇぇぇ!!
「うぉぉぉぉおおおおお「やめろ! 夏之目! 正気にッ……」
最高に「ハイ!」ってやつだアアアアアアハハハハハハハハハハーッ!!
「おおぉぉぉ!! ……ッ!」
――ブチッという音が頭の中で聞こえたその瞬間、目の前がだんだん暗くなっていく。
……。しょうがないじゃない……。今日、何度も欲望を抑さえてきたんだもの……。でもなんかおかしいんだよなぁ……この幼女と出会って……。
「な!? 夏之目! 大丈夫か!? 夏之目!! 夏之ッ――
幼女の声も聞こえなくなってきた……。駄目だよ幼女ちゃん頭を揺すっちゃ……。
体の感覚が無くなり目の前が真っ暗になった……。
ハジケすぎたよ、そして恥だよ……夢であって欲しいなー……。
こうして俺の夏休み最初の一日が終わった。
暗闇の中、光が見えた。懐かしい感じ、嬉しい感じ。
……思い出したくない感じ。
でも追ってしまう、手を伸ばしてしまう。
《戻りたいがために……。》
次回!夏之目の過去?
(一週間位失踪します。)