一日目(5) 少女(?)はロリに入りますか?
この作品でのロリの基準は18才未満のこと。
可笑しな話だ、年上ロリと言うものは。まぁ大抵容姿で決まるわな。
夏之目の思考や過去など……謎については話が進んでいくにつれ、わかってきますよぉ。
目の前にはミイラが入ってそうな俺より少し小さい棺。黄金で変な人の絵が描かれている。
……これ、俺知ってるなぁ、たしかアレだよアレ、エジプトの偉い人が眠ってるっていう……、うわっ、また動きだした!
「夏之目……これ本当に中になにかいるのか……? 中から変な音がするのだが……」
そう、さっきから横に揺れている棺の動きは規則正しく、中からバイブ音がする。ブブブブブッってバイブってる。
「開けてみるか?」
「吾輩はイヤだぞ! 開けるなら開けるといい、その後のことはし、しらん! いくならさっさと行け!」
幼女は手を振りほどき、背へと回り込みグイグイ押してくる。
冷たいよ……冷たすぎるよ幼女ちゃん。あんなに仲良く手を繋いでいたのに……。しかし幼女ちゃんのお顔がイキイキしている。ご興味がおありで?
「吾輩は少しソレに興味がある! 行ってこい!」
仕方がない、幼女の頼みだ。
俺は玄関にある棺を開けようとゆっくり近づき、開けようとする。
真ん中に切れ目があり、上に上がりそうだ。ミイラとか入ってたら嫌だなぁ……。
開けると同時に、カポッっと音がなる。
「……何も入ってないんだが。……ほら、満足か?」
中には何も入ってない。幼女にも見てもらおうと呼ぶ。
「……。つまらん。面白い物かと期待していたがつまらん。」
ムスッっとした不機嫌そうな幼女の顔
この幼女。人の目には弱いけど、知らない物には興味があるみたいだ。あくまで推測。
「しかし、なんだろうな。先祖の……って訳でも無さそうだし……それに何だか匂いが……」
「匂い? 別に特別変わった匂いなんてしないのだが……?」
いやぁ、するんですよ。ナニかの残り香って言う奴? 俺にもよくわからんのです。
「まぁ、そのうち、何なのか分かるだろ……これは縁に避けておいて……っと。さぁ飯にしよう」
「それでいいのか……」
まぁ、どうせ先祖柄みのことなんじゃないかねぇ……麻衣ねえなら知ってるかもなぁ。あの人詳しいし。
まぁ、めんどくさいので放っておこう。それがいい。
……でもなんか、気になるんだよなぁ。あの匂い。ずっと。
――なんじゃ、脅かせよって……だが近くにいる。この近くに……。
だが……今を楽しむのもまたよきことだ。
はぁ……私は少しの間眠るとしよう……。
暗闇の中で、老婆は煙となって消えた。
【白銀のマリオネット】
私の一族は操り人形。感情もなく、表情もなく、目的のために動く。
これは呪い。一族の呪い。
先祖が犯した過ち、責任を持たされた昔の先祖。それを受け継ぐ私達。
三百八十年前、ある王女は過ちを犯した。神を殺すという過ち。
王女の娘は責任をとることになる。それは……神を探すこと。
神は転生する。また神となって……。しかし元の場から離れる。
だから、神々を見つけなければいけない。それが王女の娘が一族にかけた呪い。
神を見つけ、元の場へと戻ってもらう。絶対に。
百二十年前、日本に神が転生しているという、お告げを受けた。
神を探し連れ戻す。これ以上呪いの子を出させないため。
一族の呪いは薄まってきている。でも呪われた者の数は前と変わらない。呪われた者と薄い者の呪いの差が激しい。
私には、感情がある。表情だって作れる。私には力がある。他の者には、それが無いに近い。
呪われた者は目的の為ならなんだってする。私はそれに抵抗がある。
でも本家のためにも、分家のためにも、私は《王女》としての責任がある。
私は見つける。神々を一族へ、そして一族に感情を! 誰にも邪魔はさせない!
私は二百七十代目ファラオ……。
私は……
私の名は! フィオラである!!
※※※※
「……あれがバステト神。……普通の子供?」
何処かのアパートの屋上から二人を監視する銀髪の少女(?)
普通の子供にしかみえないなぁ。でも本当にバステト神ならば、連れて帰らないと……
♦♦♦♦
「赤ん坊の頃から神々と呪いについて話をしてきましたね」
「……はい、お母様」
周りに装飾もなにもなく、ただ広く金に光るだけの部屋。そこには大きなベッドで弱々しく語る女性と、その横で静かに聞く幼女。そして数人の女性。
二人からは表情が見えない。
「あなたにかかった呪いは薄い。そして今もまだ薄まっていく……。あなたには今までない、大きな感情があります。しかし私は今まで感情をこれ以上大きくさせないように世話をしてきました。」
目を閉じて話を深々と聞く幼女。
「あなたは呪いに従い、神々を探さなければなりません。」
「……。」
「その神の名は、バステト神……。本来なら私達、ファラオの守護神であるべき存在。四十五いる中の猫の姿をした神。それが近い未来、お告げ通り現れます。その神を見つけるだけで私達には大きな一歩。その一歩が次の神を見つける鍵となります。」
静かな顔。無表情な顔で女性はつらそうに
「私はもう長くありません……。私が死ねば、ファラオの座はあなたにへと渡る……。私はもう感情の制限がなくなり、取り戻した大きな感情により心が壊れ完全に感情が消え、死ぬでしょう。この三百年……それ以上の時間、神は姿を消した……。一族によって、しかしあなたは神に会い、連れ戻す力がある……。私にはそれがなかった……。でもあなたには力がある。あなたならできる。かっ、必ず……ゴホッゴホッ!」
「カライル様、無茶をなさらず」
周りにいる女性達が寝ている女性へと近づき垂れた汗を拭く。
「……ゴホッ……っ。……必ず、この長年の責任を取り神々を連れ戻すのです……!」
表情は変わらずとも力の入った言葉。だが幼女は
「……分かっております。必ず。ファラオの座にかけて……」
それだけ。でも《母親》は、
「……私はあなたにこのようなことさせたくはなかった。私同様、愛情を捧げられることはなかった。……今、感情を取り戻してきて伝えられる思いがあります」
「……。」
「……私はあなたをずっと愛していました。今も、昔も……」
その言葉に《娘》は扉のある方へと振り返り。
「……っ」
と言葉にはならない音を残してその場を後にした……。
♦♦♦♦
「……。」
バステト神、三百年以上も姿を消した神のひとり……かぁ。
「……なんか後ろから視線を、か、感じるぞ!」
「ぁ?」
下の方から二人の声が聞こえた。やばい見つかっちゃう!
とっさに二人を監視していた方向とは逆の方のアパートへと飛び移っていく。
「……たしか、あの男の家は……。」
よし! バステト神様にご挨拶だ!
少女は目的地へと飛び去っていった。
∮∮∮∮
「……。」
どうしよう……棺の中に入れなかった。
バステト神様をびっくりさせようと思って用意したのに……!
家の中、玄関に入って右にある部屋、脱衣場で拳を震わす。片手にはラジオ。
バステト神様が好きだという、音楽も用意したのに……。
二人は脱衣場の対面にある大きなリビングへと入って、何かしている。
いい匂いがする。カニかな? 一度食べたことがあるけどおいしかったなぁ……。じゃなくて! どうしよう出る機会が遅れたよ。棺も開けられたし、いまさら出てこれないよ……。
お腹空いたなぁ……。
グゥ~とお腹が小さくなる。
「あらぁ、なつのん、この子だぁあれ?」
優しいそうな女性の声。でも顔がなんか怖い……。
あっ、バレちゃったよ。まずいよ。お腹空いたよぉ……。
「……。」
それでもなお、少女は無表情のまま少しプルプルと震え、手をお腹に当てて、うずくまっていた。
少女(?)の容姿は次回。