一日目(3) 自らを尊しと思わぬものはロリコンなり。
タイトルは夏目漱石の名言、だそうです。(嘘っぱち)
♪デロデロデロデロデロデロデロデロデンデロン
このパンツは呪われている。
着けることが出来ません。被ることが出来ません。
麻衣ねぇを見送った後、この書生猫耳ロリは尻尾をピンッと立てながら、元いたベットにダイブ。そして猫のように背伸び、尻尾を小さく揺らしながら。
「やっと、解放されたぞぉ」
ふぅ、とため息をつきながら、幼女は安堵する。
ん? 目の前が暗くなったぞ何が起きた? それに顔が何だか暖かいような……。
顔に張りついたモノをとって広げてみた。パンツだった。右尻の方にライオンの可愛いイラストが、ガオー!と付いている、俺のお気に入りのショートボクサー。お尻の真ん中に穴が二つも空いている。
なぜ手元ににあるのか……。これは目の前の幼女、無名に麻衣ねぇが出ていく前に穿かせたオパンティー。
って、ことは……。
「ぶわっはぁ!! お、おい、コレ!」
目の前のベットの上でまた、ゴロゴロし始める幼女。
ふっ、太ももだ! さっきよりも面積が、肌の面積が、……っ、これ以上は不味い、血が足りなくなる。少し鼻が赤くなった。
「おい! なんで脱いだ! やっ、やめないか! はしたない!」
顔は幼女に、向かっているものも、目はチラッ チラッっと太ももの奥へと……。
「なんでだ? 吾輩はそんなチクチクぶかぶか、するモノ穿きたくないわ! この服は気に入ったが、それはイヤだ! あの女め……無理やり穿かせよって……。」
そう胸に手を当て大きな声を発する幼女。
いや、抵抗してませんでしたじゃん。ビクビクしながら、書生服と一緒に着てましたじゃん。
俺もパンツを履かせるって、麻衣ねぇに言われた時は、抵抗があったさ、でも幼女に自分のパンツを穿かせるの夢ですやん……。
「吾輩は決して穿かんぞ! 命の恩人からの願いであってもだ! ……そっ、そして!、決して……あ、あの、お、女でもだ!!」
ビクビクしながら訴えるスーパー黒髪ロングヘアーロリ。
チクチクしてなければいいのか? ぶかぶかでなければいいのか? やった!幼女のパンンチィーを買ってあげられる時。
俺のロリコンLVが飛び級したゾ!
「分かった、分かった。パンツは穿かなくていい、でもその格好でゴロゴロするのはやめてくれ」
くそ! 名残惜しいが、このままだと俺の理性の壁が、本能という鉄玉にぶち抜かれる。
手を出してはダメなのだ、自分のためでもあるのだから……。
「じゃあ何をすればいい……。じっとしているのは、嫌いだぞ」
確かにそうだ。昼の寿司を食べまだ三十分も経っていない。時計の針は二時を指している。
何もする予定がないのだ。なので部屋の中でぶらぶらとしていた。
だが! もう行くところは決まった。昨日行ったばかりだが、隣町のショッピングセンターへ幼女を連れて行こうではないか!
パンティーを買いに!!!
そうと決まれば。
「よし! きちんとした服を買いにいくぞ!」
さぁ準備だ! 支度だ! 金を用意しろ!
甚平から灰色の半袖パーカーに着替える。後ろからぼそりと……。
「吾輩はこれで構わないのだがなぁ、それにむしろこっちのほうが……」
俺の耳には入らなかった……。
俺は大事なことに気がついてしまったぞ。それは、幼女、無名の格好。
ショッピングセンターには人が多い、この中で書生服を着て歩く幼女がどこにいる……。いないだろう。どうしよ、準備はしたはいいものを、無名たんのことを考えていなかった。
俺の家には女の子の服なんてない。買おうと思ったこともあるが自重した。俺ってば偉い。
「どうやら透けられるみたいだぞ、夏之目」
ファッ! 透けてる。宙に浮いてる……。コレって俺だけにしか見えないってヤツ? 誰得? もちろん俺得。って透けれたのか……。なぜ分かったし。自分のことはよく知っているって言うやつだろうか……。
「猫にも戻れるみたいだぞ」
「おお!」
ドロン! と煙を上げ、無名のいた所には何時ぞやの黒猫。いや前と違って、尻尾が二本生えている。クルクルっと纏めれば普通の猫だ。
「……うぅ、もうダメだ、疲れた。」
またもやドロンと煙をが立つ。猫に戻れるのはもって三分強といったところか。
「いや凄いぞ無名! 透けることが出来れば十分だ! 問題はそれがどれだけもつか……」
そう言って頭を撫でる。うへへ
「そっ、そうか? 凄いか?吾輩は。透明になるのは余り疲れないから、長い間透明になることはできるぞ」
顔を真っ赤にしながら説明してくれる幼女可愛い。もう一回撫でたい、もっと下心全開で。
「なら、服を買えるまで、透明になっていてくれるか? 帰りは元に戻ってもいいから」
「わかったぞ! ……別にこのままでもいいのになぁ」
「ん? なんか言ったか?」
「べっ、別になんでもない! ほら、いくぞ!」
なんだろう? 慌てる幼女やっぱ可愛い。
さぁ行こうロリの多い隣町のショッピングセンターへ!!
「ほ~すごいな……。本当に誰も無名のことに気づかないなぁ」
すれ違う人が誰も頭上にいる幼女に気づかない。
電車は揺れる。座ってる俺も揺れる。皆揺れる。
上向けられない……。穿いてないから……。俺、紳士だから……。
「あたりまえよ! 吾輩は今、霊体のようになっているのだからな!」
へ~そうなのか。でもこれ以上は言葉は返せない。……話したいが周りに変な風に見られてしまうかもしれないから。
あぁ話したい、お喋りしたい。ど突き合いたい。
無名さんは少しお喋りさんな様で、ペチャクチャと喋っている。うんうんっと相打ちだけはとっておく。
「吾輩は天才なのだ!」「吾輩は不可能はない!」「もっと褒めよ褒めよ!」「物も通り抜けれるのだ! ほら手すりとか!」「あ! 今ちょっと疲れた」「もっ、問題ない!」「体力絶倫な吾輩を舐めるでないぞ!」
この幼女すごい、電車のだけではなくショッピングセンターに着くまで、ずーと喋ってた。内容の殆んどが思い出せない。脳内にインプットはしてあるのだが、一つ一つ思い出すには時間が掛かりそうだ。もちろん全文思い出す気でいる。
「ここが、しょっぴんぐせんたーか!? ひっ、人が多いぞ! 帰らないか?」
人見知りご健在、逃げ腰である。
「さてっと二階の幼児向けの服っと」
入ってすぐ左にあるエスカレーターに乗る。一階の方を見ながら上へと昇る。
そこには見覚えのある幼女がいた。前に見た金髪ツインテで、くまさんノースリーブシャツの女の子。
前と同じ格好。特に変わったようすはない
一つを除いて。
手を繋いでいるお母さん、前に見たお母さんとちがう。前に手を繋いでいたのは、若々しい女性で三十代後半。
今繋いでいるのは二十三歳で、金髪幼女は無名より少し年上で、十歳といったところか……?
十歳以上は少女と呼ぼう。
……一致しない。このままだと金髪少女を生んだのが十三才となってしまう。危険な匂い……。
いや、まてよ年の離れた姉という可能性がある。
そうだ、きっとそうに違いない!
――でも、何か引っ掛かるだよなぁ……。
★◼★◼★
女性と手を繋ぐ少女に、近づいてくる若い男と六歳位の幼女。
手を繋ぐ女性と少女に驚愕した顔を男は見せ、大きな声でなにかを吠える。幼女は涙目。
少女はそんな男を見て、頭を傾げる。
唐突に幼女はUターンして何処かへ、男の目は光を失い、少女を女性が繋いでいる反対側の手を繋ぐ。
少女は満面の笑みで、二人に挟まれ、人混みを歩いていく……。
本当の家族のように……。
不可解な現象に誰も気づかない、夏之目も……誰も。